コンプライアンスの遵守が重要視される昨今でも、攻めの姿勢を見せるアニメ作品は意外と少なくありません。ときに「よくこれを地上波でやったな……」と驚くような際どいシーンが登場し、そのストロングスタイルな作品作りが注目を集めることもあります。



TVアニメ『犬になったら好きな人に拾われた。』第1弾キービジュアル (C)古川五勢・講談社/犬ひろ製作委員会

【画像】え…っ? 「やめなさいそんなアングル」 これが机の角で「シちゃった」衝撃『犬ひろ』ヒロインです

声優たちと衝撃シーンを観る過酷な生放送

 コンプライアンスや放送倫理など、地上波で放送される番組にはさまざまな制約があります。そのなかでもできる限りの攻めの姿勢で制作された番組は意外と多くあり、それはTVアニメも例外ではありません。

 たとえばここ数年の作品でいうと、『犬になったら好きな人に拾われた。』が主にセクシーな方面で注目を集めていました。同作は古川五勢先生のラブコメ作品が原作で、犬の姿になってしまった男子高校生「ポチ太」を主人公に、彼を拾ったヒロインやその周りの美少女たちの生活を「犬目線」で覗き見るような作品です。

 コンセプトが「犬目線」のVR風ラブコメということで、アニメで描かれるシーンもほとんどローアングルでした。そのため際どいシーンのオンパレードで、アニメ第5話ではヒロインのひとりが机の角で自慰行為を行うシーンまで登場します。

 同作には「放送ver.」「ワンダフルver.」「完全ワンダフルver.」の3つのバージョンがあり、地上波ではもちろん規制の多い「放送ver.」が流れました。それでも放送コードギリギリであることに変わりはなく、当時多くの視聴者に衝撃を与えたことは言うまでもありません。

 さらにはニコニコ動画で配信された出演声優たちの生コメンタリー番組では、声優たちと一緒に第5話の問題シーンを振り返るという地獄のような時間が繰り広げられました。特にこの日の出演者で唯一の男性声優だった梅田修一朗さんにはだいぶ過酷な体験だったようで、この生配信とアニメは今や伝説となっています。

「机の角」といえば、『コードギアス 反逆のルルーシュ』も忘れてはなりません。名作アニメとしてたびたび名のあがるポピュラーな作品ですが、実はなかなかに攻めた描写の多い作品でもありました。

 なかでも有名なのが、アッシュフォード学園生徒会所属の少女「ニーナ・アインシュタイン」の問題シーンです。アニメ1期の12話には、ニーナが「ユーフェミア皇女」のことを思いながら机で何やらガクガクするシーンが登場します。あからさまなお色気シーンではないとはいえ、こちらも妙な生々しさが感じられる描写でした。

 これが夕方アニメで放送された、という事実はかなり衝撃的です。当時の視聴者からも「お茶の間が凍った」「これ深夜アニメ以外でやるのか……」といった声が相次いでいました。

 そのほか2024年冬クールに放送された『魔法少女にあこがれて』も、かなり気まずくなるお色気描写の多いアニメとして記憶に新しいのではないでしょうか。同作は魔法少女が大好きな主人公「柊うてな」がひょんなことから悪の女幹部となってしまい、魔法少女たちにさまざまなイタズラをしていくという物語です。

 序盤は渋々悪の女幹部として魔法少女たちの相手をしていたうてなですが、もとから素質があったのか、話が進むにつれて嫌がらせはどんどんエスカレートしていきました。いわゆる「ヒロピン(ヒロインピンチ)」が大好きな性格だったようで、SMプレイまがいの行為で魔法少女を翻弄していくのです。そうしたSMプレイがやたらとシチュエーションに凝っており、視聴者からは「なんでR18じゃないんだ?」といった疑問の声まで聞こえてきます。

 もちろん同作はお色気描写だけでなく、バトル描写やキャラクターの心情描写なども好評で、アニメ2期を待ち望むファンも少なくありません。ただ2期の範囲は、SMプレイもよりパワーアップしているので最後まで放送できるのか、いささか心配ではあります。