【初滑り】今年は当たり!最新かぐらスキー場レポート

今シーズンは近年稀に見る安定した降雪に恵まれ、全国各地で概ね予定通りスキー場がオープンしている。白馬や北海道に住む友人たちが12月早々から初滑りをしている姿をSNSで見ながら悔しい思いをしつつ、ようやく予定が空いたのでSTEEP編集部「越後湯沢・南魚沼派出所」に駐在する私、小野塚が12月13日のかぐらスキー場へ滑りに行ってきた。

毎年初滑りは最高の一本にするべく、朝イチからスタンバイする。
朝6時半、家を出てかぐらスキー場へ向かう。今年の越後湯沢・南魚沼の気候として麓は雨やみぞれが多いが山は雪が降っており、豊富な積雪に恵まれている。道路には雪が積もっていないため、運転は快適だ。


8時発のロープウェイに乗車し、いざみつまたへ。
この時期の平日始発便に並ぶのは、かぐらを勝手知ったる”滑ることが好きな人たち”。私は1人で来たが、なんとなく仲間に囲まれているようなアットホームな雰囲気を感じる。もちろんこの後、ここにいるメンバーでファーストトラック争いが繰り広げられるわけだが……。

朝イチのロープウェイ。念願の初滑りを前にソワソワしてくる
積雪が十分なみつまたエリア

現在はみつまたゲレンデも悠々と滑走可能。いつも通りのかぐらスキー場だ。昨晩の降雪のおかげで周囲の木々にも雪が積もっている。
みつまた第2高速リフトを乗り継いでゴンドラへ向かう。途中の数百mを滑った感覚では雪質も上々。気合いを入れてホットワックスを塗ってきた甲斐があった。初滑りで板が走らない残念な思いは絶対にしたくないのでワックスは必須だ。

かぐらメインゲレンデに到着するとそこには朝日に照らされた銀色に輝くコーデュロイバーンが待っていた。あまりの荘厳な景色に息を飲む。「これだこれ!これを見たかったんだ!」と1人テンションがおかしくなる。
しかし、見惚れている暇はない。歩きながら板を履いて、滑りながら斜面の写真を撮る。慌てふためき、大人気ないと言われても仕方がない。ノンストップでかぐら第1高速リフトへ。この時点で私は10人目くらい。十分先頭チームに食い込めた。あとはファーストトラックの感動を味わうのみ。早起きの苦労が報われる瞬間だ。

急いでかぐら第1高速リフトに向かいながら記録用の写真を撮る
リフトの上から眺めるメインコースの完全無欠なコーデュロイ

最初は選択肢が2つ。王道のメインコースを滑るか、非圧雪のジャイアントコースを滑るか。
しかし、リフトの上からメインコースのコーデュロイとうっすら積もったパウダーを見てしまったら、あそこを滑らないわけにはいかない……。初滑りなので足慣らしを兼ねてグルーミングのメインコースを滑ることにする。

一本目は冷静に落ち着いて滑ろうと思ったものの、あまりの爽快さについついスピードが出てしまった。技術的なことを意識する余裕も一切ない。なりふり構わずとにかく滑る。早朝に圧雪車が入ったおかげで綺麗な斜面だ。ついでにうっすら積もった新雪も堪能する。一本でグルーミングとうっすらパウダーを味わえるお得な初滑りだ。
例年に比べて雪が豊富とはいえ、時期的にまだ十分な積雪ではない可能性を考えて、新雪の下の凸凹には細心の注意を払いつつパウダーを満喫する。

あっという間に一本滑り終わった。ゲレンデに残された自分のシュプールを眺めて悦に浸る。「もう最高!」などと1人で呟きながら、再びリフトへ乗る。

左側のうっすらパウダーをファーストトラック! 

