名バイプレイヤーとして名高い俳優の佐藤二朗さんは、マンガの実写化においても欠かせない存在です。これまで演じてきたキャラは数知れず、しかもそのどれもが佐藤さんの強烈な個性のうえに成り立っていたように思えます。
佐藤二朗さんプロフィール写真
【画像】え…っ?「本人の色強すぎ」「でも元の顔が似てない?」 こちらが佐藤二朗が演じた衝撃「実写化」キャラです(5枚)
外見はそこまで似てないのに 奇跡のマッチングも
俳優の佐藤二朗さんといえば、映画やドラマで唯一無二の存在感を発揮する名バイプレイヤーとして知られています。特にコミカルな演技が得意で、マンガ原作の実写化作品においても、さまざまなキャラクターを演じてきました。また、ときにあふれんばかりの個性を隠しきれず、演じたキャラが「ただの佐藤二朗」と言われてしまったことも少なくありません。
映画『銀魂』で佐藤さんが演じた「武市変平太(たけち へんぺいた)」は、その代表例ではないでしょうか。武市は武装集団「鬼兵隊」の策略家にして、幼い少女になみなみならぬ愛情を注ぐ、自称「子供好きのフェミニスト」です。変人だらけの同作のなかでもひと際クセの強い人物でしたが、佐藤さんは絶妙な間合いとセリフ回しで武市の変態性を再現していました。
お得意のアドリブ芝居も炸裂しており、これに共演者の菜々緒さんが素で笑ってしまう場面が劇中にしっかりと収められています。また特徴的な笑い方は字幕化が困難で、Netflixでは記号の羅列で表現されていました。
ここまでくるともはや武市でもなんでもない、鬼兵隊に雇われた「ただの佐藤二朗」といったほうが良さそうですが、ネット上には「アレはアレでおもろかった」「佐藤二朗は佐藤二朗なのに武市変平太だった」「この消せない佐藤二朗ぶりもギャグとして機能してた」などと好評価も得ています。
『銀魂』ほか盟友の福田雄一監督の作品では特にやりたい放題の佐藤さんですが、ほかにもさまざまな実写版に出ています。原作ファンから前述のようなツッコミが上がったのが、映画『ザ・ファブル』の「田高田健二郎」です。
同作は「一般人として普通に生きろ」という任務を全うする伝説の殺し屋「ファブル(寓話)」の活躍を描いた物語で、主人公のファブル改め「佐藤明」を岡田准一さんが務めています。
田高田は、佐藤が一般人として暮らすために始めたアルバイト先のデザイン会社の社長です。またその「ゆるさ」も売りで、裏社会を描きシリアスな場面も多い同作において、癒しと笑いを提供してくれる貴重な存在でもありました。
そんな田高田社長を演じた佐藤さんは、ここでも個性全開です。同作を手がけた江口カン監督が自身のSNSで語ったところによると、劇中で見せた佐藤さんの演技は「ほぼアドリブ」だったそうで、己の個性を最大限に解放した唯一無二の田高田社長を演じていました。おかげでこちらも、オリジナルキャラクターに近い存在に仕上がっていましたが、それでもちゃんと田高田社長として成立しているから驚きです。
また、主演作では2020年に放送されたドラマ『浦安鉄筋家族』(原作:浜岡賢次)がありました。本作は、千葉の浦安に住む大沢木一家の日常を描いたギャグコメディです。原作では大沢木家の次男「小鉄」を中心に物語が展開されていましたが、ドラマ版では佐藤さん演じるタクシードライバーで生計を立てる一家の大黒柱「大鉄」が主人公に据えられています。
原作の大鉄は適当でだらしなく、乗客を放置して勝手に帰宅したり、家に土足で入ったりと身勝手な行動ばかりしています。破天荒すぎて反感を買いやすい人物でもありましたが、佐藤さんのアクの強い演技によって親しみやすさを併せ持つキャラクターになりました。
この違いに関しては、「あまりにも別人すぎる」「リアクションが原作っぽくない」など受け入れられない人もいれば、「佐藤二朗のおかげで大鉄が比較的ちゃんとした人格者になってる」「ビジュアル的には似てなくてもタバコが似合うところが大鉄感を出してる、カートン吸いは名場面」と評価する声も出ています。褒める人の意見でも、「別物として面白い」という意見が目立つ異色作となりました。
2024年12月20日(金)公開の映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』では、佐藤さんは「戦いの仙人」というオリジナルキャラを演じます。彼がどのような役割なのか、これ以降の作品ではどんな形でキャラを自分色に染め上げてしまうのか、注目が集まりそうです。