【MotoGP】開発ライダー中上貴晶! 初仕事が早くもスタートへ。目標は「“このバイク最高”って言える力になりたい」

 MotoGPのフル参戦を終えた中上貴晶は、2025年から本格的に始まる開発ライダーの仕事として、今月からすでにテストを担当する予定だと明らかにした。

 2018年からMotoGPクラスに参戦してきた中上。彼は今年限りで一線を退くことを決断し、2025年からはホンダでMotoGPマシンの開発ライダーを務めることとなった。

 近年のホンダはかなりの苦戦に喘ぎ続けており、中上のようにホンダのマシンでの走行経験が長く、日本の開発陣とも円滑にコミュニケーションが取れる人物が”開発ライダー”を務めることで、改善スピードが上向いていくことが期待されている。

 これまでは中上のシーズン終了後のテスト予定は明らかになっていなかったが、12月14日にホンダのファン感謝イベント”Honda Racing 2024 Season Finale”に参加した中上は、メディアの取材に対して今後のテスト予定を明らかにした。

 彼の語ったところによると、週明け12月16日には、初めてテストを行なうことになるという。

「今の状況はシーズンオフと言いたいところですが、 来週すでにテストを控えていて、その準備もありますし、このイベントが終わったらすぐに出発になります。11月末にシーズン終えたものの、12月の頭に日本に帰ってきて、まだバタバタとしていました。スペインの拠点を全て引き払って、今後は日本が拠点になるので、その辺の準備も進めていかないといけないですから」

「フル参戦を終えて、オフシーズンも変わるかなと思っていたんですが、今の所大きな変化はなく、逆にオフが短いという感じですね」

 ホンダといえば、最終戦後のポストシーズンテストではファクトリーチームのジョアン・ミルが新パーツが無い状況に怒りを示していたことも記憶に新しい。中上はあえて各ライダーのテスト状況に関する情報は得ていないという。そして、来週行なうテストはセパンで行なわれることも明かした。

「このイベントを終えたら直ぐにテストに出発してしまいます。場所はセパンになります」

「最終戦が終わった後のテストは、自分はその現場にいたものの、誰がどのパーツを使っているかという情報は得てはなかったです。実際に各ライダーのコメントも違いましたし、インパクトのあるミルのコメントも、他3人はもしかしたら違うかもしれないです。ですから、自分はフラットな状態で次のテストで乗る予定です」

「そこでの比較だったり、マレーシアでのシーズン初めのテストと開幕戦に向けて、ある程度方向性を絞っていきたいなとは思っています」

 そしてフル参戦ライダーから開発ライダーへの転身を、中上はチャンスと捉えている。そして現役ライダーたちに「このバイク最高」と言わしめたいと意気込みを語った。

「日本のメーカーで、日本人がこれだけのスピードある状態で開発に携われるっていうのは、ある意味チャンスだと思います」

「まずは来週初めてテストチームと合流するわけですけど、そこで自分自身も今のホンダHRCのテストチームがどういう風にやってるのかっていうのをちゃんと肌で感じたいです。そこで気づいた点だったり、あるいは自分が『もうちょっとこうした方がいいとか』っていうところも多分出てくると思うので、そういった部分はどんどん伝えていって、スピードアップに繋げていきたいなと思ってます」

「自分自身いろんな経験があるからこそ、走るだけではなく、そういった伝える力だったり、テストチームっていうのが年々重要になってきています。そういう部分をよりスピードアップさせて、いいものを早く作って、レギュラーライダーたちが早く笑顔で『あ、このバイク最高』って言える力になりたい。そこがまず最初の目標ですね」

 なおMotoGPは2025年2月5日から、最初のプレシーズンテストがセパンで開始。翌週にはタイのブリーラムで2回目のテストが行なわれ、開幕戦へと向かう予定だ。