メルセデスのジョージ・ラッセルは、ルイス・ハミルトンとコンビを組んだ3シーズンにおいて、いかにハミルトンが模範的な存在であったかという実体験が最大の思い出だと語った。
ハミルトンは2024年限りで12年間所属したメルセデスを離れ、来季からフェラーリへ移籍する。共に多くのタイトルを獲得したチームは、門出を祝うために、様々なイベントを用意してきた。
ただ、華々しいエンディングを前に、最終戦アブダビGPの予選ではいきなり出鼻をくじかれることとなった。ハミルトンはQ1での計測ラップ中に、他車が跳ね飛ばしたボラードがマシン下面に挟まり十分なタイムを出せずQ1敗退を喫したのだ。
チーム側はリスクのある状況でハミルトンをアタックさせてしまったとして責任を認め、チーム代表のトト・ウルフは「もっと早くに行かなかったのは許しがたい、馬鹿げたミスだ」と怒りをあらわにした。
しかしハミルトンは予選後のデブリーフィングで、意気消沈するメルセデスのクルーを鼓舞。決勝レースでは16番手から4位フィニッシュを掴む劇的な追い上げで、自身の新たな旅立ちに華を添えた。
パフォーマンスが乱高下した2024年シーズンの最終レースまで、決して諦めないハミルトンの姿勢に、ラッセルは感銘を受けたという。
「正直なところ、素晴らしかった。この3年間が苦しかったぶん、この思い出を振り返り、チームは僕らにもできるということを再認識できる」とラッセルは言う。
「ルイスが栄光の時代を築いたのと同じチームだ」
「ルイスは(予選後の)デブリーフィングを終えて、予選で彼に起こった出来事に誰もが頭を抱えていたと話していた。でも彼は『堂々と胸を張って、これまで一緒に成し遂げてきたポールポジションや優勝のことを忘れないようにしよう』と言ったんだ」
幼少期からの憧れ的存在と共に仕事をした思い出を尋ねられたラッセルは、次のように答えた。
「彼がどんなロールモデルであるかを実際に目の当たりにした」
「我々はみんな、このプラットフォームを手にしていて、それを正しく使わなければならないということをルイスから学んだ。幼い姪っ子や甥っ子たちがTikTokやYouTube、Netflixを見ていると、そのことがより一層よく分かる」
「勝利とどう向き合うか、敗北にどう向き合うか……若い子どもたちを鼓舞するんだ。この週末も、僕が子どもの頃にルイスと撮った写真を見返すと、子どもたちが僕らを尊敬してくれているのと同じように、僕もルイスを尊敬していた」
「何億人もの人が見ている中で、何かを表現したいと思っても、そのやり方が非常に重要だ。それが彼から学んだ最大の人生訓だと思う」
「今シーズンを締めくくるにはとても良い形だった」