【岩本輝雄】ベガルタのレジェンド梁と同じピッチに立てた。嬉しかったな。僕が一番好きなプレーは、ゆっくりな斜めのドリブルだね

 ベガルタのレジェンドの“ラストダンス”。12月14日にユアスタで梁の引退試合が開催された。

 僕もユアスタに駆けつけたよ。お客さんもたくさん入って、雰囲気はすごく良かった。最初は解説をしていたんだけど、最後のほうでちょっと出させてもらった。

 久しぶりにユアスタのピッチに立ったけど、やっぱり最高だよね。もう別格。何がいいかって、ちょっと言葉では上手く伝えられないな…あの包み込まれるような感じというか。うーん、こればっかりは立ってみないと分からないと思う。

 懐かしかったなぁ。ベガルタでプレーしていたのはもう20年以上も前のことだけど、あの頃の記憶が蘇るもんだね。梁の引退試合だけど、個人的にも感じ入る部分があった。ユアスタはやっぱり僕にとっても特別なスタジアムだから。

 梁と同じピッチに立ったのも初めて。誰もが認めるベガルタの伝説的選手だ。計18年間、チームの大黒柱として活躍してくれた。

 プレーで見せる、背中で示すタイプのリーダーだよね。セットプレー、運動量、献身的な振る舞い。チームが苦しい時に必ず助けてくれる。どんなシチュエーションでも。そんなイメージが強いね。本当に頼もしいなって。

 梁の正確なキックもそうだけど、僕が一番好きなプレーがある。勝っている時とか、ここでちょっとチームを落ち着かせたいなっていう時に、梁はあえて斜めのほうにゆっくりとドリブルする。
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 何でもないプレーだよね。むしろ地味。いまカウンターで攻められるじゃん、みたいな時もあるけど、梁は無理に行かない。なぜか。ここはキープだよねっていう判断。でも間違っていない。だから本当に頭が良くて、ゲームを“読める”選手だったと思う。

 キープして、だいたいコーナーを目がけてゆっくりとボールを運んでいく。あれがいいんだよね。よく見てたし、好きだったなぁ。

 梁がベガルタに残した功績はめちゃくちゃデカいと思う。長い現役生活で、ずっと出続けていたのが凄い。プロとしては大事なことだよ。もちろん、本人のサッカーに対する真摯な姿勢だったり、努力があったはず。

 だから大きなリスペクトがある人だよ。そんな梁の引退試合で、同じピッチに立つことができた。嬉しかったね。ありがとう、梁。お互いにサッカーが大好きだから、また一緒にボールを蹴りたいね! 改めて、長い現役生活、本当におつかれさまでした!

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、52歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。

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