『アナと雪の女王』はすでに3作目と4作目の制作が発表されていますが、1作目と2作目それぞれハッピーエンドの「その先」には何があるのでしょうか。発表されたコンセプトアートや、これまでのエルサの物語から、想像できることもあるのです。



アニメ映画『アナと雪の女王2』場面カット (C)2019 Disney. All Rights Reserved.

【画像】え…っ? やっぱいちばん重要? こちらが『アナ雪3』のコンセプトアートに、アナとエルサ以外に描かれていたキャラです

「エルサの生きる道」は変わり続けている

 2024年12月6日に、「金曜ロードショー」で『アナと雪の女王2』が放送されました。そのさらなる続編の『アナと雪の女王』3作目(原題『FORZEN III』)は、2027年11月24日に全米公開が予定されており、前2作を手がけたジェニファー・リー氏が3作目の監督と脚本を担当するだけでなく、4作目の脚本もマーク・E・スミス氏とともに執筆中と報道されています。

コンセプトアートに次回作のヒントが?

 そんなジェニファー・リー氏は、ディズニーのファンイベント「D23 2024」にて「まだ多くの謎が残っている」「その謎に答えるためにふたつの映画が必要になってくる」と告げた上で、新たなコンセプトアートについて「(プロジェクトの)開発段階のものなので、これに縛られることなくつくっていくので、後になって何か言わないでくださいね(笑)」と前置きをしつつ、「よく見るとアナとエルサの次の冒険の種がとらえられています」とも語っています。

 そのコンセプトアートでは、「アナ」と「オラフ」が馬に乗っていて、その隣の川には氷の馬「ノック」に乗った「エルサ」もおり、アナとエルサはふたりの謎の影がある空に浮かぶ城を見ていました。また、後ろにはツノと槍を持つ謎の影もあり、オラフはその存在に気付いたようで指さしている……という、なるほど新たな冒険への期待と想像が膨らむものになっています。

 その他でも、『アナと雪の女王』1作目と2作目ではまだ描ききれてはない、エルサとアナの「語られるべき物語」が残っているようにも思えます。その理由を記していきましょう。

※以下からは『アナと雪の女王』および『アナと雪の女王2』の結末を含む、ネタバレに触れています。

問い続けられていたのは「エルサの生きる道」

 『アナ雪』1作目と2作目で問い続けられているのは、「エルサがどういう生きる道(居場所)を見つけていくか」であり、これは3作目および4作目でも踏襲されるのではないか、と筆者個人は予想します。1作目と2作目のエルサが歌う楽曲と、その物語を振り返ってみましょう。

 たとえば、『アナ雪』1作目の「レット・イット・ゴー ~ありのままで~」が歌われるシーンそのものは「氷の城に閉じこもる」という後ろ向きな選択にも思えましたが、それは同時に自身の氷の力(あるいは本当の自分の資質)をもう抑圧しなくていい、という解放感を歌い上げたものでした。最終的には、エルサは氷の力をコントロールできましたし、アレンデール王国の人びとに受け入れられます。

 その「自分の資質が今いる社会に受け入れられる」1作目の着地も、もちろんハッピーエンドなのですが、『2』ではそれがエルサにとっての唯一の選択とは限らないと、彼女は「イントゥ・ジ・アンノウン」で「今いる場所から未知の世界へ旅立つこと」を歌い上げました。

 その『2』で最終的にエルサは、自身の母である「イドゥナ王妃」が森で暮らす民族「ノーサルドラ」の女性だったこと、さらに自身が「第5の精霊」だったこともわかり、アレンデール王国の女王の座をアナに明け渡して森で暮らすことを選択しますが、アナとは「これからも2人でね」とも約束をしています。つまりは大切な人と離れていても「変わらない」こともあるし、心はつながっていられる、という結末になっていました。

今後描かれるのはエルサにとっての「本当の幸せ」?

