2024年12月19日、読売新聞代表取締役主筆の渡辺恒雄さん(98歳)が肺炎のため亡くなった。訃報に接して、日本サッカー協会が川淵三郎相談役の追悼メッセージを発表している。
その内容は以下のとおりだ。
「突然の訃報に言葉もありません。
ちょうど7年前、自伝を出す際に渡邉さんと対談する機会に恵まれました。高円宮殿下のご葬儀の際にお会いして以来で、久しぶりにお目にかかれて本当にうれしかった。既に90歳を越えておられるにもかかわらず矍鑠とされ、話される内容も鋭く、得難い時間を過ごさせていただきました。頭脳では到底かなわないものの、そのお姿を見て渡邉さんのように年を重ねていきたいと思いました。その渡邉さんが亡くなり、目標を失った思いです。
Jリーグ開幕当時、クラブの呼称問題などで侃々諤々の論戦を繰り広げたことが懐かしく思い出されます。渡邉さんとの論争が世間の耳目を集め、多くの人々にJリーグの理念を知らしめることになりました。恐れ多くも不倶戴天の敵だと思っていた相手が、実は最も大切な存在だったのです。まさに渡邉さんはJリーグの恩人。心から感謝しています。
在りし日のお姿を偲び、ここに謹んで哀悼の意を表します」
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「恐れ多くも不倶戴天の敵だと思っていた相手が、実は最も大切な存在だったのです」。その言葉で思い出されるのが、かつてサッカーダイジェストWebでの川淵氏のインタビューだ。そこで同氏はJリーグ開幕当時の渡辺さんとの関係性についてこう語っていた。
「大新聞社の社長(当時の渡辺さん)と僕が、連日報道を賑わすなんて、社会的な立場でも年齢でも、本当はあり得ない対立構造だったでしょう。Jリーグはスタートしたばかり。本当に忙しい時期で正直、渡辺さんにもう批判はしてほしくない、と思ったこともあったけれど、批判されると理論武装をしっかりして、分かり易く世の中に知ってもらわなければ、と、渡辺さんのおかげで一層勉強し、発信力を身に付けようと燃えたのも事実だった。今になると、Jリーグの理念を広めて下さった真の恩人だった、と心から感謝しています」
Jリーグの発展を支えてくれたひとりが、渡辺さんだったということだろう。
構成●サッカーダイジェストTV編集部
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