「冷酷と激情のあいだvol.225〜女性編〜」では、妻に隠れてセルフプレジャーに励む夫に嫌悪感と不快感をあらわにする由香里さん(42歳・仮名)の心情をお届けしました。 では夫のトシカズさん(49歳・仮名)は、現在の夫婦関係についてどう考えているのでしょうか。
こんなもんでしょ
100%妻が発端(写真:iStock)
「幸せかと聞かれれば、うーん、どうなんでしょうね? って思う部分はありますけどね。
理想を掲げればキリがないけれど、まぁ夫婦とか家庭とかってこんなもんでしょ。
妻とはもう男女っていうよりも、完全に家族って感じになっているから、ラブラブとかそういうのは全くないですけど。
家のことをしっかりやってくれているし、子育ても頑張ってくれているし、だから僕は妻に対して特に不満は持っていません。
でも、強いて言えば妻はかなり神経質な性格で、僕に対して理想を押し付けたがるところがあるので、それは疲れますけどね…」
夫婦喧嘩は100%妻が発端となっているのだそう。妻からトシカズさんに対して文句や不満がぶつけられ、最初のうちは静かに聞いていたトシカズさんが言い返してしまうと、そこから大喧嘩に発展するのがお決まりのパターンだと言います。
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波風を立てずに平和に過ごしたい
喧嘩は疲れる(写真:iStock)
「喧嘩はエネルギーを使うので、できるだけ避けたいんです。だって今更喧嘩をしても、お互い譲れない部分だって多いでしょう?
だから相手はこういう人だって諦めて、一緒にいるのがベストだと僕は思うんですよ。
でも妻は何かと細かいところを気にする性分ですね。この前は、僕の部屋に勝手に入って、僕が隠している私物やグッズなんかも漁ったみたいですし。
まぁ妻が、そういうことをする人だっていうのはわかっているから。妻には何も言っていません。
話し合いをしても何かが変わるわけじゃないし、放っておけばそのうち飽きるだろうって。
離婚とかそういうのは全く考えていませんから、とにかく夫婦間に波風を立てずに平和な毎日が過ごせれば、僕としてはそれでいいです。
妻から何かを要求されても、僕は変わる気もないですよ。もう若くないですからね、20代のカップルみたいに熱い思いでパートナーにぶつかっていくなんて、僕にはとても無理ですね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)