第80回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、第96回アカデミー賞ではエマ・ストーンが『ラ・ラ・ランド』(17)に続く2度目の主演女優賞を受賞したほか、合計4部門の受賞を果たした『哀れなるものたち』を贈りだした、ヨルゴス・ランティモス監督とストーンのタッグによる映画『憐れみの3章』(24)。本作が、12月25日(水)よりディズニープラス「スター」で見放題独占配信されることが決定した。
9月27日より全国公開された映画『憐れみの3章』。第77回カンヌ国際映画祭でワールドプレミアを迎え、ジェシー・プレモンスが男優賞を獲得、ランティモス監督のカンヌ無敗伝説を更新した本作は、その後も世界中で熱い反響を呼び、日本公開においても多くの映画ファンを魅了した。
ランティモス監督のもとには世界的大ヒットとなった前作『哀れなるものたち』でも組んだ、ストーン、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリーが再集結。さらに、プレモンス、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーといった、折り紙つきの実力者が勢ぞろい。そして共同脚本として『籠の中の乙女』(09)、『ロブスター』(15)、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(17)のエフティミス・フィリップとランティモスの最強タッグが復活。ランティモス監督ならではの、ユーモラスでありながら、時に不穏で予測不可能な独創的世界を描きだしただけでなく、全く異なる展開を繰り広げる3つの物語を、同じ俳優たちが違う人物、違う設定で演じるというチャレンジングな作品を生みだした。
本作で描かれるのは、第1章「選択肢を奪われ、自分の人生を取り戻そうと格闘する男」、第2章「海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官」、第3章「卓越した教祖になると定められた特別な人物を懸命に探す女」という、3つの独立した物語。章が変わるたびに新たな世界に放りだされるかのような驚きと衝撃を覚えるのと同時に、同じキャストが別々の世界の違うキャラクターを演じるという画期的な演出によって、全く接点がないはずの3つの物語がいつしかリンクしていく不思議な感覚に襲われる。じっくり観ていると、思わぬ描写に共通点が浮き彫りになり、ランティモス監督の“仕掛け”によって、気づけば映画的興奮の真っ只中に没入させられるマジックが隠されている。
ランティモス監督が唯一無二の感性で描きだした“愛と支配”のアンソロジー『憐れみの3章』。本作に世界に溺れ、浸れるクリスマスを楽しみに待とう。
文/サンクレイオ翼