“神の子イエス”と“仏の悟りを開いたブッダ”が東京・立川の風呂なし6畳一間アパートで二人暮らしをしながら下界でバカンスを満喫する日常を描く、中村光のギャグ漫画「聖☆おにいさん」初の実写映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』(公開中)。
映画のために原作者の中村が描いた「聖☆おにいさん」史上初の壮大な長編シリーズ「スクリーンへの長い途(みち)」を完全実写化。ゆるい日常を描くショートストーリーとは少し異なる「聖☆おにいさん」の物語が展開する。
【写真を見る】イエス松山&ブッダ染谷コンビからの”ありがた〜い”お言葉をお届け! / 撮影/河内彩
MOVIE WALKER PRESSでは、イエス役を演じる松山ケンイチとブッダ役を演じる染谷将太を直撃!Xにてユーザーからの質問を募り、イエス松山&ブッダ染谷からアドバイスをもらう“AMA”(=Ask Me Anythingの略)を実施。下界でバカンス中にもかかわらず「なんでも訊いちゃって!」と快く企画に乗ってくれた“神の子イエス”と“仏の悟りを開いたブッダ”からのありがたいお言葉と、松山&染谷からのためになる助言をお届け!
■神と仏を演じた松山さんと染谷さんですが、これまで神がかってた出来事、神様や仏様のおかげかも?と思うような奇跡的な体験などはありますか?(40代/女性)
ゆるい日常を描くショートストーリーとは少し異なる「聖☆おにいさん」の物語が展開 / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
松山「結構現場ではそういう体験あるよね」
染谷「ありますね」
松山「三谷幸喜監督の『ザ・マジックアワー』みたいなことが実際の現場でも起きたりするけれど、あれってなんだろうね。本番中の研ぎ澄まされた環境で、普段の生活では気づかなかったことをキャッチできているだけなのかもしれないけれど。『これ、奇跡だな』って思うことは本番中、意外とよくあるよね?」
染谷「松山さん、なんか多そう…」
松山「そう?確か、『聖☆おにいさん』でもあったよね?いまでも覚えているけれど」
染谷「ろくろ?」
松山「あれはびっくりしたよね。リハの時に、電動ろくろのスピードをマックスにしたらどうなるのかと思っていじっていたら、台に乗せていた粘土がビューンって飛んで手を洗う場所に飛んでいってポトンと落ちるっていう」
染谷「神がかってましたよね」
松山「福田監督から『それ、本番中にやってよ!』ってすごくガッカリされて(笑)」
染谷「『もう1回やって!』とねだられて。でも結局ちゃんと落ちるっていう」
映画で”奇跡的なシーン”を生み出した?!オリジナルキャラクターの佐藤二朗登場シーンは必見 / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
松山「あと、今回の映画だとやっぱり(佐藤)二朗さんかな」
染谷「まあ、そうなりますね」
松山「あれは奇跡なのか」
染谷「事故かな(笑)」
松山「マイクが…、というのは映画でご確認ください!」
染谷「あと、撮影中に望んでいる天気になることもありますよね。地球が終わる日みたいなシーンの撮影で、本当にこの世の終わりのような夕日が出たことがあって。そういう引き寄せのようなことは、撮影ではたまにある気がします」
■イエスとブッダを演じていて、普段の自分と似ているところはありますか??(20代/女性)
松山「イエスは好奇心旺盛で、いろいろやってみるけれどかなり飽き性です。ろくろもすぐに飽きちゃったし、うまくできないと一気に冷めちゃうタイプ(笑)。僕もちょっとそういうところがありますね。1回熱が冷めてしまうと、なかなか元に戻れない。同じ集中力を発揮することはできないんです」
染谷「ブッダはツッコミタイプですが、僕もどちらかというとそうなんです。ツッコミタイプではあるけれど、自分が意図していないところで天然が出て、逆にツッコまれる(笑)みたいなことは多々あって、ブッダと似ているなって思います」
■ブッダさまにご相談があります。姉が頭のてっぺんにおだんごつくるカタチの髪型なのですが、被れる帽子がありません。夏用or冬用の帽子でいいのあったら教えてもらいたいです。切実です。(60代/女性)
倹約家で特売セールに敏感なブッダ / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
松山「ブッダのこれ、被ってもらえばいいんじゃない?(ポスターのブッダの頭を指す)」
染谷「これ、暖かいですよ」
松山「このボツボツ(ブッダの螺髪。台所バサミが通用しないくらいカチカチ…というシーンも描かれたことがある)を取り外しできるようにして、夏はいくつか外して通気性を保ち、冬は全部埋まったままで暖かいっていうのはどう?」
染谷「それ、いい!(ブッダとして)耳当てをしたこともあったけれど、帽子を被ったことはないかも。この方のお姉さんはお団子頭なんですよね?だったら、2サイズ上の帽子もおすすめです。ニット帽ならのびるので。でも、やっぱりイチオシは1つずつ取り外し可能なブッダの螺髪かな。1個でオールシーズンいけます!(笑)」
■下界でバカンスがモチーフの「聖☆おにいさん」ですが、お二人は働きすぎた時、バカンスしに行きたいと思った場所はありますか?また、お仕事で疲れた時のリラックス方法などあったら教えてください!(10代/女性)
リラックスしたい時は、自然が多い場所に行くという松山 / 撮影/河内彩
