MotoGPの若きスターであるペドロ・アコスタは、2025年からKTMのファクトリーライダーに昇格。将来は順風満帆なはずだった。
しかし今月初め、KTMはバイク販売に苦戦し自主再建に入ったことを発表。その後、約30億ユーロ(約4850億円)もの負債を抱えていることが明らかになった。そしてmotorsport.comが以前報じたように、KTMはスポーツ・プロジェクトを守るための措置のひとつとして、MotoGPバイクの開発を一時停止することを決定した。
アコスタのマネージャーであるアルバート・バレラは、motorsport.comのスペイン版ポッドキャストに出演。契約時に、KTMの財政状況は考慮されることはなかったと語った。
彼はまた、アコスタと彼のマネジメント・チームもこの状況を心配していることを認めた。
「契約を結んだとき、誰もこの可能性を警告してくれなかった。KTMは巨額の資金力を持つ巨人だと聞いていたので、まったく驚きだった」
「消化するのが簡単なニュースではなかった。幸いなことに、このプロジェクトはMotoGPで継続されるとのことなので、来年マシンがないという危険はない」
「我々が気になっているのは、どのような条件で参戦できるかということだ」
「5月に我々は、数千万ドルの利益を生み出し、ドゥカティと戦える強力なポジションにあるという明確なメッセージを持つ、勝てるプロジェクトと契約を結んだ」
「しかし今はそうではない。突然、半年ですべてが変わってしまい、何が起こったのだろうと思っている。それは我々が懸念することだ。明白なことを否定するのは馬鹿げている」
「ペドロも私も、彼の家族も側近も、現在の状況を心配しているのは明らかだ」
現時点でKTMとの契約を破棄するのは難しいとバレラは認めたが、KTMの約束を信用するのも難しいと語った。
「我々は言われたことを信じるという、難しいけれどもやらなければならないことをしなければならないと思う」と彼は付け加えた。
「というのも当時のKTMは、自分たちのことを巨大で、ドゥカティに対抗できる立場にあると言っていた」
「今の状況は、彼らの言っていたこととは乖離している。しかし我々は信じ、信頼し、これから起こることを予測しないという難しい訓練をしなければならない」
「2025年の契約を破棄することを今考えるのはとても難しい。これから起こることを予測する必要はないと思う。契約を破棄できるのは、相手に違反があったときだ。今のところ、KTMは契約違反を犯していない」
「2025年については、状況が悪化してKTMから連絡がない限り、今のところは通常通りだと言える。メッセージとしては、彼らはまだ世界選手権に残っているということだ」
2025年のシートはすでに全て決まっており、どのトップチームにも空きはないため、もしアコスタが袂を分かつことになった場合、現実的な選択肢はほぼないだろう。
しかしバレラは、KTM以外のメーカーもアコスタの状況に興味を示していると語った。
「私は多くのファクトリーチームと常に話をしている。良好な関係を築き、毎日のように連絡を取り合っているんだ」
「彼らは皆、ペドロがどうしているかを私に尋ね、この状況がペドロに影響しないようにと願い、我々をサポートし、無事を祈ってくれている」
「私はすべてのファクトリーを知っている。そして我々が代替案を探さなければならない立場になった瞬間、すべてのファクトリーがアコスタを助けるためにオープンになってくれるだろう」
「ペドロはダイヤモンドであり、20歳だ。すでに多くのことを見せているし、どんなファクトリーでも彼のサービスを受けたいと思うだろう」