現地時間12月15日(日本時間16日、日付は以下同)、ゴールデンステイト・ウォリアーズとブルックリン・ネッツによるトレードが正式に発表。この動きによって、ウォリアーズはディアンソニー・メルトンとリース・ビークマン、ドラフト2巡目指名権3つ(2026、28、29年)を手放し、ネッツからデニス・シュルーダーと2025年のドラフト2巡目指名権(条件つき)を獲得した。
メルトンは今季ウォリアーズで攻守に渡って貴重な役割をこなしていたが、11月中旬に左ヒザ前十字靭帯負傷しその後手術を受けたため、今季残り試合全休が発表されていた。
そのため、ウォリアーズは実質2WAY契約選手(ビークマン)とドラフト2巡目指名権2つでシュルーダーを獲得。またメルトンの契約は今季限りで、ネッツとしてはキャップスペースに大幅な空きができる来夏に向けて、ドラフト指名権を増やす動きを見せたことになる。
今回ウォリアーズへ加入したシュルーダーは、185cm・79kgのポイントガード。NBAキャリア12年目をプレーする31歳のベテランは、ドイツ代表の司令塔兼トップスコアラーでもあり、2023年のFIBAワールドカップでは準決勝でアメリカ代表、決勝でセルビア代表を下して優勝し、大会MVPに選出された。今夏のパリオリンピックでも優勝候補の一角として臨み、大会4位に入るなど世界屈指の強豪国を引っ張るリーダーでもある。
15日のダラス・マーベリックス戦前の会見で、アメリカ代表の指揮官でもあるウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は冗談交じりに「ワクワクしているよ。今日デニスにはこう言ったんだ。彼は3つの異なる大陸で私をやっつけた……。もし倒せないなら、そこへ加えてしまえとね」とコメント。
シュルーダーは国際大会だけでなく、ロサンゼルス・レイカーズ時代の2023年プレーオフ・カンファレンス準決勝で、ステフィン・カリーをしつこいディフェンスで封殺。ウォリアーズを破る原動力となった過去がある。
キャリア2年目から平均2桁得点を残し続け、今年11月25日のウォリアーズ戦でも最終クォーターだけで17得点を荒稼ぎ。ゲームハイの31得点に5リバウンド、7アシスト、2スティールの活躍でネッツを勝利に導いていた。
今季はここまで23試合の出場で平均18.4点、3.0リバウンド、6.6アシスト、1.1スティールに3ポイント成功率38.7%(平均2.5本成功)を記録。コンディションなどに問題がなければ、19日のメンフィス・グリズリーズ戦からウォリアーズデビューする見込みだ。
「彼はゲームをよく知る男で負けず嫌いだし、ピック&ロールを上手にこなす2ウェイプレーヤー。この動きは我々にとって完璧に理に適っていると思うね。彼はメルトンがやってくれたことを補填することになる。オフボールでプレーでき、優秀なディフェンダーで、長いウイングスパンもある。それにスティールが得意で、ターンオーバーも誘発するんだ」
カーHCはシュルーダーをそう語り、「我々が必要とすることをもたらしてくれると感じている」と高く評価していた。
また、ドイツ出身のスピードスターが、2年目の今季苦戦しているブランディン・ポジェムスキーを助けることにもなると話す。
「昨年、彼はクリス・ポール(現サンアントニオ・スパーズ)かステフのどちらかと多くの出場時間で一緒にプレーしていた。それが今年はメインのボールハンドラー役になっていたから、すごくタフな仕事になっていた。この動きが彼の役割を馴染みのあるものにすると思う」
カリー、ドレイモンド・グリーン、アンドリュー・ウィギンズ、ジョナサン・クミンガ、バディ・ヒールドらを擁するウォリアーズは、今季平均パス数でリーグトップの326.7回を残しているように、ボールムーブメントとスペーシング、シュート力が生命線のチーム。
ポジェムスキーに代わってシュルーダーがメインハンドラーになることは可能ながら、これまでのように自由自在にボールを操っていく時間は限られることが予想される。そのため、アジャストに多少の時間を要するかもしれないが、キレ味鋭いドライブや相手を欺く急加速、粘着気質なディフェンスは頼もしく、クラッチタイムでも貢献することだろう。
なお、ウォリアーズはマブズとの試合で両チーム合わせて3ポイント成功48本のNBA新記録を樹立。ウィギンズ(29得点、4アシスト)、カリー(26得点、10アシスト)、グリーン(21得点、7リバウンド、4アシスト)、クミンガ(20得点、6アシスト)と、4選手が20得点以上を残すも133-143で敗れた。
直近10戦で2勝8敗となり、ウエスタン・カンファレンス8位の14勝11敗(勝率56.0%)まで順位を落としているだけに、シュルーダーにはウォリアーズを活性化させる起爆剤となることを期待したいところだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
【画像】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!