漫画家、東村アキコによる不朽の自伝漫画を、東村自らが脚本を担当して映画化した『かくかくしかじか』が2025年5月16日(金)に公開されることが決定。特報映像&ファーストルックが解禁となった。
林明子役の永野芽郁 / [c]東村アキコ/集英社 ©︎2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
「ママはテンパリスト」や「海月姫」、「東京タラレバ娘」など数々の大ヒット作を生み出し、笑いと涙で人生を描いてきた東村。「かくかくしかじか」はそんな東村が泣きながら描いた自身の実話で、マンガ大賞2015を受賞するなど不朽の名作として愛され続けている。これまでも映像化の話が絶えなかったが、東村本人が、完璧な形での実現は不可能だろうと断り続けていた。
主演には、『はたらく細胞』(公開中)が大ヒット公開中の人気、実力ともにトップの永野芽郁。そして、共演には『ディア・ファミリー』(24)の名演も記憶に新しい国民的俳優、大泉洋。実は本作の映画化を決断するきっかけとなったのは、永野と大泉の存在。東村が永野なら良い作品になると確信を持ち、さらに恩師、日高先生役には「この人しかいない」と大泉を熱望したという。
恩師、日高健三役の大泉洋 / [c]東村アキコ/集英社 ©︎2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
漫画家を夢見るぐうたら高校生、明子(永野)の、人生を変えた最恐の恩師、日高先生との9年間のかけがえのない日々。東村の生まれ故郷の宮崎をはじめ、石川、東京と3つの街を舞台に、いまを生きるすべての人たちに贈る物語が綴られていく。監督はヤンキーOLの社内抗争を描いたコメディ映画『地獄の花園』(21)の関和亮が務める。
解禁された特報映像は、漫画家を夢見るぐうたら高校生、林明子が、恩師、日高健三と出会うところから幕を開ける。「林明子さん?」と宮崎弁で話す日高先生。絵を描くことだけは自信あり、これから漫画家に向かって輝かしい人生を歩めると思っていた明子だったが、「描け」と大声で叫ぶ日高先生に、仰天する。
絵画教室を営む日高先生の怒号とともに振り下ろされる竹刀。その指導に反発し、「あんなのただの体罰教師じゃん!」と逃げ出す明子の姿がコミカルに映しだされていく。ただひたすら「描け」と言われ続ける日高先生との戦いの日々や愛憎を超えた2人の特別な関係。大声で笑い泣く、明子と日高先生の美しい日々から一転、日高先生を想いながら、“わたしは、許されない嘘をついた”と涙を流す明子の、心打つシーンが訪れる。2人の間になにがあったのか?明子が人気漫画家になるまでの残酷な“嘘”と“秘話”を想像する内容になっている。
また、特報のナレーションには、テレビアニメ「海月姫」で主人公の倉下月海役、テレビアニメ「はたらく細胞」でも主人公の赤血球役を演じた花澤香菜が務めており、東村、主演の永野とも浅からぬ縁のあるキャスティングとなっている。
【写真を見る】永野芽郁、大泉洋を描いた東村アキコ直筆のイラスト / [c]東村アキコ/集英社 ©︎2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
あわせて解禁になった東村直筆イラストには、「やっと情報解禁です」のコメントとともに、明子と日高先生を演じたラフな永野と大泉の姿が表現されている。原作、映画チームが最高の作品を作り上げた『かくかくしかじか』。今後の続報にも注目してほしい。
■<コメント>
●永野芽郁(林明子役)
「今作は、東村先生と恩師との時間を描いた作品ですので、人の人生を演じることにいつもに増して責任を感じますし、私が演じることによって、先生の過ごしてきた時間が違うものになってしまうことは絶対にしたくなかったので、原作もそうですし、先生がお話ししてくださることも、佇まいも、毎日勝手に観察しながら過ごしていました。漫画家の役は以前も演じたことがあったので、久しぶりにGペンを持ったり、ベタを塗ったり、トーン張りしたり、お芝居を忘れて没頭しました。大泉さんとの共演は、教室で竹刀を持っている姿が原作から出てきたのではないか、と驚くほどぴったりで感動したのを覚えています。そして当然と言えばそうかもしれませんが、カメラが回ってない時はとにかく楽しくお話ししてくださるのですが、カメラが回るともうほんとに怖い。いつ竹刀が飛んでくるかわからない先生に切り替わるので、俳優として傍で見ていてすごく刺激になりました。誰しもがちょっと分かるな、と思ってもらえるような、笑えてじんわり涙する映画ができたと思います。そしてきっと自分の恩師に会いたくなると思います。劇場でご覧いただけるとうれしいです。お楽しみに!」
●大泉洋(日高健三役)
「『かくかくしかじか』という、東村作品の中でも、ファンからの支持の熱い作品に出演させていただき、オファーをいただいた時には、喜びと、プレッシャーにあふれておりました。しかしながらいざ撮影に入りますと、現場に付きっきりで、当時の本当の様子を教えてくれる東村先生のおかげもあり、とにかく楽しい日々でございました。日高先生と、明子との、長きにわたる絆と、複雑な愛情を、永野芽郁ちゃんとともに、繊細に、でも底抜けにコミカルに演じられたと思っております。原作ファンのみな様にも、まだ読んでいないみな様にも、自信をもって、おすすめできる作品です。どうぞ公開を、楽しみにしていてください」
●東村アキコ(原作)
「私の代表作であり、自伝的作品でもある『かくかくしかじか』がこのたび、映画化することになりました。映像化の話は前からいろいろありましたが、いままではお断りすることが多く、また、テレビドラマとなると宮崎ロケ、金沢ロケ、東京ロケという三都市を跨ぐ撮影がかなり大変なので、これまた無理だろうなとか、まあとにかく、油絵とかデッサンもたくさん用意しないといけなかったりもあるし、地味な漫画のようで、実は映像化にはけっこう大変な要素が多いストーリーなので完璧な形での実現は不可能だろうと思って…。それでいままではお断りしておりました。でも今回、永野芽郁さんが明子をやってくださるというお話をいただいた時、『演技力がすごいあの永野さんが演じてくださるなら、すごくいい作品になるはずだ』という確信めいたものが生まれて、そのためなら私も制作に全力で関わろうと思いお受けしました。日高先生役には大泉洋さんを、私からのキャスティングリクエストでお願いしました。このお2人を中心に、絵画教室の風景を関和亮監督が本当に瑞々しく、永遠の記憶のような映像で撮ってくださいました。私も連載を休んでロケハンから撮影から全て参加しました。映画の中の絵やデッサンは私が全て美術監修させていただいてます。大変でしたが、永野芽郁の明子を観たいがためにやらせていただきました。公開はまだ先ですがどうぞよろしくお願いいたします」
●関和亮(監督)
「『かくかくしかじか』を映像化することができました。永野芽郁さん、大泉洋さんが演じるということ、東村アキコさんが脚本担当すること、そんな奇跡がこの作品を映像化に導きました。人生における先生という存在は誰の中にもあるかと思います。そんな先生を思いながら観ていただけたら幸いです。ぜひ劇場に足をお運びください」
文/平尾嘉浩