次期ジェームズ・ボンド役の最有力!?MCUや『ブレット・トレイン』『クレイヴン・ザ・ハンター』などに出演してきたアーロン・テイラー=ジョンソンのこれまで

これまでもヒット作に出演し、知名度も高かった俳優が、さらに一段レベルアップしてメジャーな人気を獲得する。そんな例は過去に何度もあったが、いまこれを体現しているのがアーロン・テイラー=ジョンソンではないだろうか。マーベルの最新作『クレイヴン・ザ・ハンター』(公開中)で主人公を演じているうえ、次のジェームズ・ボンド役の最有力候補と噂されているのだから!


“スパイダーマンの宿敵”として知られる悪名高き最強のハンターの誕生を描く『クレイヴン・ザ・ハンター』 / MARVEL and all related character names: [c] & TM 2024 MARVEL
■クイックシルバー役でMCUにも出演!

『クレイヴン・ザ・ハンター』でテイラー=ジョンソンが演じるのは、百獣の王のパワーとスピードを肉体に宿し、動物ともコミュニケーションできる“ハンター”のクレイヴン。マーベルコミックでは、スパイダーマンの宿敵として登場する、超バイオレントなキャラだ。


バキバキに割れた腹筋!(『クレイヴン・ザ・ハンター』) / MARVEL and all related character names: [c] & TM 2024 MARVEL
テイラー=ジョンソンがマーベルのキャラを演じるのは、今回が2回目。過去にマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14)と『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15)でクイックシルバーことピエトロ・マキシモフ役を演じていた。MCUとソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)とはいえ、マーベル作品で2つのメインキャラを任されたのは、彼とクリス・エヴァンスくらいというレアケース(エヴァンスは2007年の『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』にヒューマン・トーチ役で出演)。それくらいアクション大作が似合う俳優なのだ。


クイックシルバー役でマーベル・シネマティック・ユニバースにも参戦(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』) / [c]Everett Collection/AFLO
■『キック・アス』のオタク高校生役でブレイク!

コミックヒーロー映画といえば、テイラー=ジョンソンが注目を集めたのは『キック・アス』(10)だった。自前コスチュームで街を守るヒーローになろうと奮闘するオタク高校生の主人公に、俳優としてビッグになりつつある彼の素顔が重なり、共感度も大だった。『キック・アス』は多くの人に愛され、続編も製作。このようにヒーロー映画と共に成長したテイラー=ジョンソンが、「007」の7代目ボンドの候補になっていることは感慨深い。


自前のコスチュームを着用し、街を守るヒーローになろうと奮闘するオタク高校生を演じた『キック・アス』 / [c]Everett Collection/AFLO

■ジョン・レノンの若き日を演じた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』

1990年にイギリスのバッキンガムシャーで生まれたテイラー=ジョンソンは現在34歳。6歳で初めて舞台に立って演技の楽しさを知り、10歳の頃から映画やドラマで本格的に子役として活躍。ジャッキー・チェン主演の『シャンハイ・ナイト』(03)では喜劇王チャップリンの子ども時代を演じた。その後も着実にキャリアを積んだテイラー=ジョンソンにとって、運命の一作となったのが『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(09)だ。ジョン・レノンの若き日を演じ、多くの演技賞を受賞して才能を評価された彼は、同作の監督で、23歳年上のサム・テイラー=ウッドと惹かれ合い、婚約。この作品まではアーロン・ジョンソンだった芸名に“テイラー”がプラスされた。彼らには2人の娘が生まれ、2012年に正式に結婚する。


ジョン・レノンの若き日を演じた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』 / [c]Everett Collection/AFLO
■『GODZILLA ゴジラ』、『ブレット・トレイン』など日本関連の作品も

テイラー=ジョンソンは日本に絡んだ作品への出演も目につく。ハリウッド製作で、渡辺謙も出演した『GODZILLA ゴジラ』(14)では、ゴジラの戦いにも関わる主人公の海兵隊員を演じた。役作りでは海軍で2か月ものトレーニングを受けたという。子ども時代を日本で過ごし、少しだけだが日本語も理解する役どころだ。


主人公の海兵隊員を演じた『GODZILLA ゴジラ』 / [c]Everett Collection/AFLO
そして伊坂幸太郎の小説を映画化した『ブレット・トレイン』(22)では殺し屋コンビの一人を演じ、日本の新幹線で激しい攻防を繰り広げた。撮影は日本では行っていないものの、この作品でテイラー=ジョンソンは、共演のブラッド・ピット、真田広之らと来日キャンペーンに参加している。


ブラッド・ピット演じる主人公と新幹線で壮絶なバトルを繰り広げた『ブレット・トレイン』 / [c]Everett Collection/AFLO
このほかにも、『TENET テネット』(20)で時間逆行の作戦での指揮官、『キングスマン:ファースト・エージェント』(20)では第一次大戦下のイギリスの軍人、『フォールガイ』(24)で撮影現場から行方をくらますスター俳優と、アクション大作に引っ張りダコのテイラー=ジョンソンだが、作品ごとに違った顔を見せ、演技の幅が広いことも証明する。ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞に輝いた『ノクターナル・アニマルズ』(16)における殺人犯役では背筋を凍らせる瞬間も多数。人智を超えた危うさや狂気は、最新作『クレイヴン・ザ・ハンター』でも発揮されている。


殺人犯役で出演し、背筋を凍らせる瞬間も(『ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち』) / [c] 2016 Fade To Black Productions, Inc. All Rights Reserved.
■アーロン・テイラー=ジョンソンからますます目が離せない!

イギリスの大衆紙「ザ・サン」が毎年発表する“科学者が選ぶ最も美しい顔”で2024年の男優トップに選ばれるなど、人気が過熱気味のテイラー=ジョンソン。今後も、吸血鬼を描いたゴシックホラー古典のリメイク『ノスフェラトゥ(原題)』がアメリカで年末に公開され、『28日後…』(02)、『28週後…』(07)に続く終末パニックシリーズの新作『28年後…』(25年公開予定)も控えるなど話題作が途切れない。この勢いが次のジェームズ・ボンドにつながっていくのか?アーロン・テイラー=ジョンソンへの注目度がますます上昇するのは間違いなさそうだ。

文/斉藤博昭