暴力的なシーンや濡れ場を理由に、年齢制限が避けられなかったマンガの実写版の映画は少なくありません。検索のサジェストに「気まずいシーン」とまで出てくる実写映画とは、どのようなものなのでしょうか。
映画『空気人形』ポスタービジュアル (C)業田良家/小学館/2009「空気人形」製作委員会
【画像】え…っ? 「君たちガチ中学生じゃないよね?」こちらがポスターだけで衝撃&気まずいR指定実写化映画です(6枚)
容赦ないグロシーン、気まずい濡れ場シーンで年齢制限
日本では、第三者機関「映画倫理機構(映倫)」の独自の基準によって、映画に年齢制限が行われています。たとえば2020年公開の劇場アニメ『メイドインアビス 深き魂の黎明』では、公開直前にレイティングがPG12(12歳未満の年少者には保護者の助言・指導が必要)からR15+に変更、前売り券を購入した15歳未満に返金対応を行なったことも話題になりました。
マンガの実写化映画でも、そんな年齢制限を避けられなかった過激なシーンが盛り込まれている作品も少なくありません。
『空気人形』
2009年に公開された『空気人形』は、ラブドールの「のぞみ(演:ペ・ドゥナ)」がある日心を持ち、恋をするファンタジー色の強いラブストーリーです。業田良家先生による同題の短編マンガに是枝裕和監督が独自の解釈を加えた実写映画は、第62回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」で上映、海外でも高い評価を受けています。
作中ではのぞみがレンタルビデオ店の店員「純一(演:ARATA)」への恋心を繊細に描いている一方で、彼女がラブドールとして持ち主の「秀雄(演:板尾創路)」との行為をしたり、事後に手洗いされたりと際どいシーンも見られました。
また、クライマックスでは、のぞみが純一に対してかなりグロテスクな行動にでており、「雰囲気のかわいい映画だと思って観たらクライマックスがエグ過ぎて驚いた」「儚さも素敵な映画なんだけど、人に薦めづらい」といった声も多く寄せられており、実際に『空気人形』でウェブ検索をするとサジェストに「気まずいシーン」が出ています。世界的に高い評価の是枝作品のなかでも、かなり異色です。
『サユリ』
2024年8月公開のホラー映画『サユリ』(原作:押切蓮介)は、刺激の強い殺傷や流血の描写を理由に「R15+」指定されている実写化作品です。
念願の一戸建てに引っ越し、夢のマイホーム生活が始まったはずの「神木家」は、その家に棲みついていた怨霊「サユリ」によって家族が次々と殺されていきます。
仲の良い家族が凄惨な目に遭うシーンが続く前半は人を選ぶものの、途中から認知症の症状も見られていた祖母「春枝(演:根岸季衣)」が覚醒、泣きじゃくる主人公「則雄(演:南出凌嘉)」に「さっきの『アレ』を地獄送りにしてやるんじゃ!」と喝を入れる展開には「鬱屈とした前半の空気を完全に吹っ飛ばしてて最高」「『祓って済ませるつもりはねぇ』ってセリフ痺れた」と、絶賛の声が相次いでいます。
その一方で、原作にはないホラー要素とは別の「エグすぎる事実」も後半に明かされるため、やはり観るのに覚悟は必要な作品です。
『シグナル100』
担任教師の「下部(演:中村獅童)」により、突如として自殺催眠をかけられた生徒たちが生き残りをかけた壮絶なデスゲームへ巻き込まれていく実写映画『シグナル100』(原作:宮月新/作画:近藤しぐれ)は、壮絶な死亡シーンが続出し、やはりR15+指定されています。
「スマホを使う」「指を差す」といった日常的な行動がトリガーとなり、序盤から次々と生徒たちが自ら命を絶っていくシーンは「キツいシーンが苦手な人は離脱しても仕方ないほどグロい」といった声もあがっています。
また、橋本環奈さんや小関裕太さんをはじめとする人気若手キャスト陣の鬼気迫る演技も、絶望的なデスゲームのなかで希望を捨てない懸命さを強く印象付けていました。