Blackmagic Design導入事例:ホラー/スリラー劇場映画「Mind Body Spirit」の場合

Blackmagic Designによると、ホラー/スリラー劇場映画「Mind Body Spirit」が、撮影監督のブレイク・ホーン氏によってBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proデジタルフィルムカメラで撮影され、カラリストのニコラス・ラルー氏によってDaVinci Resolve Studioでカラーグレーディングされたという。Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proデジタルフィルムカメラは、ホーン氏が緊張感のあるファウンド・フッテージ(第三者に発見された映像)風のルックを作成する上で不可欠だったという。また、ラルー氏はポストプロダクションでDaVinci Resolve Studioを使用して、まとまりのある自然な感触を加えて、ホラーの色調を強調した。

同作は、サラ・J・バーソロミューが演じるアーニャの物語。アーニャはヨガのインフルエンサーを目指す女性で、疎遠になった祖母が残した儀式に着手する。アーニャが儀式とそのパワーに夢中になるにつれ、事態はスピリチュアルな自己啓発から、暗く不吉なものへと急速に変化し、異世界の存在が彼女のヨガビデオと人生をコントロールするようになっていく。


ホーン氏は、次のようにコメントしている。

ホーン氏:「Mind Body Spirit」のテーマは、現代のデジタル世界における、個人のアイデンティティーの課題にあります。ソーシャルメディアや、24時間365日の情報へのアクセスを通じて、私たちは常に仲間から評価されるというプレッシャーを感じると同時に、注目を浴びるというドーパミンの分泌を求めているのです。

それを念頭において、私たちは緊張感のあるファウンド・フッテージの感覚を追求しました。アーニャが自分で撮影した映像に見えるようにしたかったので、単調な照明とシンプルなカメラの動きが必要でした。物語が進み、アーニャの現実的な恐怖が明らかになるにつれ、コントラストを強めにし、アーニャが一人でないことがわかるようにカメラを動かしました。

これらのショットの多くは、11mm〜16mmの広い焦点距離で撮影しました。使用した中で一番長いレンズは35mmで、1ショットだけ撮影しました。

同氏は、Pocket Cinema Camera 6K Proが彼のファーストチョイスであると言う。小ささと軽さ、6K解像度、Blackmagic RAW対応がその理由だ。

ホーン氏:この作品は一連のYouTubeビデオに見えるようにしたかったので、主人公のアーニャが買って自分で撮影できるであろうカメラで撮影しました。小さくて軽いので非常に万能で、柔軟性に富んでいます。おかげで、撮影当日に大胆な決断ができただけでなく、技術的な制限に縛られることもありませんでした。

私とアシスタントカメラマンのショーン・シンガーのみという最小限のカメラチームで、セットアップから次のセットアップへと非常にすばやく移行できました。

また、そのあらゆる段階で、固定のYouTubeセットアップからハンドヘルドのPOV(セルフィー)カメラ、360°のパンショット、フローティング・ジンバルのルックに切り替えることができました。すばやくセットアップできたことで、監督と私の連携が極めて柔軟になり、各シーンに求めていた雰囲気を確実に表現できました。


ファウンド・フッテージの中のアーニャの進化を表現する上で、カラーグレーディングの目標は、ホーン氏が意図的に作った光源をきめ細かにバランス調整して形成し、物語が進むにつれて恐怖感を際立たせて、まとまりのある自然な雰囲気を作り上げることだった。

ラルー氏:シーンごとに光とカラーを強調しながら、焦点は常にアーニャにあるように心がけました。

光の形成のいくつかは、恐怖の反応を誘導するために行いました。物語がホラーの領域に入るにつれ、物を見えなくしたり、フレームの一部を操作して視聴者の視線を誘導したりしました。

ウィンドウを使用して、わずかな形成を数多く行いました。DCTLを読み込めたので、色相、彩度、濃度のパラメーターをさらに微調整できました。

光源が1つだけの暗いシーケンスも数多くありました。それらの場面では、ResolveのHDRホイールを使用して、白と暗闇の範囲を独自に作成し、より正確にコントラストを作り上げました。屋根裏のシーンなどですね。

カメラが家の中を移動する数少ない夜のシーンは、ラルー氏にとって印象深いものになっていた。

ラルー氏:複数の部屋から差し込む光のバランスをとるために、ウィンドウをアニメートしたり、キーフレームで調整したりしなければならなかったのは、楽しかったです。

また、自然な雰囲気から離れて、カラーの一部を強調することもできました。シアンを上げることで、赤と黄色の彩度を強調しました。場面によっては露出を調整し、被写体のシルエットを撮影時よりも強調して、ホラー感を強めました。

ホーン氏:このプロジェクトを取り巻くコラボレーション的な創造性が大好きでした。

脚本/共同監督のアレックス・へネスとマシュー・メレンダは、常にイエスと言う雰囲気を作り上げてくれましたし、全スタッフがファウンド・フッテージのスタイルに賛同してくれました。このプロジェクトはテクノロジーと創造性の完璧なブレンドです。