木星のトロヤ群小惑星を目指すNASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機ルーシーが、2024年12月13日(日本時)に地球でフライバイを行います。13時15分に地表から360kmまで最接近。地球の重力を利用して加速し、木星のトロヤ群小惑星に向かうことになります。
地球で合計3度行うフライバイの2回目
木星の公転軌道上には、木星の進行方向とその逆側それぞれ60度離れた「ラグランジュ点」とよばれる場所に「トロヤ群小惑星」と呼ばれる小惑星群が存在しています。ルーシー探査機はその木星のトロヤ群小惑星をはじめて間近から観測する探査機です。
今回のフライバイは、地球で3度行われるうちの2回目のフライバイになります。2022年10月16日に行われた1回目のフライバイで、ルーシー探査機は1年で太陽を周回する当初の軌道から、2年で周回する現在の軌道へと投入されました。それによりルーシー探査機は小惑星ディンキネシュを観測することができました。(参考)二重小惑星だったディンキネシュ。ルーシー探査機が観測
ルーシー探査機は今回の地球でのフライバイによって、木星の進行方向にあるL4点(第4ラグランジュ点)に向かいます。小惑星帯の小惑星ドナルドジョハンソン(20245年4月20日に接近予定)を経由して2027年にトロヤ群小惑星に初めて接近します。
その後、探査機はいったん地球軌道付近まで戻って地球でもう1度フライバイを行い、木星の進行方向の逆にあるL5点(第5ラグランジュ点)に向かうことになっています。
(広告の後にも続きます)
ISS(国際宇宙ステーション)より低い高度まで接近
ルーシー探査機は、地球への最接近時にはISS(国際宇宙ステーション)の高度(約400km)よりも地表に近づきます。地球を周回する人工衛星や、スペースデブリ(宇宙ごみ)がたくさん存在する領域を通過することになるため、必要に応じて最接近の12時間前に軌道を修正し、最接近時刻を1〜2秒変更することになっています。NASAによれば、衝突の可能性を回避するのに十分な時間だとのことです。
1回目の地球フライバイの際には、観測機器の校正のために地球や月の撮影が行われました。現時点ではそれ以上の調整の必要がないため、今回は観測機器の電源がオフのままフライバイが行われます。(参考)ルーシー探査機がフライバイ時に撮影した地球と月
(参考記事)木星のトロヤ群小惑星を目指す探査機ルーシー
Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
(参照)NASA