2024年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第7位は、不正に入手したクレジットカード情報で豪遊をしていた夫婦と共犯者が逮捕された記事だった(初公開日:2024年9月5日)。スーパーカーでトラックの後ろを走り「飛び石で車が傷ついた」などと因縁をつけて運転免許証を撮影、その情報をもとに不正に入手したクレジットカードで買い物をしたなどとして、警視庁犯罪収益対策課は9月5日までに、斎藤貴聡(32)と妻の智華(33)の両容疑者=ともに職業不詳、東京都江東区豊洲=と横浜市港北区の派遣会社員・野村祐貴容疑者(30)を詐欺と窃盗の疑いで逮捕した。
4000万円以上の商品を購入・転売して利益をあげていた
斎藤容疑者ら3人は共謀して2022年12月以降、9人分計34枚のカードを同様の手口で入手。そのカードを使って計4000万円以上の商品を購入し、転売して利益をあげていたとみられ、同課で調べを進めている。
「3人はフェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーで高速道路を走り、標的のトラックがサービスエリアなどに入ると停車させ、運転手に『飛び石が跳ねて車が傷ついた』などと言いがかりをつけたうえ、物損事故処理を装って自ら警察官を呼んでいた。
警官に当事者間での話し合いを促されたのをいいことに双方で運転免許証の写真を撮り合い、その情報をもとにオンラインでクレジットカードを不正入手して犯行を重ねていたとみられます。
警官を呼ぶことで事故の信ぴょう性を高め、相手を動揺させて免許証の写真を撮る悪質な犯行ですね。警察からしたら赤っ恥ですが、そもそも警視庁は『免許証などの個人情報は悪用される恐れがあるので写真は撮らせず、連絡先の交換にとどめてほしい』と呼びかけています。
詐欺で稼いだ金はスーパーカーのローンや、住居であるタワマンの家賃など生活費に充てていたとみられています」(警視庁担当記者)
斎藤夫妻が暮らしていたのは東京メトロ・ゆりかもめ豊洲駅から徒歩約5分の地上48階建、1000戸以上のタワーマンション。目の前は豊洲運河沿いのキャナルウォークという散歩道になっており、芸能人なども多く住む人気のエリアだ。同じタワーマンションに住む40代の女性はこう話す。
「ちょっとこの方たちは見たことないですね。マンションは低層階、中層階、高層階とエレベーターも分かれているので、フロアが違うとなかなかすれ違うことはありませんから。
エレベーターが到着するのは2階なのですが、こういった感じの若者風の方もたくさんいますし、車に乗る方だと駐車場に直接いきますからそうすると余計にすれ違わないんです」
別の30代男性住人もこう首をかしげる。
「いや、写真見せられてもちょっとわからないな。中には相当な数の部屋があるからね……。狭い部屋なら20万円台でも借りられるよ。上はもういくらでもあるって感じでさ。俺も賃貸だよ。
身元の信用とかはどうにでもなるし、はっきり言ってお金があれば誰でも住めるのがタワマンだよ。この人らが職業不詳でもお金さえあれば住めただろうな。実際、このへんは昼間っから何やってるのかわからない人とかもいっぱいいるしね」
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「捜査のためにカメラを設置させてほしい。詐欺事件です」
一方、斎藤夫妻と共謀関係にある野村容疑者の自宅は東急東横線の妙蓮寺駅から約500メートルほどの高台のエリア。瀟洒な一軒家と古いマンションやアパートが混在する閑静な住宅街で、野村容疑者は古い2階建てのアパートに住んでいた。すれ違うのも苦労する狭い外廊下はお世辞にも綺麗とは言えず、どこか荒んだ印象を与える。
アパートの大家に野村容疑者の顔写真を見せてみた。
「この方は2ヶ月前に引っ越してきたばかりです。引っ越しの挨拶もなかったし、何の仕事かも私は知りません。アパートの前で4回ほど見かけたことはありますけど、あまり社交的ではないのか、ハキハキ挨拶するというよりはペコッと会釈するだけって感じでしたね。服装もTシャツ姿ばかりでしたからね。
家賃は3〜4万円で、1人で暮らすということでしたけど、実際は朝も夜も家にはほとんどいないようでしたので、実質は荷物置き場みたいにして使っていたんじゃないかって思ってます」
大家は野村容疑者が何らかの犯罪に関わっているらしいことに気づいていたという。
「というのも2ヶ月ほど前に、私の知り合いの家に警察が来て『捜査のためにカメラを設置させて欲しい。詐欺事件です』と説明されたと言っていましたから。そうしていたら逮捕されたって報道も出ていましたしね。ただ、どこから来た方なのかなど詳細については全部不動産屋に任せてしまっているからわからないんです」
警察の調べに対し斎藤容疑者は黙秘。妻の智華容疑者は「身に覚えがない」と容疑を否認しているという。これ以上被害者が増えないことを祈る。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班