NHK党の立花孝志党首(57)が出馬した大阪府泉大津市長選の投開票が12月15日に行なわれ、無所属現職の南出賢一氏(44)が立花氏を破り3選を果たした。11月の兵庫県知事選に出馬し、当選した斎藤元彦氏との“2馬力”と呼ばれる選挙戦を展開した立花氏は、高い知名度を引っ提げて地元の首長を目指したが、結果は惨敗。敗戦の翌朝には兵庫県知事選に絡む名誉棄損容疑で事情を聴きたいと兵庫県警から呼び出しがかかったとも公表した。
南出氏の2万1700票に対し立花氏は4439票
得票は南出氏の2万1700票に対し、立花氏は4439票。当日の有権者数は6万239人で投票率は44.07%と、前回より6.27ポイント上がった。
立花氏は兵庫県知事選の期間中、斎藤元彦氏の疑惑を告発した元西播磨県民局長・Aさん(60)の公用パソコンから斎藤氏の側近らが見つけた私的な文書の“中身”と称する話を、街頭演説やSNS、選挙ポスターで拡散させた。
7月に急死したAさんを貶める内容で、「県議会やマスコミはこれを隠して無実の斎藤氏を陥れた」と立花氏は主張し、この言動が斎藤氏の支持拡大につながったとの見方がある。
立花氏自身も泉大津市長選告示日の12月8日、「俺が(発信を)出すことで斎藤さんが勝った」と発言している。(♯1)
知事に返り咲いた後も斎藤氏の疑惑がくすぶる中で迎えた泉大津市長選。
告示日に南海本線泉大津駅前で行なわれた立花氏の最初の演説会は、市内外から数百人の支持者が集まった。しかし、立花氏を非難するプラカードを持った抗議者も数十人集まり、罵声が飛び交う騒動になった。
この日、立花氏はホリエモンら有名ユーチューバーが店を並べる商店街をつくり、ユーチューバーのオリジナルグッズをふるさと納税の返礼品にすることで市の収入を増やすと宣言。
NHKが受信可能なテレビを捨ててチューナーレステレビを購入した人に助成金を出すことも公約に掲げた。
演説を聞いた後、「NHKをぶっこわーす」の決め台詞とともに立花氏と記念撮影をした40代の女性は、「立花さんは正直な人だと思うし、面白いことが起こる気がします」と喜んでいた。
聴衆の中には立花氏をYouTube動画で追ってきた県外の人も多く、中には東南アジアに在住し、一時帰国に合わせて演説を聴きに来た人もいた。
この50代男性は「立花さんは本当のことを隠さず、臆さずに話してくれていると思いますよ。正義感があるんだと思いますね。アンチの人も多く来ていましたが、立花さんの政策がきちんとしているから反対する人も出てくるんでしょう」と話した。
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「感触は余裕(で勝てる)でしょう」と初日に語っていたが…
一方、この賑わいのことを聞いた兵庫県在住の50代の女性は、「彼(立花氏)が兵庫の知事選で何をやったのか、本当にわかっている人たちなんでしょうか。あることないこと適当に並べて亡くなった人やその周囲の人をめちゃくちゃに傷つけたんですよ。信じられない」と吐き捨てた。
もっとも、騒ぎになったのは告示日だけで、翌日からは選挙戦は静かに推移した。地元に選挙事務所を置かない立花氏は選挙カーを流しながら時おり街頭演説を行なったが、YouTubeで伝えられた映像などを見ると、大勢の聴衆が殺到するようなことは少なかったようだ。
ただ、掲示板に貼り出したポスター140枚は、立花氏に届いた「応援メッセージ」をひとつひとつ書き、すべて別の内容にしたという。
SNSに出回る写真では、そのうちの一枚に「泉大津市から兵庫県の異常を正す、立花さんしか出来ません。みんな気がついて!」と書かれてあった。
選挙戦最終日の14日には駅前での街頭演説予告に100人を超える人が集まったが、「感触は余裕(で勝てる)でしょう」と初日に語っていた見通しもむなしく、南出氏が4倍以上の得票差で完勝した。
それでも立花氏はこの結果に手ごたえを感じたと強調している。落選が確実になった15日深夜、自身のYouTubeチャンネルで述べた敗戦の弁で、供託金没収ラインを超えたことをアピールした。
「供託ライン超えることができました。17パーセントくらいですので。これ僕5回目の市長選なんですが、実は初めて供託ライン超えたんです」
結果には「大満足」という立花氏は、兵庫県知事選の出馬をぶち上げた2か月前とはNHK党や自身を取り巻く環境は大きく変わって「来年の参院選挙に向けては十分戦える力がついてきていると思います」と自己分析。参院選で自分を含む2議席を取りに行くとの目標を挙げた。