広瀬すず、木戸大聖、岡田将生の共演で、大正時代を舞台に男女3人の壮絶な愛と青春を描く『ゆきてかへらぬ』(2025年2月21日公開)。本作のロッテルダム国際映画祭への出品が決定し、新場面写真も解禁となった。
駆け出しの新進女優、長谷川泰子 / [c]2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
『ツィゴイネルワイゼン』(80)や『セーラー服と機関銃』(81)の田中陽造が40年以上前に書き上げ、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった、”知る人ぞ知る”幻の脚本を映画化した本作。「滅多にない優れたシナリオ」とこの脚本に焦がれ続けていた名匠、根岸吉太郎監督が16年ぶりにメガホンを取り、美しい時代を火花散らすように駆ける3人の男女を広瀬、木戸、岡田が演じる。
【写真を見る】ローラースケートに興じるなど美しい時間を共有する泰子と中也 / [c]2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
そんな本作の第54回ロッテルダム国際映画祭ビッグスクリーンコンペティション部門への正式出品が決定。オランダ第二の都市ロッテルダムで開催される本映画祭は、世界三大映画祭に次ぐ重要な映画祭の一つ。今回は現地時間2025年1月30日(木)~2月9日(日)に開催される。本作がノミネートされたビッグスクリーンコンペティション部門は、一般の映画ファンから選ばれた審査員によってアワードを選出し、受賞作はオランダでの公開やテレビ放映も見込まれるという画期的な部門。『ゆきてかへらぬ』がオランダの観客にどのように受け入れられ、評価されるか注目が集まる。
東京へ出てきた泰子と中也は小林とも一緒に過ごすように / [c]2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
根岸監督も「先進的な映画を発掘し続けるロッテルダム国際映画祭に『ゆきてかへらぬ』が選出されたことは大変光栄です。オランダの観客のみなさんに、日本の、しかも大正時代の青春の葛藤をどのように受け入れていただけるか、いまから楽しみにしています。瓦屋根の織りなす日本の建築の美しさやモガモボの当時のファションを楽しみながら、2人の若者の間を揺れ動く若い女性の激しい生き方(それを演じ切った広瀬すず)に国と時代を超えた深い共感を抱いていただけたらと願っています」と選出への喜びを語り、上映に向けて現地へ渡航し観客の反応を直に体感する予定とのこと。
泰子に惹かれていく小林 / [c]2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
新たに解禁された場面写真には、駆け出しの女優、長谷川泰子(広瀬)、不世出の天才詩人、中原中也(木戸)、のちに“知の巨人”と呼ばれる文芸評論家、小林秀雄(岡田)の過ぎ去って戻ることのない日々が鮮やかに映し出されている。はぐれ者同士、京都で一緒に暮らし始めた泰子と中也の美しい時間、何者かになりたくて飛びだした東京での日々、小林の登場で揺らぐ泰子の想い、そして始まる3人の歪で複雑な関係。まだ何者でもなく先の見えない焦燥を抱えながら、時に己を壊すほどの強い想いを貫き駆け抜けた、泰子たちの刹那の青春を感じる場面写真となっている。
詩人と文芸評論家として互いを高め合う関係の中也と小林 / [c]2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
同時に解禁となった海外版ビジュアルは、広瀬演じる泰子の危険なほど美しい横顔のクローズアップをデザイン。中也と小林、才気ある2人のアーティストに同時に愛され、愛によって壊れていく泰子のあどけなさと狂気が混在しているような表情が印象的だ。
ロッテルダム国際映画祭への正式出品が決定した『ゆきてかへらぬ』の海外版ビジュアル / [c]2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
男女3人の刹那的な愛と青春を描く『ゆきてかへらぬ』。ロッテルダム国際映画祭での評価にも注目しながら劇場公開を楽しみにしてほしい。
文/平尾嘉浩