結局は巨人が動いた。スポーツ紙などが、楽天を自由契約になった田中将大投手が巨人への移籍が濃厚になったことを報じ、スポーツ報知は「巨人入り決定!」とまで伝えている。

 田中獲得に二の足を踏んでいた球団が続出する中、楽天への再契約説も浮上していたが、田中自身「そういうお話はない」と完全否定、「今後どういうふうになるか分からないので不安」としていたのが11月26日のことだったが、そんな最中、巨人は水面下で獲得調査に乗り出していたということだ。

「中日の守護神ライデル・マルティネスを2年24億円(金額は推定)を条件に獲得した巨人ですが、昨季15勝したエース菅野智之の穴は埋まらないまま。桑田真澄2軍監督は『若手投手でその穴は埋められる』と主張していたものの、阿部監督にとっては背に腹は変えられない状況だったようです。あと3勝に迫った日米通算200勝も、イベント性を考え後押しになったのでは。一方の田中にとって巨人のオファーはまさに渡りに船で、年俸1500万円なら手を挙げる球団もあるなどと叩き売りの話もでていましたが、巨人ならまずそんな低条件はないでしょうからね」(巨人担当記者)

 獲得報道が出た前日、12月16日放送の「サンデーモーニング」(TBS系)では、出演した巨人OB会長の中畑清氏が「チャンスを与えるんであればジャイアンツが手を挙げて欲しい」「(阿部)慎之助!お前が獲れ!」「私が監督だったら獲ってます」などと力説していた。

「おそらく中畑さんは動きを知っていたのでしょう(笑)。ダイエー(現ソフトバンク)から2000年に巨人へFA移籍した工藤(公康)さんが04年に41歳で200勝を達成していることを考えれば、36歳の田中はまだ十分に若い。ただ、工藤さんの場合は優勝請負人として鳴り物入りで巨人に入団し、1年目から12勝と日本一にしっかりと貢献している。果たしてそんな活躍ができるかは、本当に未知数です」(別の巨人担当記者)

 活躍できなければもちろん、大ブーイングは間違いない。

小田龍司

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