赤血球や白血球、血小板たちの役割は?体のことが楽しく学べる『はたらく細胞』図鑑

細胞を擬人化して描き、その斬新かつユニークな設定が大きな話題を呼んだ漫画「はたらく細胞」。同作とスピンオフ作品「はたらく細胞BLACK」の2作品を原作とする映画『はたらく細胞』が、ついに12月13日より劇場公開された。本作の舞台は人間の体内で、年中無休で“はたらく”細胞たちの奮闘を描いていく。W主演を務める赤血球役の永野芽郁、白血球(好中球)役の佐藤健をはじめ、豪華キャスト陣が熱演する細胞たちを紹介したい。


レセプターに反応し、コミカルな動きを見せる白血球(好中球) / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
人間の体内の細胞、その数はなんと37兆個にもおよぶ。健康的な高校生の日胡(芦田愛菜)の体内では、今日も酸素を運ぶ赤血球、細菌と戦う白血球(好中球)、そのほか無数の細胞たちが健康と命を守るために日夜全力で働いていた。一方、日胡の父親、茂(阿部サダヲ)は酒やタバコ、ジャンクフードが大好きで、不摂生な日々を過ごしている。そんな茂の体内は荒れ放題で、ブラックな労働環境に細胞たちも疲れ果てていた…。

■体内の隅々に酸素を届け、二酸化炭素を肺に運搬する赤血球

血液循環により、体内の隅々に酸素を届け、二酸化炭素を肺に運搬する役割を担っている赤血球。劇中ではヘモグロビンを多く含むことから衣服や髪の色が赤く、宅配便の配達員のような恰好をしており、手にする箱には「O2(酸素)」の文字が記載されている。本作の主人公でもある永野演じる赤血球は、日胡の体内でひとり立ちしたばかりで、極度の方向音痴であることから迷子になったり、細菌に遭遇して襲われたりすることもしばしば。一方で、仕事に対する責任感は強く、どんなトラブルに巻き込まれようとも酸素を必要としている組織へ届けようとする。


永野芽郁演じる赤血球 / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
健康的な日胡に対し、不摂生を極める茂の体内では、板垣李光人演じる新米赤血球が働いている。しかし、勤務初日から激務の洗礼にさらされることに。人員不足にとどまらず、供給可能な酸素が十分でないため各細胞からは罵声を浴びせられ、通路=血管もコレステロールで塞がっていてスムーズに進むことができない。アルコールの雨も浴びながら、加藤諒扮する先輩赤血球からこの体内での生き抜き方を学んでいく。


超ブラックな茂の体内環境に翻弄される新米赤血球と先輩赤血球 / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
■体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する白血球(好中球)

外部から体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する白血球(好中球)。キャップや作業着、ブーツはもちろん、顔も完全に真っ白なビジュアルで、「ぶっ殺す!」のような物騒な言動からほかの一般細胞からも恐れられている。その一方で、後頭部には細菌に反応する早押しボタンのようなレセプターが仕込まれており、それに合わせてコミカルな動きを見せたり、迷子になった赤血球をサポートしたり、心配して後を追うなど面倒見がいいところも。武器はダガーナイフで、佐藤によるアクロバティックな動きで細菌を翻弄しながら撃退していく。(劇中における)排気口など正規の通路を使わずに移動できる「遊走」という能力を持ち、小さい頃は『300 スリーハンドレッド』(07)よろしくなスパルタ式の戦闘訓練で鍛えられている。


佐藤健演じる白血球(好中球) / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
■“ザ・体育会系”な免疫細胞の主力部隊、キラーT細胞

リンパ球の一種で強力な殺傷能力を持つ免疫細胞の主力部隊であるキラーT細胞。「KILL」と記された黒いキャップに黒い半袖&長ズボンの作業着を身に着け、いつも集団で行動している。山本耕史が熱演するリーダーをはじめ全員が筋骨隆々な体型をしていて、軍隊のように統率が取れた動きをするなど“ザ・体育会系”と呼ぶべき存在だ。


山本耕史演じるキラーT細胞 / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
■一匹狼気質な生まれついての殺し屋、NK細胞

仲里依紗演じるNK細胞は、ナチュラル=N、キラー=Kの名前通り、生まれついての殺し屋で、がん細胞やウイルス感染細胞などの異物を見つけ次第、単独で攻撃の先陣を切る。黒のタンクトップ&短パン姿で武器としてサーベルを用いる。一匹狼気質なため、団体行動を尊ぶキラーT細胞とは衝突しがち。


仲里依紗演じるNK細胞 / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
■赤芽球を育成する一方で、細菌などの異物を捕らえて排除するマクロファージ

マクロファージは免疫細胞の1つで、細菌などの異物を捕らえて殺し、抗原や免疫情報を見つけだす。赤芽球(赤血球になる前の細胞)の育成も行っている。純白のエプロンドレス姿に穏やかな口調、演じる松本若菜の微笑みもあって優しさオーラにあふれているが、巨大な鉈を振るうなど戦闘では容赦がない。


赤芽球の育成をしているマクロファージ / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
■冷静沈着な免疫細胞たちの司令官、ヘルパーT細胞

細菌などの外敵侵入の知らせを受け、敵の情報をもとに的確に攻撃できるように戦略を決める司令官のヘルパーT細胞。冷静沈着で眼鏡を着用し、仕事中でもティーカップを手にしている。演じるのは染谷将太。クールな雰囲気だが、日胡のアドレナリンが上昇した際はほかの細胞たちと一緒に制御不能で踊っていた。


染谷将太演じるヘルパーT細胞 / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
■損傷した血管を修理して回る血小板

血小板は赤血球、白血球(好中球)と同じく血液中の有形成分の一つ。血管が損傷した時に集合し、止血する役割を担っている。ほかの細胞よりもサイズが小さい。損傷箇所を道路の舗装工事のように修理して回り、粘着力のあるネット状の道具に周囲の赤血球や好中球を結合させて穴を塞いでいく。これがカサブタとなる。全員が幼い子どもの姿をしており、スモックのような制服に半ズボン、キャップを被っている。少しお姉さんなリーダーの血小板をマイカ・ピュが演じている。


血管が損傷した時に集合し、傷口を止血する血小板 / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
■物質の代謝や解毒を行う肝細胞

深田恭子演じる肝細胞は、肝臓の70~80%を構成する細胞として、物質の代謝や解毒を行っている。歓楽街風のエリアにあるお店に勤めており、そこへ新人赤血球と先輩赤血球がアルコールを分解してもらうためにやって来る。肝臓には異物や毒素、老廃物などを消化、分解、再利用するクッパー細胞もおり、役目を終えた赤血球はここで貪食される。


深田恭子演じる肝細胞 / [c]清水茜/講談社 [c]原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 [c]2024映画「はたらく細胞」製作委員会
このほか、憧れの先輩、武田新(加藤清史郎)に出会った日胡のアドレナリンを上昇させるクラブDJのような神経細胞(DJ KOO)、お腹を壊した茂の体内で最後の砦となって踏ん張る外肛門括約筋(一ノ瀬ワタル)など様々な細胞、体内組織が登場する『はたらく細胞』。赤血球、白血球たちの懸命な姿を見れば、彼らのため、そして自分自身のために少しでも健康に気を遣おうと気持ちも改まるはず。映画を楽しみながら、体のことも学んでいこう。

文/平尾嘉浩