そして、次は非圧雪のジャイアントコースへ。
他のお客さんの多くはこちらを目掛けて滑っていたようで、すでに何本ものトラックがついていた。昨晩から20〜30cmの降雪があったようだ。端っこのお残りパウダーでも、初滑りの私にとっては身に余る幸せ。ありがたく頂戴しながら、まだシーズンはじめのために地形のうねりもたくさんある斜面をせっせと滑り降りる。初滑り2本目にして、全長611m最大斜度27度のジャイアントコースの非圧雪ロングランを滑れた。誰に感謝しているのか分からないけれど、自然と口から「ありがとうございます」と一言こぼれていた。

ジャイアントコースはファーストトラックとはいかなかったが、端っこのパウダーでも十分満足
雪質はハイシーズン並み。土が出ているような場所も見当たらない。さすがかぐらだ
かぐらの先に広がるバックカントリーエリア。この日はまだクローズしていた

何本かジャイアントコースの凸凹としたフリーライディングな地形で体を温めていると、一際目立つトンデモなく滑りが上手なグループが現れた。「誰だろう?」と思い、それとなく近づくと日本フリースタイルスキーチームの皆さんだった。

フリースタイルスキー日本代表チームと遭遇。世界レベルの滑りを目の当たりにする


通りで上手いわけだ。どうやらかぐらでの合宿2日目とのこと。せっかくなので少し練習風景を見学させてもらうことに。彼らのコンペティションでは基本的には整備されたスロープスタイルコースやビッグエアを滑るのだが、最近はナチュラルジャンプを模したキッカーなども大会では多いため不整地での滑りも練習になるのだという。

帯同コーチはかつて自身も日本代表として世界で戦っていた藤田サイモンさん。「かぐらは地形がたくさんあって、雪も豊富でいい練習ができています」とのこと。日本代表歴も長く、この日チーム最年長の20歳である白馬出身の伊藤瑠耶(ルカ)選手は「かぐらは初めて来ましたが、雪がたくさんあって楽しいですね。スノーパークも僕たちの意見を取り入れて練習環境を少し整備してくれました。今年はW杯で決勝まで進むことと、コンチネンタルカップで表彰台にあがることを目指して頑張ります」と話してくれた。

コースの自然地形を使って特大ジャンプ。もちろんランディングには人を立たせて安全をチェックしながら。ニコルズ 皇吏おーりー 選手
佐藤 可崇(かしゅ)選手
伊藤 瑠耶選手

日本チームの圧巻の滑りとジャンプを見せてもらったあとは少々休憩。朝ごはんを摂っていなかったので、レストランでブランチをいただく。

レストランのミドルサイズのチキンカレー。ジューシーな鶏もも肉がゴロゴロと入っていて満足度が高い。これで900円也。

お腹を満たしたあとはかぐらメインコースで練習を兼ねて数本滑る。その流れスノーパークもチェック。日本代表チームの数人がパーク練習を行っていた。

トランスファーレールをケーフェッドで一発メイクする武藤健心選手
スノーパークの全貌。早い時期から5月まで、クオリティの高いスノーパークがあることで有名なかぐら
テクニカルコースも人気の非圧雪コース。この日は多くの人がパウダーを当てた日だった

これで一通り滑り終わった。時間にしておよそ3時間。初滑りでは程よいくらいだ。非圧雪コースをたくさん滑ったせいか太ももが時折つりそうになってきた。正午前に初滑りを終えることにした。
シーズンはまだ始まったばかり。初日は完全燃焼せずに、少し後ろ髪をひかれるくらいの気持ちで帰った方が後々良いのだ。

みつまたエリアまで滑って帰れるのが嬉しい

今はみつまたまでへのルートも楽々と滑れるので気持ちが良い。周りの景色はハイシーズンと変わらない積雪量だ。順調なスキー場の姿に、業界の端くれとして胸を撫で下ろす。初滑りかぐらを総じて言うと「ご覧の通り最高でした!」ということでまとめたい。

今週から各地でまた続々とスキー場がオープンする。今年はどこへ行こうか今からワクワクする。いよいよ本格的なシーズンインだ。雪の心配をすることなく、自分の膝が心配になるくらいたくさん滑りたい。

みなさん身体を労わりながら、良いシーズンを!

下山間際、振り返って記念に一枚撮影。平日にも関わらず多くのスキーヤー、スノーボーダーで賑わっていたかぐらだった

■Information

かぐらスキー場/みつまたステーション
〒949-6211 新潟県南魚沼郡湯沢町三俣742
公式サイト:https://www.princehotels.co.jp/ski/kagura/winter/
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