【ミニシアターランキング】『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 特別編集版』が初登場1位!12月13日~12月15日の成績を紹介

12月13日から12月15日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週は先週の5位から2位にランクアップした『どうすればよかったか?』(公開中)以外はすべて初登場の作品と入れ替わり、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 特別編集版』(公開中)が未だ衰えない本シリーズの人気を印象づけるように堂々の1位。美しい映像で蘇った87年の珠玉の名作『バクダッド・カフェ 4Kレストア』(公開中)が3位に飛び込み、世界中の映画祭で絶賛されたブータン映画『お坊さまと鉄砲』(公開中)が4位に。第72回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したスペイン・イタリア合作映画『太陽と桃の歌』(公開中)も5位に入り、上質な世界の逸品がスクリーンを彩る形となった。

■【ミニシアターランキングトップ5】(12月13日~12月15日)

1位『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 特別編集版』(NEW)

2位『どうすればよかったか?』(先週5位↑)

3位『バクダッド・カフェ 4Kレストア』(NEW)

4位『お坊さまと鉄砲』(NEW)

5位『太陽と桃の歌』(NEW)


ミニシアターブームを象徴する名作『バグダッド・カフェ』が4Kレストア版で蘇る / [c]1987 / Pelemele Film GmbH – Pro-ject Filmproduktion im Filmverlag der Autoren GmbH & Co. Produktions-Kommanditgesellschaft München – Bayrischer Rundfunk/BR – hr Hessischer Rundfunk
初登場3位の『バクダッド・カフェ 4Kレストア』は、1989年に日本で公開され、ミニシアターブームを象徴する大ヒットを記録した名作のオリジナル版より17分長いディレクターズカット版を、今年3月に亡くなったパーシー・アドロン監督の監修のもと4Kレストアの鮮やかな映像で蘇らせたもの。どこまでも広く青い空、砂漠の乾いた空気と不思議な光。アメリカ西部の砂漠に佇む寂れたモーテル「バクダッド・カフェ」を舞台に、ドイツ人旅行者ヤスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)と不機嫌なオーナー、ブレンダ(CCH・パウンダー)との心の交流が静かにゆっくり紡がれ、ほっこりさせられる。テーマ曲「Calling You」の美しい歌声も復活! 本作を観て、癒やされている人も少なくないに違いない。


“はじめての選挙”に戸惑うブータンの人々を温かく描く『お坊さまと鉄砲』 / [c] 2023 Dangphu Dingphu A 3 Pigs Production & Journey to the East Films Ltd. All rights reserved
初登場4位の『お坊さまと鉄砲』は、2019年の長編デビュー作『ブータン 山の教室』で第94回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたパオ・チョニン・ドルジ監督の最新作。国王の退位で民主化への転換を迫られた2006年のブータン。模擬選挙の実施に伴い、ウラ村の高僧はなぜか若い僧に銃を手に入れるよう指示を出すが、時を同じくして、アメリカから“幻の銃”を探しに銃コレクターが村にやってきて…。“はじめての選挙”に戸惑い、価値観を揺さぶられる村人たちの選挙と銃をめぐる騒動を、温かい眼差しとユーモアで綴ったヒューマン・コメディ。無垢なブータンの人たちによる不思議な幸福感に包まれ、心を浄化されている人が続出しているようだ。


ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した『太陽と桃の歌』 / [c] 2022 AVALON PC ELASTICA FILMS VILAÜT FILMS KINO PRODUZIONI ALCARRÀS FILM AI
第5位の『太陽と桃の歌』は、2017年の初の長編監督作『悲しみに、こんにちは』でベルリン国際映画祭の最優秀新人作品賞とジェネレーション部門グランプリに輝いたカルラ・シモン監督の長編2作にして、ベルリン国際映画祭の最高賞である金熊賞を受賞した注目作。スペインのカタルーニャで、3代にわたって桃農園を営んできた大家族のソレ家に、ある日突然、激震が走る! 桃の木を伐採し、ソーラーパネルを敷き詰めるという地主から、土地の明け渡しを要求されたのだ。その申し出を聞いて、父親は激怒するが、妻と妹夫婦は「楽に稼げる」という言葉に心を動かされる。やがて、一家に大きな亀裂が入ったまま、最後の収穫期を迎えるが…。出演者のほとんどを、実際にカタルーニャの村に住む演技未経験の人たち9000人以上からオーディションして選んだカルラ・シモン監督のこだわりも話題。実際の農家の人たちだからこそ滲みでる笑いと涙の言動に心揺さぶられながら、自然と人間の問題について考えさせられる。決して他人事ではない大切なメッセージが口コミを中心にじわじわと浸透したことが、多くの動員につながったと思われる。


メキシコ小学校を舞台に起きた感動の実話を映画化した『型破りな教室』 / [c]Pantelion 2.0, LLC
続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ!12月20日(金)に、治安最悪な国境近くのメキシコ小学校に赴任した教師が、ユニークな授業で最低レベルの生徒たちをトップレベルに押し上げた実話の映画化『型破りな教室』が公開。同日には、事故で妻を失い、人生を諦めかけた40歳の男と70歳の元音楽教師が挑んだ“大人の成人式”を描く『セカンドステップ 僕らの人生第2章』も登場! 年末の厳しい寒さを、この2作が和らげてくれるかもしれない。



公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!

文/イソガイマサト