角田裕毅と岩佐歩夢は共に、ホンダ・レーシングスクール(HRS/旧SRS)出身で、ホンダとレッドブルの育成プログラムを駆け上がった。角田RBでチーム所属4年目を終え、岩佐は今年レッドブル系チームのシミュレータドライバーを務めた。
同じようなキャリアステップを経て、F1という世界を生きるふたりだが、自宅を構える環境については意見が一致しないようだ。
角田はFIA F3に参戦した2019年に渡欧。FIA F2、F1とキャリアを勧めていく中でイギリス、そしてRBがファクトリーを構えるイタリアのファエンツァへと転居した。最近では流行の発信地ミラノへと移住。新たな環境での生活を謳歌している。
一方で岩佐は、2020年からフランスF4に参戦するためフランスのル・マンに1年居を構え、F3昇格以降はイギリスのミルトンキーズに住んでいる。
ミルトンキーズはシルバーストン・サーキットも近く、レッドブル・レーシングをはじめ多くのF1関連ファクトリーが点在するが、首都ロンドンからは北西約80km……街としては、控えめに言って田舎寄りだ。
しかし岩佐は、そんなミルトンキーズでの生活を楽しんでいるようだ。
「ミルトンキーズはイマイチという話もありますが、僕は“I Love ミルトンキーズ”で過ごしています」
Honda Racing 2024 Season Finaleの“欧州留学物語”と題されたトークショーに出演した岩佐は、開口一番にそう語った。
これに対して、先輩の角田がアドバイス。ミルトンキーズを人気作品『進撃の巨人』に登場する城壁に守られた街に例え、岩佐に対して次のように語った。
「アドバイスを言うと、ミルトンキーズから1回出てみてほしいですね。申し訳ないけど、イギリス人の方でも同意しますよね?」
「他の場所を知ってほしいです。進撃の巨人みたいに壁に覆われている状態ですからね」
岩佐は角田に「比較的新しい街じゃないですか!?」と反論し、次のように続けた。
「やることないのは分かるんです。でも逆に言うと必要最低限で収まっていて、別にガチャガチャしていないし、非常に過ごしやすいなと感じているんです」
そう語る岩佐に対して角田は「マジで1回出てみな?」と告げ、自身が最近引っ越したミラノの魅力を説明した。
「ミラノは最高。すごく良いバーが沢山あり、雰囲気もすごくリラックスしている街です。ロンドンも東京よりも少しリラックスしている感じですが、イタリアのおばあちゃん、おじいちゃんから若い層まで、夕方(夕食前)に外で軽くアペリティーボでワインを飲む、ミラノの雰囲気が僕は大好きなんです」
ミルトンキーズにアペリティーボができるバーはないのかと聞かれた岩佐は「でもミルトンキーズには若者が多いイメージです!」と一歩も引かず。角田がすかさず「めちゃめちゃ(ミルトンキーズ)推すじゃん、この人!」とツッコミを入れた。
攻勢に出た岩佐はさらに、レースに集中するという面ではミルトンキーズがオススメだと続けた。
「住み心地良いですよ。確かに遊び場はないですけど、それだけレースに集中できる環境があります。レースをやっていくのであれば、別にそれ以上はいらないかなと思うんです」
一方で、岩佐はミルトンキーズからの移住先としてロンドンやオックスフォードといった街が勧められているという。オックスフォードは、現在はスーパーGTやスーパーフォーミュラなど国内を中心に活躍する牧野任祐が欧州挑戦中に拠点を構えていた街。岩佐に対して、同席した牧野は次のようにプレゼンした。
「めちゃめちゃ良いですよ。素晴らしい環境でした」
「街がまず綺麗だし、人も結構優しい人多いし、ジムも良いんです。僕が住んでいた時はジョージ(ラッセル/メルセデス)と(元ハースF1のニキータ)マゼピンとかと同じジムに行っていました。マゼピンとは同じマンションでしたしね」
「めちゃめちゃ良いところでした」