“湯船に浸からないと体臭がキツくなる説”の真相は? お風呂の専門家に聞いた衝撃回答…〈冬も気になる体臭予防策つき〉

ネット上でまことしやかに囁かれている「湯船に浸からないと体臭がキツくなる説」。SNSでも話題となったが、その真相について、お風呂を医学的に研究する専門家である東京都市大学教授の早坂信哉氏に聞いた。

“風呂に浸からない人は必ず油っぽい独特の体臭があります”Xで話題に…

先日Xでは“体臭”に関するこんなポストが話題となった。

〈これは本質情報なんですが日頃風呂に浸からない人は風呂に毎日入ってても必ず油っぽい独特の体臭があります 臭いです 臭順応で気づけないだけです 足も皮膚が分厚いのでかなり臭いです。 物理的な理由なので臭くならない人なんていません。 風呂に浸かろう!〉

このポストに対して、コメントでは〈ちゃんと毎日お風呂は入ってるけど湯船入ってない人で臭い人見たことないんだけど、そんなにいるか?? 現代人だいたいシャワーだけじゃない?〉や〈まぁ体質もあると思うけど、お風呂1〜2日入らないくらいで無臭はムリだけどクサッ!とはならんだろ〉など、懐疑的な意見が目立っていた。

ネット上でたびたび囁かれているこの説は、はたして本当なのだろうか。

「結論からいうと、シャワーだけ浴びても、湯船に浸かっても体臭の除去率に変わりはありません。

この説に関する実験によると、シャワーを5分間浴び続けた状態と、湯船に10分間浸かり続けた場合のノネナールという加齢臭の原因物質の数値を比べると、その値に大差はなかったという結果が報告されています。

ですので、湯船に浸からないからといって体臭がきつくなるとは必ずしも言えないでしょう」(早坂氏、以下同)

この説は“正しくなかった”というわけだが、なぜ世間に広く伝わってしまっているのだろうか。

「おそらくこの説を主張する人の周囲にたまたま体臭が強い人がいたなど、主観的な話が多いような気がします。

湯船に浸かる文化のない国も多くありますが、そういった外国人の方が全員臭いというわけでもないですよね。

また、体を洗う際のシャワーの当て方、石鹸を使うか使わないかなども人によって違いますので、体臭は非常に個人差があるんです」

若い世代においてはシャワーだけで済ます人も増えているが、この説はたまたま世間に広まってしまった可能性が高いということを知れただけでも一安心だ。

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夜にシャワーを浴びられなくても大丈夫! 体臭予防法を専門家が伝授

体臭といえば夏の時期に気になるイメージだが、秋冬の時期も厚着をすることによって、室内などでは汗ばんでしまう場面も多いだろう。

そんな年中気になる体臭を効果的に抑えるための入浴方法について早坂氏に伝授していただいた。

「日々忙しくてシャワーだけしか浴びられないという方は、“朝シャワー”がおすすめです。

東京ガスが行った実験では、朝に41度のお湯を1分という短い時間浴びただけで、体臭の元となる皮脂の分泌量を抑える効果があることがわかりました。

この際、石鹸などを使わなくても平気なので、忙しい朝も時短で体臭予防ができます。

夜に入浴したり、シャワーを浴びたりする方が多いと思いますが、一晩寝ると汗をかいて皮脂が付着します。そうした皮脂を朝しっかりと洗い流すことが体臭予防の秘訣なのです」

また早坂氏によると、シャワーの際のお湯の温度は42度と高めのほうがいいとのことだが、これはシャワーヘッドによってお湯が拡散されるため、通常よりも体感温度が低くなってしまうからだそう。

シャワーの当て方については、身体の部位でも特に皮脂量が多い「額」「胸の間」「背中の真ん中」「わきの下」を重点的に当てるといいそうだ。

また意外と見落としがちな「足の裏」も汗をかきやすい部分なので、シャワーの際は意識したい箇所とのこと。

――1年中油断できない体臭の問題。この機会にぜひ自身の入浴スタイルを見直してみてはいかがだろうか。

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio 写真/Shutterstock