JR西日本が12月12日に発表した「WESTERポイント全線フリーきっぷ」に、鉄道ファンから不満の声が漏れている。

 このきっぷは、JR西日本の全線と、智頭(ちず)急行線(兵庫県の上郡駅から鳥取県の智頭駅を結ぶ第三セクターの鉄道)で、新幹線・特急列車・快速を含む普通列車が乗り放題となる。新幹線、特急列車は普通車指定席の利用が6回まで可能だ(一部列車や設備は除く)。

 また、きっぷは「全ポイント」と「一部ポイント」の2種類で、いずれもJR西日本グループのポイントサービス「WESTERポイント」が必要となる。「全ポイント」は大人9800ポイント、子ども4900ポイントで購入可能。「一部ポイント」はポイントを980使い、あとは大人1万9800円、子ども9900円を支払う。では、このきっぷの何が問題なのか。鉄道ライターが語る。

「『WESTERポイント』はJR西日本エリアのネット予約『e5489』や、クレジットカード『J-WESTカード』、交通系ICカード『ICOCA』などで貯めることができます。還元率は、条件によってさまざまですが、仮に1%とすると、『全ポイント』の9800ポイントを貯めるには100万円近くの元手がかかる。定期券や新幹線を頻繁に利用してポイントを貯めている人以外は、ハードルが高過ぎると不評なのです。ほとんどの人は『一部ポイント』きっぷを利用することになるかもしれません」

 もう1つ、鉄道ファンを嘆かせていることがあるという。

「このきっぷは、24年夏に続けて2度目の発売ですが、ファンからは『改悪』が指摘されています。前回は、『全ポイント』は3日間有効で、大人の必要ポイント数は9000ポイントでした。1日換算にすると前回は3000ポイント。今回は800ポイント上がった上に、有効期間が1日短くなって2日間になってしまった。1日あたり換算で4900ポイントです。しかも、前回は普通車指定席の利用回数に制限がありませんでした。ただ、『一部ポイント』は、前回が有効期間1日で大人1000ポイント+1万4000円だったのに対し、今回は2日間有効ですから、1日あたりでは9900円。必要ポイントも490ですので『一部ポイント』はおトクになっていますね」(鉄道ライター)

 発売期間は2024年12月16日から25年3月13日、利用期間は25年1月14日から25年3月14日まで。ネット上では《夏より条件が悪くなっている》などと、一部のファンは怒りの声を上げているが、果たして売上は伸びるか…。

石田英明

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