 そのようにエルサが生きる道を探し続けた『アナ雪』の3作目および4作目で語られるべきことは、エルサにとっての「本当の幸せとは何か」をも問い直すことだと思うのです。

 エルサは『2』で自身の出自もおおむね判明し、第5の精霊である自身が「架け橋」的な役割をも果たし、さらにはアナのことをいい意味で気にすることなく自身の選択ができるようになっています。これからはしがらみがないまま、「自分のために生きていい」フェーズに入っているともいえるでしょう。

 その意味で、エルサはこれからも、自分の「氷の力」が生かせる場所、あるいは同じような資質を持つ仲間を見つける旅に出るのかもしれません。コンセプトアートに描かれた空に浮かぶ城は「その場所」の可能性もあります。

 または、最終的にエルサが「ノーサルドラ」に戻り、そこがやはり自分の居場所だったと改めて気付く、という展開もあり得るでしょう。そこで見つけるのはやはり、彼女の「生きる道」というよりも「幸福」だと思うのです。



アニメ映画『アナと雪の女王2』ポスタービジュアル (C)2019 Disney. All Rights Reserved.

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「アナとクリストフの結婚生活」もあり得る?

「アナとクリストフの結婚生活」も妄想できる?

 そのように3作目および4作目でもエルサの物語が軸にはなると予想できますが、やはり『アナ雪』は姉妹の物語でもあるので、アナ側のストーリーも描かれるでしょう。

 そちらで描かれると考えられるのは、やはり『2』でプロポーズが成功しついに結婚をした、アナとクリストフの結婚生活です。王女とその夫(あるいは新たな王?)がともに「アレンデール王国」の平和のために尽力したり、はたまたケンカするも仲直りしたりする、といったやり取りも描かれるのかもしれません。

 とはいえ、前述したコンセプトアートでは、アナとエルサとオラフは冒険に旅立っているものの、クリストフはいませんでした。クリストフだけ置いてけぼりなのはかわいそうな気もしますが、『アナ雪』および最近のディズニー作品は「男性が冒険し女性が家で待つ」といった従来のジェンダーロールに囚われない、相対的なキャラクターや作劇をすることが多いので納得できます。また、クリストフにも為政者としての重要な役割が与えられているのかもしれません。

 さらに、3作目もしくは4作目で、アナとクリストフに赤ちゃんが生まれて、子育ての様子なども描かれるのではないでしょうか。 筆者としてはなんとなく、エルサは独身のままでいても、良き伯母さんとしてたまに甥っ子や姪っ子の面倒をみてあげる、という展開も思い付きますし、見てみたいと思うのです。

残された謎はたくさんある?

 その上で、ジェニファー・リー氏の言う「まだ多くの謎が残っている」「その謎に答えるためにふたつの映画が必要になってくる」が気になります。その残された謎とは、何でしょうか。

 まず気になるのは、『2』のラストです。エルサは凍った魔法の川「アートハラン」をノックに乗り疾走していましたが、彼女が何を目指しているのかははっきりしませんでした。その直前に「ねぇ(風の精霊の)ゲイル、これから走りに行かない?」と聞いているのをみると単なる散歩なのかもしれませんし、改めて水の記憶を見て自分のルーツを確かめるのかもしれませんし、またはそれ以外の大きな理由があるのかもしれません。

 また、『2』の冒頭からエルサを呼んでた歌声は、亡くなった母のイドゥナ王妃の(記憶の)ものと思われますが、実ははっきりとしないままでした。イドゥナが生まれ育ったノーサルドラおよび、イドゥナの記憶があったアートハランの方角から歌声が聞こえている、「イントゥ・ジ・アンノウン」の歌詞で「あなたは私に似た誰かなの?」と疑問に思われていることなどから類推できる程度だったので、3作目および4作目ではその歌声の主が(イドゥナかまたは他の誰かだと)明確に描かれるのかもしれません。

 さらに気になるのは、『2』の「5つの精霊」の設定です。整理をすると、「大地の精霊=アースジャイアント」「水の精霊=馬のノック」「風の精霊=風のゲイル」「火の精霊=サラマンダーのブルーニ」「第5の精霊=エルサ」だと分かります。

 中世錬金術における、古典的な「四元素説」および「四大精霊」は、「地・水・風・火」の4つです。エルサの精霊としての力は言わずもがな「氷」に思えますが、その発想元と思われる四大精霊に当てはまる存在ではなく、劇中で第5の精霊は「自然界と私たちの架け橋」と言われています。実際にエルサ(とアナたち)はまさにノーサルドラとアレンデール王国の架け橋となる活躍をしましたが、その第5の精霊としての力や役割は、他にもあるのではないかとも思えるのです。

 いずれにせよ妄想の域は出ませんが、公開日が近付けば予告編やその他の情報で『アナ雪』3作目と4作目の内容ははっきりするでしょう。今は、楽しみに待ちたいと思います。