RBの角田裕毅は、2024年シーズン終了後にヤス・マリーナ・サーキットで行なわれたポストシーズンテストにレッドブル・レーシングから参加。マックス・フェルスタッペンを4度目のドライバーズチャンピオンに導いた最新マシンRB20をドライブした。
レッドブル陣営の姉妹チームに所属する角田としては、これがシニアチームでの初テストだったが、担当したエンジニアからは懸念されていた領域でも高い評価を得ることができたはずだと語った。
2025年シーズンのF1エントリーリストがFIAから既に公開されたものの、レッドブル陣営は来季のドライバーラインアップを決めかねており、不振続きのセルジオ・ペレスをシニアチームから降ろし、RBに所属する角田やリアム・ローソンのどちらかがその後任になると囁かれている。
レッドブル系ドライバーの去就に大きな注目が集まる中行なわれた今年のポストシーズンテストで、角田はRB20を初ドライブ。来季仕様のピレリタイヤをテストし、計127周を走破した。
タイムシート上で角田は1分24秒689で全23台中17番手となったものの、各車の走行プログラムが不明なため、こちらはあくまでも参考タイムでしかない。
テスト後、レッドブル・レーシングのパフォーマンス・エンジニアリング主任を務めるベン・ウォーターハウスからは角田に対して高い評価が送られていたが、角田としても確かな手応えを感じているようだ。
レッドブル・レーシング昇格競争の中で、角田はフィードバックをはじめとする技術的な能力や、チーム無線での強い口調から振る舞いの面でチームが疑念を持っているとされてきた。
しかしテストで角田は、そうした評価ポイントを気にした上で、期待以上のフィードバックをチームに行なうことができたと考えている。
Honda Racing 2024 Season Finaleの際に行なわれた合同記者会見でmotorsport.comがテストでのチームからの評価を尋ねると、角田は次のように答えた。
「特に自分のフィードバックに感銘を受けたというのはすごく聞きました」
「現地のフィードバックエンジニアもそうですが、特にミルトンキーズにあるレッドブルのオフィスルームでつながっている後援のエンジニアもすごく感銘を受けたと聞きました」
「特にそこら辺がターゲットでもあったんです。おそらく、レッドブル的にも僕の速さにはあまり問題がないと分かっているはずです。逆に彼らが気にしているのはフィードバック、チーム内での振る舞い、クルマの中での振る舞いだったと思います」
「彼らとしてはそこが1番未知数のところだと思ったので、そこに集中しながらも、今までと変わらずフィードバックをして、できるだけ事細かく伝えるようにしました」
昨年までのアルファタウリを含め、角田が4年間在籍してきたRBはイタリア・ファエンツァに本拠地を構える。元を辿れば、古き良きミナルディだ。中団グループで活躍してきた時代が長い。
一方でイギリス・ミルトンキーズにファクトリーを置くレッドブル・レーシングは、フェルスタッペンやセバスチャン・ベッテルといったチャンピオンを輩出し、コンストラクターズタイトルも6回獲得している。
F1に向き合うプロセスやアプローチにおける2チームの違いについて角田に聞くと、レッドブル・レーシングではより緻密なやり取りが行なわれると明かした。
「ふたつのチームはかなり違うといっても、チーム内の明るさは似ている部分もあります」と角田は説明した。
「僕らのチームはすごくイタリアっぽくて、フレンドリーでスキンシップも多いです。イギリスのレッドブルの方も本当にエネルギッシュで、チームの中はパブみたいな雰囲気です」と角田は言う。
「エンジニアリングのプロセスに関して例をひとつ挙げるとしたら、レッドブルの方がひとつひとつのコメントに対して深く追求してきます。僕が感じたことを聞き逃さず、さらに詳細なところまでかなり聞いてきます」
「ワイワイやってエネルギッシュなイメージですが、エンジニアリングやクルマといったところでは、すごく細かく聞いてきます。逆にそこは、意外と日本人の細かいところまで目を配る面が出るのかなとは思います」
「あとはお互いが遠慮なくコメントをぶつけ合うエネルギーを感じました。かといって、僕らのチームにそれがないわけではないと思いますが、そこが少し違ったと思います」