「ありがとう」が変化して…… 家を出ていくときの置き手紙の“驚きの仕掛け”に「切ない」「発想が天才」の声 投稿者に話を聞いた

 SNS上で注目を集めた投稿について、その背景をあらためて取材する「バズ投稿のウラ話」。今回は2023年10月に人々を震撼させた「家を出ていくときの置き手紙(関連記事)」について、X(旧Twitter)ユーザーのしんらしんげ(@shin___geki)さんに話を聞きました。

紙工作作家の力作

 「家を出て行くときの置き手紙作った」と添えて投稿された動画には1枚の白い紙が映っています。一見シンプルな手紙のようですが……。

仕掛けにゾクッ

 ページをめくると文字が左側にスライドし、1ページ目は「ありがとう」が「さようなら」に変化。2ページ目は「あなたが好きだった」が「あなたが嫌いになった」へと変わります。まるで生きているように動く文字にゾクッとし、次にどんな言葉が出てくるのか、ドキドキするようなソワソワするような気持ちになります。

 続いて「わたしがわるいの/あなたもわるいの」「二人は辛い/一人は幸せ」と2ページで本心を伝え、最後には「I loved you/Thank you」と結ばれる置き手紙。心に小さなトゲが刺さったようなじわじわとした痛みを感じる仕掛けと内容に、「ウルウル泣ける」「天才」と多くのコメントが寄せられました。

 しんらしんげさんは、紙工作作家/工作漫画家さん。多彩なアイデアで制作されたアート作品で人気を集めています(関連記事12)。12月21日~1月26日までの「ZENT ART MUSEUM」(愛知県名古屋市)で個展を開催予定となっており、話題になった「置き手紙」も展示する予定とのことです。

 ねとらぼ編集部では、しんらしんげさんに作品を作るきっかけや、当時の反響などについてなどについて聞きました。なぜ「置き手紙」をしようと思ったのか――。

何度も試行錯誤した

――「置き手紙」を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか? また、内容(文章)のアイデアについてはどのように生まれたのでしょうか。

しんらしんげさん:もともとこのような文字と絵が変形する紙工作などは昔から作っていて(参考動画12)、なにか他にもできないか考えたときに、「ありがとう」から「さようなら」に変わる仕掛けを思いつきました。そこから変形できる文字をいろいろと考察し、「置き手紙」の内容のような文章ができました。

――「置き手紙」の仕掛けを作るのは難しかったのでしょうか? 作る際に苦労したポイントなどあれば教えてください。

しんらしんげさん:2つの文章と文字のつじつまを合わせるのがすごく大変で苦労した点です。文字の形を分解しながら、どこをどう変えるか何度も試行錯誤しました。他の文章もいろいろと考えたのですが、なかなかうまく変形させられないことが多かったです。

――文字の組み合わせに苦労したのですね……。最後の「I loved you」が「Thank you」ではなく「I Hate You」にかわるのでは?と予想したユーザーが複数いらっしゃいました。これは予想されていましたか?

しんらしんげさん:予想はしていませんでしたが、最初は「I loved you」から「I hate you」に変えるのを考えていました。ですが仕掛けがうまくいかず、「Thank you」ならできることに気付いてこの形になりました。

――ご自身でも「I hate you」を考えていらっしゃったのですね! バズったときの心境を教えてください。特に印象に残っているコメントは何かありますか?

しんらしんげさん:紙工作作家として普段は絵が動く作品を作っていますが、文字が変形するものも楽しんでもらえるのだなとうれしくなりました。ネタとして作ったのですが、文章の内容に本当に辛くなっていそうなコメントもあって面白かったです。

画像提供:しんらしんげさん(@shin___geki)さん