ママタルト【M-1グランプリ2024 決勝直前インタビュー】「何も持たない者は、何を喋ってもおもしろい」

4分間に全力を注ぐ全国の若き漫才師たちの頂点を決める『M-1グランプリ2024』の決勝が、12月22日(日)にABCテレビ・テレビ朝日系全国ネットで生放送されます。過去最多となる10,330組がエントリーしたなか、ファイナリストに残ったのは9組。今回は、ママタルト(大鶴肥満、檜原洋平)の決勝直前インタビューをお届けします!


出典: FANY マガジン

ウエストランド井口の教えが染み付いて…

――おめでとうございます! まず……『M-1グランプリ2024』決勝進出を決めた今の率直なお気持ちをお聞かせ下さい。

檜原洋平 (昨年、一昨年と)2回(準決勝で)落ちたんで、意外に落ち着いてるというか。3回もこさせてもらえば、一度ぐらいは(決勝に)行かせてもらえるかっていうか。意外に冷静な自分にびっくりしてます。

大鶴肥満 我々には、漫才の師、ウエストランド井口さんの「どこどこでウケたくらいで浮足立つな! 地に足つけろ!」という教えが染み付いていますので。

檜原 サスペンダーズがキングオブコントの準決勝に行ってよろこんでたら、井口さんが「サスペンダーズがキングオブコントの準決勝に行ったくらいじゃ何も変わらないんだから優勝するまで浮かれるな!」と。決勝進出できてハッピーなんですけど、「決勝でスベったら終わりだからな!」という井口さんの声が聞こえてきます。

大鶴 師の教えって、小さな師匠が耳の後ろから囁くイメージですけど、井口さんは原寸大で、僕らの背中に張り付いて大声で喋ってるイメージです。

――「ただ証明したい、俺たちが一番おもしろい」とありますが、これまでの人生を振り返り「俺たち(もしくは俺)が一番おもしろい」と感じた瞬間はありましたか?

檜原 大学に入学して最初の中国語の授業で、中国人の先生が質問を5問出して、5人の生徒に一問ずつ割り振って、答えを黒板に書かせたんですね。例えばその時が1時20分だとしたら、先生が「うん、じゃあ、2時までに」って言い間違えたんです。40分もあったんで、僕が1周目の1回目の授業で「めっちゃくれるやん時間!」って言うたらほんとにドカーンとウケて。「全員知らん人でも言い方でウケるんや」って自信になったのは、記憶に残ってます。

大鶴 大学4年生のとき、早稲田大学の学祭で、セクシー女優の上原亜衣さんのイベントがあると聞いたんですね。大好き過ぎて、自分の学祭(明治大学)の持ち場を離れて、早稲田に行ったんですよ。「上原亜衣の講演会」みたいな感じだったので、僕は上原さんの発言を全部メモして。その後実演タイムみたいなのがあって、「上原さんと『キス我慢』をやりたい人〜」と呼びかけがあったので、靴を脱いで机の上に立って「はい!」と立候補したら選ばれて。で、キス我慢をやらせてもらったんですよ。終わった後に一言コメントを求められて、「天国はここにありましたね」って言ったらドガーン!とウケました。その後に、「これは授業ですからね。上原さんが言った好きなシチュエーションなど、問題を5問出します。全問正解者にはハイタッチの権利が与えられます」となって。僕は全部メモを取ってたから「いけます!」って言ったらめちゃめちゃウケて。2chで「あの青いポロシャツのヤツ、明大生だ」って特定されたときに、「俺、一番おもしろいかも」と思いましたね。

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笑ってもらいたかったら、まずは…


出典: FANY マガジン

――「一番おもしろく」なるために必要なものは何だと思いますか?

大鶴 「持たざる者」という資質かもしれません。やはり、何も持たない者は、何を喋ってもおもしろいです。ハングリーなので。それが、何かを持ち始めてしまうと、みんなそいつのことを嫌い始めるんです。おもしろくなればなるほど持てるようになり、嫌われていく。後輩で可愛がってるポテトカレッジっていうコンビのコモダドラゴンっていう子が33歳でロン毛で気持ち悪くて、糖尿病にもなって。で、火事で家が燃えたとき、本当におもしろかったんですけど、ちょっと結果出始めた瞬間に急につまんなくなったように感じちゃって。持たざる者の資質というのは本当におもしろいけど、難しすぎるなって。だから一瞬なのかもしれないですね。本当におもしろい人というのは。

檜原 (ライブ制作会社)スラッシュパイルの片山さんにもらった「鏡は先に笑わない」っていう言葉があって。人に笑ってもらいたかったら、まずは自分が先に笑顔にならないと、という考え方で。コンビでロケに行ったときに、うまくいかなくて、片山さんに相談したときに、言われた言葉です。人に接するときは、自分から「僕ってこんな人なんですよ」と心を開いて、敷居を下げる。恥ずかしがらないこと、ですね。

――「ファイナリストの中で俺たちが一番○○だ!」……「○○」に入るのは?

大鶴 「重すぎる」です。

檜原 僕も実はけっこうもっちりしていて。

大鶴 2人合わせて275kgくらいあるんです。

――準決勝では肥満さんがステージを動き回りましたね。

大鶴 動けちゃうからこそ、期待値が上がっちゃってて。たまにネタ中にヒワちゃん(檜原)から無理難題を言われます。「逆立ちできるか?」とか。さすがにそれは無理だよっていう。動きとしては準決勝ネタが限界です。