「禁止事項」が設けられているケースもあるが、多くの人が利用する公共の場では、個々人のモラルとマナー意識が何よりも大切。
以前X上では、神奈川県横浜市の駅で発見された張り紙の内容に対し、驚きの声が上がっていたのをご存知だろうか。
■駅で見かけた張り紙、強烈な違和感が…
ことの発端は、大学院生のXユーザー・定期券さんが投稿した1件のポスト。
「センター北駅、スケボーやる人らにクッソ煽りカマしてる」と意味深な1文が綴られた投稿には、駅内でスケートボードに興じる人々へ向けた注意喚起の張り紙の写真が添えられている。一見すると、何の変哲もない光景に感じられるが…。
なんと、件の張り紙は「せんたーきたえきの なかで すけーとぼーどを するのが だいすきな おともだちへ」「かいてあるいみが わからないおともだちは おうちのひとに よんでもらってね」といった具合に、ほぼ全ての文言が平仮名で書かれていたのだった。
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■「良い煽り」と好意的な声も多いが…
こちらの張り紙が、どういった年代層へ向けた物なのかは不明である。しかし、スケボーに乗る人々を対象としている点を考慮すると、カタカナはおろか「漢字も読める」年齢に達していると考えるのが普通だろう。
平仮名だらけの張り紙は瞬く間に話題となり、前出のポストは投稿からわずか数日足らずで1万件以上ものリポストを記録する事態に。
Xユーザーからは「ここまでしないと、読めないと判断したんだろうな」「駅でスケボーするような人が、果たして読むのか? という疑問はある」「スケボーしてる奴らが、平仮名読めるわけないだろ。いい加減にしろ!」「これは良い煽り」など、様々な声が上がっていた。
そこで今回は、件の張り紙を掲出した「センター北駅」を運営する「横浜市交通局」に詳しい話を聞いてみることに。その結果、衝撃の事実が明らかになったのだ…。
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■10年に渡って同駅を悩ませていたのは…
センター北駅、スケボーやる人らにクッソ煽りカマしてる pic.twitter.com/5oh6Yl0w0f
— 定期券更新@月曜日東フ39a (@tTvVo0wWcChHaA) November 30, 2024
発見時の心境について、ポスト投稿主・定期券さんは「率直に、文章の表記が無礼であると感じました」「『スケートボードのプレーヤーは漢字を読めない』といった訳は当然なく、いくら迷惑な人に対してであっても、公益性の高い公共交通機関の組織として、非常に品位に欠ける行動と認識しました」と、振り返っている。
もちろん今回のポストに対し、定期券さんと同様の疑問を抱く人の意見も散見された。しかし前出のように、件の張り紙の内容に対して「肯定的」な意見を寄せるXユーザーが数多く確認できたのだった。
問題のセンター北駅構内の様子について、横浜市交通局・駅務管理所の担当者は「当交通局では、駅構内でのスケートボードの使用を禁止していますが、センター北駅では駅構内でスケートボードを使用する人が後を絶たず、ポスターを掲示し度々注意喚起を行なっても、通行のお客様と接触しそうになるなどのトラブルが10年以上続いており、お客様からも更なる対応を求めるご意見を頂いておりました」と、説明する。
続けて、「今回の貼り紙は、これまでも注意喚起を行なってきた中で、どのようにすればスケートボードの使用を控えて頂けるか、接触事故防止のための方法を考える中での一つとして掲出に至ったものです」と、掲出の経緯を語ってくれた。
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■平仮名表記に「他意はない」
張り紙の内容が平仮名だらけとなった背景について、担当者は「交通局としては、スケートボードの使用を控えて頂くこと以外に他意はありませんでした」とコメントしており、今回の「煽り」疑惑をキッパリ否定。
その上で、「しかし、様々なご意見を頂いたことを真摯に受け止め、現在は撤去しております」「今後も、施設を管理する上でお客様の安全を第一に考え、関係機関と連携し対応していく所存です」と、今後の対応についてコメントを発していた。
今回の件を受け、駅側の張り紙の内容に不快感を覚えた人や、スケートボーダーに対して怒りを感じた人は少なくないだろう。しかし元を辿れば、悪いのは当然、マナーを守らずにスケボーの乗り方を改めなかった「一部のスケートボーダー」である。
「木を見て森を見ず」という言葉もあるが、一部の人々の配慮に欠けた行動が、コミュニティー全体の評判を落とし、行動が制限されてしまうケースは決して珍しくない。
趣味を持つ人々は、夢中になるだけでなく、人として当然の「マナーを守ること」が、結果として自分たちのためにもなることを、改めて肝に銘じてほしい。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)