【独占】鈴木誠也が「悔しかった」24年シーズンと噂の“トレード”について本音を語る!「例えば球団が要らないと思っているなら…」

 12月8日に開催されたイベント、「SEIYA’S BATTING REPORT REAL! 2024」の終了後、シカゴ・カブスの鈴木誠也外野手がインタビューに応じてくれた。メジャー3年目のシーズンを終え、自身のパフォーマンスやシーズン途中からの「DH起用」、噂されている「トレード」も含めた今後の展望などについて語った(インタビューは12月8日行なわれた)。

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――今シーズンに関して、イベントでは「悔しかった」「成績はまとまったけど」と振り返っていました。ただ、数字自体は昨シーズンとほとんど変わらず、順位は相対的に上がっています。その点はどう評価しますか。あまり、数字は気にしないのですか。

 気にしないですね、僕はあんまり。昨年の後半は感覚がすごく良くて納得できたシーズンだったのですが、今年は見栄えがそんなに(成績だけ並べると)悪くない数字なので(のように見えるので)、周りの眼を気にするなら、よかったかな、ギリギリ耐えられたかな、というところはあるんですけど、自分の感覚的にはまったく良くなくて。逆に、何でこの数字が残ったんだろうというくらいのシーズンでした。

 表現としては、我慢できたという気持ちですかね。毎日違うことを繰り返しやって、はまらない、はまらないというなかで、何とか結果を残すことができて、生き残れたという感覚に近いです。

 アメリカでは、打てなくなったり、守れなくなったり、走れなくなったりしたら、替えがたくさんいるので、気が抜けないと言いますか。日本の場合、ある程度確立してしまえば、少々ダメでも我慢して見てくれます。

 ジャイアンツ(巨人)みたいにFAでいい選手がバンバン来るチームだと話は変わるのですが、広島はそこまで変動がないので(レギュラーを)勝ち獲ってしまえばある程度はやっていけるという感覚があったのですが、アメリカではそうはなりません。悪くてもある程度の成績を出していかないと、捨てられてしまう。

 そういう点では、我慢できたかなと。来年期待できるかなというくらいの成績は出せたので、そこは良かったんですけど。僕自身の感覚的なものは、怪我もそうですし、良くなかったというのが率直な感想です。

――8月中旬からは、ほぼDHとして起用されました。そのあたりは「悔しい」に入るのでしょうか。

 フラストレーションは溜まりまくっていましたよ。長い間、守備についてバッティングをしてという流れでずっとやってきたので。それがDHになると、リズムがなかなかできず、試合中に30分以上空いたりして、身体が硬くなって打席に入るとか。

 試合には流れがあり、それに乗って調子が悪くても打てたりすることもあるんですが(DHだと)そういう流れが感じとれないので、常に自分との勝負と言いますか。経験したことがなかったので、すごい違和感があって。

 プロとして年齢を重ねていけば、いつかはDHということもあると思うんですね。だから、今年に関しては我慢して、そういう時に備えて、どういう準備をしたら打席にいい状態で立てるのか考えてやっていました。でも、終わってみると納得できないというか。

――成績は、DHになってからむしろ上がっているくらいですが。

 いや、気持ち悪かったですね。守備がないので、貢献するところがバッティングだけなんです。だから、打てなかったらより考え込んでしまうんですね。守備があれば、いったん置いといて守備に集中という切り替えができますし、そうしてきたのに、いきなりバッティングだけというのは難しくて。

――あれは、監督のほうから「ここからはDHだぞ」と……。

 言われなかったんですよ。何もなく、いきなり外されました。僕もプロなので、この世界で長くやっていればわかります。エラーとか不安要素がある以上使えないということはわかるので、何も言われなくても(メッセージを)受け取ったことは受け取りました。

 でも、選手側からすると、何かひと言、コミュニケーションがあって「ここからはDHで、他の選手を外野に入れる」と言ってくれれば、もうちょっと早く切り替えられたかもしれません。それがなかったので、シーズンが終わった後に監督と話をして「こういった時は言ってもらったら、僕もすぐ切り替えてやるから、隠さずに言ってくれ」と言いました。――話は変わりますが、打ちにくい投手や相性のいい投手はいますか。

 アメリカでは(対戦する投手が)毎回違うので、わからないですね。全部いいピッチャーです。
 ――ピッツバーグ・パイレーツのポール・スキーンズはどうですか。

 いいピッチャーですよ。燃えますよね。ああいうピッチャーとやると楽しくて。こいつから打ちたいというか、絶対打ってやろうという気持ちになるので。

 どんどん、次から次にとんでもない選手が入ってくるので、僕もこのままじゃいけないと思いますし。そこがやっぱり、アメリカに行ってよかったなというところですね。

――シーズンの数字的な目標は立てないのでしょうか。

 立てるようにしています。

――もしよろしければ。

 言わないですね(笑)。僕のなかでは、しっかり明確にしてあるんですけど。

 何も決めないで入ると、先が見えなくなることがあるので、立てているのですが、そんなに重要視はしていないというか。

 自分のここが悪いあそこが悪いというのが強くなりすぎると試合にならなくなるので、そういった時は目標の数字を見て、打ち方がどうではなく、目標までヒット何本とかにフォーカスして、がむしゃらに行くということも大切かなと思っているので、そういった意味で目標を立ててやっています。

――WBCやオリンピックに出たいという思いは。

 そうですね。出たいことは出たいですけど。メジャーの球団に、ある意味、商品として買ってもらっているので、そっちがおろそかになるのは僕は嫌なので、しっかりアメリカで成績を出したなかで呼んでもらえるのであれば、有り難いと思います。成績が出ていないのに、メジャーだからと呼ばれるのは嫌です。アメリカの球団も結果を出していれば(出場しても)いいよとなると思いますし、どっちもが認めてくれるような数値を出していれば、行きたいなと思います。

――最後に、噂が出ているトレードについて。エージェンシーから話はないのでしょうか。

 そうですね。今のところ、話はないですね。アメリカではメディアがいろんなことを言うので、僕はそれに慣れていますし、正直なるようにしかならない、というか。決まってしまったら、行くしかないですし。

――トレード拒否権は使わないのですか。

 それは、話を聞いてですよね。あとは、家族とも話し合わないといけないですし。だから、そこは言われてみてからだと思います。今はそういう話があるわけではないので、わからないですけど。

――トレードの可能性は低いのではないでしょうか。

 どうなんですかね。チームも勝つためにいろいろ考えていると思うので、例えば球団が要らないと思っているのであれば、その選手自身が「移籍しない」と言っても試合に出してもらえるのかわからない、ということもあり得ますよね。個人的には今はまったく話が出ていませんが、話があれば代理人と話し合って決めることかなと思います。

取材・文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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