2024年度(1月~12月)に反響の大きかったインタビュー記事ベスト10をお届けする。第10位は、イケメン俳優として大活躍し、その後、突然芸能界を引退した五十嵐隼士さんの今に迫った記事だった(初公開日:2024年6月1日)。イケメン俳優として『ウルトラマンメビウス』の主役に抜擢されるなど、順風満帆の芸能人生を送るなか、27歳で突如、芸能界を引退した五十嵐隼士さん。その後は飲食店やバーをやっていたが、今年6月から異業種の新事業を始めたという。37歳となった五十嵐さんが見据える将来とは?
元ウルトラマン俳優が立ち上げた新たな事業
この日、取材のため長野県上田市にある新オフィスに訪れると、五十嵐さんは俳優時代と比べてすっかりふくよかになった体躯と、当時と変わらない柔和な笑顔で迎えてくれた。
俳優引退後、六本木でしゃぶしゃぶ店を4年、沖縄でバー経営を1年、静岡県浜松市のバーで4年ほど雇われ店長を務めてきた五十嵐さん。今年6月からスタートする新事業は『ウルトラマンメビウス』で共演した仁科克基(にしな・まさき)さんから聞いた話がきっかけだったという。
――五十嵐さんが始めるという新事業はどのようなものなのでしょうか?
五十嵐隼士(以下、同) 克基くんが昨年から宮崎県日南市で障がい者支援施設のフランチャイズ店を運営をしていると聞きました。
障がい者を対象とした就労支援はさまざまな種類がありますが、克基が運営する障がい者就労支援施設「ヒカリマーリン」が加盟するガルヒ就労支援サービスは、WordやExcelといった資格など、ITに特化したスキルを学べるところが特徴で、できるだけ高収入の仕事に就いてもらうことを目的としています。
――その話を聞いて興味を持った。
はい。水商売はお客さんを相手に人間の表裏が見られておもしろい、やりがいのある仕事でしたが、障がい者支援は今まで僕がやったことのない、直接的に人のためになる仕事。
障がい者って低賃金で雇用されがちなんですよね。聞いた話だと、週の所定労働時間30時間以上で働く障がい者の1ヶ月あたりの賃金は平均20万円以下だそうなんです。時間額にすると最低賃金以下で雇用されている場合もあるそうで。
そういう障がい者の方々にスキルを身につけてもらって高賃金を受け取ってもらう。当事者にとっても会社にとってもいいことじゃん! と思って、水商売以上のやりがいを感じたんです。
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夢は在宅ワーク
――事業に向けてすぐにアクションを起こしたんですか?
昨年3月頃に克基くんからその話を聞いてガルヒ就労支援サービスの宮脇正代表を紹介してもらい、すぐさま宮崎の本部に見学にいきました。そこで障がいのある方たちがイキイキとしている姿を見て感動したんです。
昨年10月に浜松のバーを辞めて、故郷の長野で物件探しや事業登録などの準備をし、上田市で障がい者支援事業所「ウルトラマーリン」を始めることになりました。今年6月1日にオープンしました。
――五十嵐さんが社長?
いえ、兄が代表で僕は副代表です。僕と、東京で別の仕事をやってる兄は、東京と長野の二拠点でやっていくつもりです。今日も朝イチで上田に来て、また東京に戻ります。10名ほどスタッフを雇ったので、ふだんはそのスタッフに任せる形ですね。
――五十嵐さんは東京で何を?
実は僕自身もExcelやWord、PowerPointなどのソフトをちゃんと使えるように、これから資格を取ろうと思ってます。
これまでもYouTubeチャンネルの動画編集やお店のメニューをPhotoshopで作るなどの作業はしてきましたけど、副代表なのにそのあたりのスキルがまったくなかったら恥ずかしいじゃないですか。
資格を取得したら、データ入力などの在宅ワークのバイトでもしてみようかなと思っています。
――久しぶりの東京生活で、誘惑に負けないでくださいね。
夜は遊び尽くしたし、自分でもお店をやってどっぷり浸かったからもう大丈夫です! むしろ在宅ワークが夢(笑)。
この前も東京に戻ったとたん、六本木のしゃぶしゃぶ店を開くときに声をかけてくれた社長から「六本木でバーを開いたから遊びにおいでよ」と連絡がきました。でも、僕はもう水商売の人間じゃないし、お断りしましたよ。