1・4東京ドーム大会でIWGP世界ヘビー級王者ザック・セイバーJr.に挑戦する海野翔太。挑戦資格に疑問符をつけるファンの厳しい声にさらされながらも、自身初の東京ドーム大会メインを前に噛み締めているのは応援してくれるファンへの感謝。2025年、パラダイムシフトを起こすべく新日本の頂点に挑む大勝負を前にした今の心境を聞いた。
【海野翔太インタビュー】
――東京ドーム大会のメインイベントにはプロレスラーになる前から憧れを抱いたかと思いますが、海野選手にとってどんな舞台でしょうか?
▼海野「もちろん憧れの舞台でもありますし、夢見てた東京ドームのメインイベントに立てるというのは率直にうれしい気持ちが詰まってますね。改めてメインイベントに上がることを考えると、会社の看板だったり、責任だったり、プレッシャーだったり、いい意味の緊張感だったり、すべてを背負ってリングに立つことをより実感してますし、それをより若い世代の代表として感じてます」
――プレッシャーも相当あると思いますが、楽しみな感覚はありますか?
▼海野「メチャクチャ楽しみです。ブーイングもあったりとか、歓声もあったりとか、いろんな話題を集められているので、今回の東京ドームで唯一、IWGP世界ヘビーに挑戦できる新日本の人間としては楽しみですし、勝ってあの花道を歩きたいなっていう、いろんな楽しみが膨れ上がってますね」
――ファンからの厳しい声だったり、ブーイングだったり、精神的にこたえるものもあったと思いますが、改めてファンの声をどのように受け止めましたか?
▼海野「本音を言うと、やっぱりつらいですよ。根も葉もないことを言われたりとか。僕の中では実績、結果を残してない人間がIWGPに挑戦して、しかも東京ドームのメインに上がるなんて納得いかないという意味でのブーイングが多数だと受け止めてるんですけど。SNSだったり、いろんな媒体の方が話を膨れ上がらせるようなことを書いたりして盛り上がってる、ブーイングになってるっていうのもあるので。そこに関しては気にしてないというか、そういうお客さんの意図は受け取ってますけど、そこまで動揺してないというか。ブーイングは一定数、そういう意見をお持ちの方がされてる、プラス面白半分でやってる方もいると思いますし。それ以上に応援して下さって、期待してくれてる方が多いのが事実ですから。タッグリーグで各地を回ってきましたけど、ブーイングなんて何一つ起こってないわけですし、何なら入場の時はみんな笑顔でハイタッチしてくれたり、盛り上がってくれてましたし、試合でも翔太コールが飛んだりもしてますし。そこに関してはブーイングがどうとかじゃなくて、応援してくれているファンの人たちのために東京ドームを頑張りたいなという思いが強いです」
――挑戦資格を疑問視する声がありましたが、G1で優勝者のザック選手に勝利しているわけですから、実績は申し分ないという見方ができると思います。
▼海野「お客さんが何を求めてるのかはわからないですけど、G1を優勝してないといけないのかとか、ベルトを何か巻いてないといけないのか、NEW JAPAN CUPを制覇してないといけないのか。そしたら、それこそ挑戦できる人間っていうのは狭まってしまうと思いますし、それじゃ新日本プロレス盛り上がっていかないんじゃないかなと。それこそ棚橋(弘至)さん、オカダ(・カズチカ)さん、AJ(スタイルズ)で回してた時代と同じになりますし。その時は挑戦者が固定されててつまらないとか、他の挑戦者を出せって声がありましたけど、その真逆のことをやったら今度は挑戦する資格がないと。結局は賛否両論あって、反対意見は何をやっても出てしまうので、そこは試合で黙らせるしかないのかなと思います。ブーイングもあるし、大歓声ももらってる人間っておそらく僕しかいないと思いますし、そういうの(観客の反応)も含めて東京ドーム大会は楽しみかなと。一番忘れちゃいけないのは、そういうブーイングをもらってる人間に対してでも、あきらめずに応援してくださるファンがいて、手作りでベルトを作ってくれる子供たちがいる。そういう人たちの思いっていうのは踏みにじりたくないですね。応援してくれる人たちの気持ちを大切にしたいので、そういう人たちのために東京ドームでしっかり勝って、来年は恩返しの気持ちで日本全国を回って、これから新日本プロレスの顔は俺だよ、チャンピオンは俺だよっていうのを見せつけたいですね。年に1回、行くか行かないかの土地でも、また違うところから入場してベルトに触ってもらえるように、ハイタッチしてもらえるように、日本全国盛り上げていきたいなと思います」
――王者・ザック選手にはG1で勝利していますが、前回との違いはIWGP世界王者であるということです。ザック選手を倒す自信のほどは?
▼海野「もちろんザックがチャンピオンになってからの勢いだったりとか、お客さんの支持は半端ないものだと思います。ザック自身も東京ドームのメインは夢見ていた舞台だと思いますし、今回、お互い東京ドームのメインイベントが初めて同士の戦いというのもあります。ザックもザックで思うところがあって気合も入ってますし、試合では今まで以上のポテンシャルを見せてくると思います。でも、そこは今まで勝ってるということもありますし、気負うことなく今の自分をすべてぶつけたうえで勝ちにいきます」
――タッグリーグでも勝ってますし、勢いでは海野選手が勝っていると言っていいかもしれませんね。
▼海野「勢い同士のぶつかり合いになるんじゃないですか。ザックはザックでベルトを獲って、IWGP前王者たちを倒してきて勢いもあって、お客さんの支持も乗っかってる。いい風に乗りながら勢いを増してきてるので、そこをしっかり止めたいなと。今年一回も(ザックに)負けてないので、全力で叩きにいきたいなと思ってますね」
――今回、東京ドーム大会は2連戦で、翌日にはクラウディオ・カスタニョーリ戦も控えます。2025年一発目でベルトを獲って、2連戦をIWGP王者として突破したら、2025年にやりたいこと、新日本をどのようにしていきたいと描いていることはありますか?
▼海野「先ほど言ったように、ブーイングをもらってる中でも応援してくださるファンがたくさんいるのは事実ですし、タッグリーグで地方を回っていてもブーイングは一回も起こってないですし、翔太コールが飛び交ってくれてるので、応援してくださってるファンに、どんな状況でもあきらめずに応援してくれてありがとう、ベルト獲ったよって。でも、これからがスタートだから、新日本プロレスをもっと盛り上げていくために、若い世代が中心になって今の新日本プロレスをもっともっと大爆発させる起爆剤になるから、これから俺たちの戦いを見てくれっていうのを1年間、日本全国回って届けていきたいなと思います」
――ベルトを持って会場中を回ってハイタッチすれば、海野選手色の新しい風景が広がりそうですね。
▼海野「そうですね。パラダイムシフトかなと思います」