「世界のトップ15に入るクラブで活躍したいのなら…」久保建英のシーズン前半戦を現地記者やアナリストらが分析「もっと数字でインパクトを残さなければ」

「タケ・クボ(久保建英)が調子を上げているのは明らかだ。パスを受けるたびに、そのクオリティーで相手守備陣に脅威を与えている。アジアカップ後に失っていた牙を取り戻した彼に、レアル・ソシエダは心から感謝している」

『ラジオ・マルカ』で人気番組のMCを務めるミゲル・キンターナ氏の言葉に代表されるように、スペインでも、最近の活躍を受けて、久保が本調子を取り戻したという見方が支配的だ。

 昨シーズン、アジアカップから復帰後にパフォーマンスを落としたことは、地元一般紙『ノティシアス・デ・ギプスコア』の看板記者、ミケル・レカルデ氏によれば、イマノル・アルグアシル監督もオフレコで認めていることで、今シーズン序盤、幾度か物議を醸したスタメン落ちもそのことが頭にあっただろうことは想像に難くない。

 その久保の状態が好調時に戻ってきた。昨シーズン前半戦の、あのレアル・マドリーで加入早々にゴールを量産していたジュード・ベリンガムに次ぐ活躍を見せていると評価されていた頃の状態に、である。

 久保をマルティン・スビメンディやミケル・オジャルサバルと並ぶレアル・ソシエダのスター選手の1人と評価するレカルデ氏は、賛辞の言葉を惜しまない。「個の打開力ではソシエダでダントツNO.1だろう。今シーズン前半戦も、全体的には輝きを放てなかった中でも、決定的なプレーを見せた試合がいくつもあった。最大のハイライトのひとつはやはりバルサ戦だろう。攻守に奔走し続け、試合後は疲労困憊で歩くのにも苦労するほどだった」
  後半戦への期待も当然ながら大きい。「前半戦のイマノルのタケの起用法には疑問もあったが、おかげでタケは休息を与えられた。後半戦に向けて、ピーキングを持ってくることが可能なわけだ。後半戦、タケに求められるのは古巣のバルサ相手に見せたような“最大限のパフォーマンス”を続けることだ」

 久保を絶賛するレカルデ氏だが、「フィニッシュワークの冷静さが少し足りない。先日のディナモ・キーウ戦でも、相手の緩慢な守備を突いて、何度も決定的なチャンスを得たが、無得点で終わった」と課題を挙げることも忘れなかった。

 そして、よりダイレクトな口調でその点を厳しく指摘するのが戦術アナリストのアレハンドロ・アロージョ氏で、前半戦の成績について、「クボが本当に世界のトップ15に入るクラブで活躍したいのなら、もっと数字でインパクトを残さなければならない。同じウイングだと、ブカヨ・サカ、ラミネ・ヤマル、ルイス・ディアスといった選手が比較対象となるわけで、自ずと要求レベルは高くなる。その意味では、現時点で4得点・1アシストという数字は明らかに物足りない」と手厳しい評価を下す。

 前半戦のプレー全体に目を向けても「最近、好調を維持しているが、ここまでのところ昨シーズンから明確な形で成長を遂げたかというとそうは見えない。この前半戦も、右サイドで開いてボールを受けてカットインという得意の型を前面に押し出しながら、小回りのきくドリブラーという持ち味は随所に見せていた。ただソシエダでは間違いなく中心選手の1人だが、ここからさらにステップアップを目指すとなると、あらゆる面で成長が必要だ」と厳しいスタンスは変わらなかった。

 ソシエダで3年目のシーズンを迎える久保は、ラ・リーガでもすっかりお馴染みの顔だ。それはそれだけ周りの見方も厳しくなっているということでもある。レカルデ氏が久保について語る際に特に語気を強めたのが、「最大限のパフォーマンス」という部分だった。それが後半戦に向けて、ファンが期待していることであり、アロージョ氏が要求しているところでもある。

文●下村正幸

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