入居審査を通すコツは?SDN48から宅建士に転身した私に、芸能人から家探し依頼が殺到する理由

元芸能人の強みを生かし、芸能人御用達の不動産仲介人に


引用元:https://www.instagram.com/p/C5Rx7RfyhtQ/

―そこからなぜ不動産の道に?

不動産業を営んでいる父の体調が悪くなってしまったんです。それまでは継ぐ気がなかったんですが、父はずっと私の活動を応援してくれていたので「次は私が応援する番だ」と思って、初めて継ぎたいと感じました。芸能活動を始めてから約10年経っていて「もうやりたいことはやり切った」と思えたことも大きかったですね。
まずは宅建試験を受けて宅地建物取引士の資格を取ろうと思い、独学で勉強しました。1年目はあと1点のところで落ちてしまい、2年目は油断してボロボロの結果になり、3年目は「ちゃんと誰かに習って勉強したい」と反省して通信講座を運営している会社に自ら営業しました。

―自分で自分を売り込んだんですか?

はい。それまでの芸能活動で自分を売り込むことには慣れていましたね。「御社の教材で勉強して宅建試験に受かるので、受かるまでのプロセスをYouTube動画にしてください。PRします」と直談判して、無償で人気の先生の個別指導付きで勉強させてもらいました。その年に無事合格できたのは先生のおかげです。

―合格してから、ご実家を継いだんでしょうか?

いえ、継ぎませんでした。父の体調が良くなって、私が宅建試験に受かったころには元気に社長業ができるくらい回復していたんです。
実は、3回目の試験勉強中から四谷の賃貸不動産店でアルバイトを始めていたんですよ。父の病気がショックで飲み歩いていたときに、知り合いが「泣いてないで、俺の友達の不動産屋でもうはたらいちゃえよ」と紹介してくれて。それから芸能界の友達に「引越ししたいんだけど、審査に落ちちゃったんだよね。なちゅ、仲介してくれない?」と相談されることが増えたんです。審査が通るようにサポートしていたら、口コミでいろんな芸能人の方から相談されるようになりました。

―そこで「芸能人御用達の不動産仲介人」というポジションができたんですね。

はい。「そんなに頼まれるなら、芸能人御用達の仲介部署を作ってみたら?」と誘ってもらって、新しい不動産会社に転職して4年ほどはたらきました。いまだにアイドルつながりの方にも相談されますし、ずっと芸能界時代のご縁で部屋探しのお仕事をいただいています。
ありがたいことに一度も自分で営業したことはなくて、新しいお客さまは知り合いから紹介される方だけです。また、賃貸だと必ず更新のタイミングがやってくるので、2年ぶりにご連絡をいただくこともあって、時間が空いてもまた頼んでもらえるのがうれしいなと思います。

―芸能人からなちゅさんが信頼されている理由は?

芸能人の気持ちや事情が分かることが強みになっていると思います。アイドルだと内覧で男性の営業スタッフと密室に入るのを怖がる子も多いですし、有名な人は自分の年収や住所などの個人情報を伝えることに抵抗があります。こういう細かいことに配慮できると、お客さま側のストレスが減りますよね。
あと「芸人さんだったらこういうアルバイトもしているだろうな」「アイドルだったら事務所からこういうサポートが受けられるかもな」とある程度の生活事情が想定できるので、審査が少しでも通りやすくなるように様々な提案ができるのも私の強みです。

―今後はどんなキャリアを歩んでいきたいですか?

芸能界の方のお部屋探しをお手伝いしつつ、私も芸能活動をしていきたいです。自分が広告塔になれば、もっとたくさんの方のお部屋探しをサポートができると思うんですよね。会社員として学んだ不動産の基礎知識を生かしながら、芸能活動も続けていきたいです。

(文・秋カヲリ、写真提供・なちゅさん)