「残念ですが、感謝しています」ホンダ陣営から離脱することになった木村偉織、来季は参戦できるレースカテゴリーがない可能性も

 12月11日に、ホンダ・レーシング(HRC)が2025年の4輪モータースポーツ活動計画を発表した。その中にはいくつか未確定のシートもあったが、今季San-Ei Gen with B-Maxからスーパーフォーミュラに参戦した木村偉織の名前はなかった。

 木村は2023年にスーパーフォーミュラ・ライツでチャンピオンに輝くと、翌2024年にスーパーフォーミュラにステップアップ。1台体制で、尚且つ前年はランキング最下位に沈んだB-Maxからの参戦となったが、木村は複数回予選Q2に進み、2度の9位入賞を記録。ランキングは16位に終わったが、一定の存在感を見せていた。

 しかし木村はシーズン最終戦の際も、自身が「結果を残さないといけない」立場であることを示唆していた。そして最終的には、ホンダ陣営のラインアップから外れることになった。

 木村はHRCのドライバーではなくなってしまうため、来季のシートを得るのが難しい状況となってしまった。シーズンオフのスーパーフォーミュラ公式/ルーキーテストでは2024年のスーパーフォーミュラ・ライツ王者である小出峻がB-Maxから参加。B-Maxのシートは現状未定となっているが、スーパーGT・GT500への昇格も果たした小出はスーパーフォーミュラのシートもゲットする可能性が十分あると見られる。

 ホンダへの感謝を述べつつも、陣営からの離脱は「とても残念」と語る木村。来シーズン以降のシート探しも難航しているようだ。

「とても残念ですが、ホンダさんにはF4時代から始まり、スーパーフォーミュラ・ライツ、(スーパーGT)GT300、そしてスーパーフォーミュラとサポートしていただき、感謝しています。また他のチャンスが巡ってくることを願っています」

「(2025年に向けては)何も決まっていません。チームとは話をしていますが、タイミングがかなり遅かったということもあり、既に決まっているチームも多く、かなり難しい状況です。来年は厳しいかもしれないので、2026年のシートを見つけることに集中しています」

「(スーパーGTに関しては)GT500、GT300のチームと話しましたが、状況としては同じです。スーパー耐久に乗るにも資金が必要ですが、僕にはそれがありません。まだ少しだけ望みはありますが、(来季)レースをしない可能性は90%くらいです」

 来季のスーパーフォーミュラでは、現状ではホンダエンジン搭載車が8台になる見込み。その中でも“HRCドライバー”の椅子となるとその数はさらに少なくなる。

 またHRCは若手ドライバー育成の分野においても、加藤大翔がフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権、佐藤凛太郎がフランスF4に挑戦するなど、F1へと続く海外カテゴリーへの取り組みを進める一方、国内ではスーパーフォーミュラ・ライツでの育成枠シートがB-Maxの1台(野村勇斗)のみになるなど、限られた予算の中で“少数精鋭”とする傾向が強まっているような印象だ。