・ワクワクするもののはず
スターターキットはこんな感じ。肉の大きな器と生卵用の小鉢、それからお新香・あおさ・味噌汁が出てきた。肉とご飯はまだない。
卵は「十六代真っ赤卵」というブランドのものである。読み方は「マッカラン」、口頭でその名前を言われたので、てっきりウイスキーにでも漬け込んだ卵かと思ったらそうじゃなかった。日本一黄身が赤いと言われる、青森のブランド卵でした。
少しして、肉がキター! このお店では肉の旨味に集中してもらうために、あえて野菜抜きにしているという。さみしい気もするけど、それで美味けりゃいいか。
では、焼こうかなと思ったら、お店の人が「まずは鉄板に牛脂を乗せますね」といって、調理を始めた。あれ? まさか、ここはやってもらえる感じ?
周りを見ると、スタッフが付きっ切りでそれぞれの鍋で肉を焼いている。そういう店だったのね! 1人すき焼きと聞いたから、セルフだとばっかり思ってたよ。スタッフは脂が馴染んだところでザラメを敷き……。
肉を半分投入した後に、頃合いを見て割り下を流し入れた。
薄切りの肉はまたたく間に色づいて、両面いい色合いになったところで皿に置いてくれる。ご飯が出てきて、すき焼きセットの完成です。
これがこのお店のすき焼きです。なんかやっぱり思ってたのと違うんだけどなあ。肉のみって割と殺風景な気が……。
濃厚な卵に浸した肉を頬張ると、たしかに美味い。肉そのものの味もさることながら、ザラメも割り下も上品で、普段食べ慣れたすき焼きよりも繊細な味だ。
ご飯は北海道産の「ゆめぴりか」……、と仰ったと思ったけど、とにかく米も定期的にブランドが変わるそうだ。この米が美味かった。米の旨味が肉の旨味を少し上回ってしまってるくらいには、米を美味しく感じてしまった。
続けざまにスタッフが肉を焼いてくれて、先ほどの皿に投入。追加オーダーをしなかったので、私のすき焼きはこれで終わりだ。
やっぱりなんか違うなあ。すき焼きって、もっとワクワクが持続する料理じゃなかったっけ? これで終わり? 肉はたしかに良いものではあるけど、すき焼きを食べているというよりも、すごく薄いステーキを食ってる感覚に近いのは気のせいかな。
本気出したら2口で食べ終わってしまう。「すき焼き」を感じる時間がとても短かった……。
最後に残った卵はご飯にかけて、あおさをふりかけて頂きました。
食後のデザートにソフトクリームを頂いて、すべて終了です。
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・気になるところ
そのほかにも気になるところがあった。まずは提供に時間がかかる。スタッフが付きっ切りで1人ひとりに提供するそのホスピタリティは良いけど、新橋界隈の忙しいビジネスマンは「サクっとランチ」ってわけにはいかないかもな。インバウンド需要を見込んでいるらしいから、時間のある観光客を相手にするつもりなのかも。
それから私は勝手に自分で焼くと思っていたもんだから、人に焼かれると落ち着かない。自分の間で焼きたかったんだけど、それを望んだのが間違いだったか。
それと会計がセルフレジで、「そこはセルフなんだ」ってなっちゃいました。
はたして、「すきはな」は「いきステ」に次ぐブランドになり得るのか? 今後の展開が気になるところである。