マッチ棒で作られた誤った数式に対し、指定された回数だけマッチ棒を動かして正しい式に直すのが、いわゆる「マッチ棒クイズ」。

現在X上では、点数の芳しくなかったテストに対し、たった1つの点を加えるだけで実現できる「一発逆転のテクニック」が話題となっているのをご存知だろうか。

■半分以下の点数が「満点」に…?

今回注目したいのは、理学部数学科に所属する大学生「なっつ。」さんが投稿したポスト。

こちらの投稿には「120点満点の中間テスト、友達が51点で悲しんでたから満点にしてあげた!!!」と、一読しただけでは完全に意味不明な内容が綴られている。

倍以上の加点を実現するなど、それこそとんでもない数の「採点ミス」が無い限り、不可能に思えるが…。

ポストに添えられた採点済み回答用紙の写真を見ると、「51」という得点に点が付け加えられ、「5!」となっていたではないか。

関連記事:国語テストの問題用紙、5文字の禁止事項に目を疑う… 「どういう学校だよ」とネット民驚愕

■「天才の発想」と称賛相次ぐ

果たしてなぜ、これだけで友人のテストが満点になったのか、「全く理解できない」という人も少なくないだろうだろう。中には「50点から5点に、点数が大幅ダウンした」と感じた人もいるのでは。

しかし、件のポストは投稿からわずか数日で1万件近くものリポストを記録するほど大きな話題に。Xユーザーからは「天才がいる」「確かに満点だ」「これは優秀、思いつかないよ」など、称賛の声が相次いでいた。

そこで今回は、こちらの「5!」の真意について、ポスト投稿主・なっつさんに詳しい話を聞いてみることに。すると、根っからの文系である記者には想像もつかなかった、衝撃の事実が明らかになったのだ…。

関連記事:長時間フライト中に若者が挑戦したのは… 暇つぶしのアイデアにいいね多数

■「偶然に偶然が重なった」

ことの経緯をめぐり、なっつさんは「先日行なわれた、大学の中間テストが返却された際の出来事です」「先生によると平均点は約60点らしく、友人は51点という結果にショックを受けていました」と振り返る。

続けて「私も友人の点数を見てリアクションに困ってしまい、どうにかして励まそうと考えた結果、51の1の下に点を打ち「5!点」とすれば満点になることに気づきました」と説明。

そして、「この講義の先生はテストを120点満点で作る傾向があり、偶然に偶然が重なった結果、120/120という形で満点にできたので、思いついた時にはとても興奮しました。友人も同じく大興奮だったので、結果的に励ますことができてよかったなと思っています」と、笑顔で語ってくれたのだ。

関連記事:ブックオフで出会ったラノベ、挟まっていた用紙に衝撃走る 「自分かと思った」の声も…

■なぜこれで「51点」が「満点」に?

高校2年生の3学期以降、事実上「数学を捨てた」身としては、「何か数学的に面白いことが起こっているんだろうなぁ…」というのが、正直な感想であった。

そんなポンコツ文系男子の様子を察したのか、なっつさんは「今回使われている『5!』の『!』は、文章で驚きや感嘆などの感情を強調するときに使われるものとは違い、『階乗』という数学で用いられる記号になります」と、説明しだす。

「階乗」は一般的に「ある正の整数から1までの整数の積」を指し、例えば今回の「5!」ならば「5×4×3×2×1=120」という値になるのだ。

さらに、なっつさんは「学習するのは高校で、数学A『場合の数』という単元で学習します」「階乗の記号に『!』が使われている理由としては、『驚くほど大きな数になるから』という理由があるそうです」と、非常に丁寧に説明してくれた。

「階乗」に関する情報が完全に記憶から抜け落ちており、高校時代の先生に全力で謝罪したい思いである。森田先生、本当にごめんなさい。

テストの満点が「120点」で、且つ「51点」を取得した場合しか使用できないという、非常に限定的なテクニック。しかし人生、いつどこで何が役立つか分からないので、ぜひ世の文系諸君も「知的なライフハック」として覚えておこう。

関連記事:小1息子の国語テスト、減点理由に目を疑う 「ガバガバすぎる採点」に怒りの声も…

■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