松山「僕は田舎が好きなので、疲れたら田舎に行ってゆっくりします。人目につかないところにいるのはやっぱり楽。アンテナを張る必要もないし。仕事で疲れると、箱に入って黙っていたいみたいな気持ちになります。全部シャットアウトしたいという感じかな。残念ながら箱はないので、人としゃべりたくなくなる時は、部屋で静かにしています。まあ、ある意味引きこもりみたいなものかな。物理的にも気持ち的にも自分のなかに閉じこもる感じです」
染谷「自然がある場所はいいですよね。つい先日、初めて宮古島に行ったけれど、すごくよかったです。ずっと東京で働いていると時間の流れの違いをすごく大きく感じるので、リラックスできる場所に行くと時間の流れ方がいいなって思うことが多いです」
下界でバカンス中のイエスとブッダ / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
松山「景色を見るだけでもホッとするよね。東京だとなにかを見ていても必ずどこかの壁で止まってしまう。田舎だといちいちホッとする景色を探す必要もなく、視線をどこに向けても落ち着く感じがあります。昔は、一人で海外にもふらりと出かけていたけれど、いまは家族もいるからあまり自分だけ自由にはできない。やったら怒られちゃうしね(笑)。なので、国内でふらりと行ける距離の田舎にはよく行きます」
染谷「散歩もリラックスの方法かな。長距離をひたすら歩くと、リラックスできるような気がしています。歩き始めはいろいろと考えごとをしちゃうけれど、1、2時間歩いていると徐々に麻痺してくる(笑)。副交感神経が優位になってくる感じかな。すごくリラックスできます。目的地を決めず5駅分歩いてみようかなという感じで歩くようにしています」
■日常生活でイライラしてしまう時、仏のような無の心になるにはどうしたらいいでしょうか?普段は穏やかなイメージのお二人ですが、怒ったりすることはありますか?(10代/女性)
下界でのバカンスを奔放に楽しむ神の子イエス / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
染谷「どうっすか?」
松山「僕はダメ。イライラは抑えられないんだよね(笑)」
染谷「そうなんですか?」
松山「(藤原)竜也さんがよく知ってる。例えば(撮影現場での)『本番、よーい!』からの『あ、すみません。飛行機来ました。ちょっと待ってください』ってやつ。あれ、ダメ!」
染谷「ダメなんだ!意外」
松山「あ゛――!!ってなるし、収まらない」
染谷「『聖☆おにいさん』の現場では見たことないかも。多分、あったとしても、あ゛――!!とはなってなかった気がします」
松山「それはもしかしたら、相手の俳優さんに意識が向いていたからかも。どんなお芝居をしてくるのか身構えてたか、絶対に笑わないようにしようってなってたんじゃないかな」
染谷「なるほど。別のスイッチが入っていた?」
松山「たぶん、そう。本当にダメなんだよね。竜也さんに『まあまあまあ』って言われる(笑)」
染谷「(藤原さんのモノマネをする松山にクスクス笑いながら)竜也さんが『落ち着けよ!』という感じでなだめるんですね(笑)。僕は、なるべく落ち着こうとしている気がします。現場だとちょっと目を閉じたり、深呼吸したり。イライラよりも、ソワソワしたり緊張することが多いから、わざとあくびをしたりして自分を落ち着かせるようなことはあるかも」
松山「イライラを抑えなきゃいけないのはわかっているけどね。仕方ないから仕事の時は、くるくる歩いて回ることが多いかも。考えごととか、執着しちゃう時とか、感情に飲まれちゃっている時は歩いて回るのがおすすめです。どこでもできるし」
染谷「僕はせっかちだから、早めに動かなきゃ、早めに準備しなきゃと焦ってソワソワした挙句、遅れてしまう(笑)。多分、手際が悪いんだと思います。って僕たちの回答は解決する方向には…」
松山「なってないね(笑)」
■自宅でリラックス出来るお気に入りの場所はありますか?その場所がお気に入りの理由も教えてください。(50代/女性)
『聖☆おにいさん THE MOVIE』はリラックスしたい時におすすめ! / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
松山「トイレか寝室。寝室のベッドの脇に“骨盤職人”っていう拳のようなものがついている木の健康アイテムを置いていて。腰にそれを敷いて寝ると背骨がぎゅっと反り返ってすごく気持ちいい。原始的なアイテムだけど、心も体もリラックスできます!」
染谷「ソファ。台本を読むのも読書をするのも映画を観るのもソファが落ち着きます。家ではソファにいることが多いです。あとはキッチン!料理が好きなのでキッチンも落ち着く場所です」
■もう随分前のことなのに、この時期になると思い出す嫌なことがあります。職場のイベントでの出来事で、そのイベントは毎年必ずあるので、どうしても思い出してしまい、思いだす度に理不尽さに腹が立つし、自分なりに一生懸命やっていたことを否定された悲しさがよみがえります。思い出してもイライラしない良い方法ありませんか?(50代/女性)
松山「僕もよく過去の失敗とかフラッシュバックみたいに出てくることがあります。嫌だなって気持ちに心が支配されたりするけれど、でもよくよく考えると、それがあるおかげで違う失敗から救われているんじゃないか、守られているんじゃないかって思うんです。別の嫌な思いをすることがなかった可能性もあるわけだし。それってある意味ギフト。そう思うと、嫌な記憶も消したらもったいないかもしれないなって思います」
染谷「僕もそう思います。僕がやるのはネガティブなことに対して心のなかで『ありがとう』って言うこと。とりあえず『ありがとう』って言うことで消化するようにしています。もはや感謝しちゃえ!みたいな感じ(笑)。パワープレーだけど、やってみると意外とスッキリします。それにしても、イライラとかリラックス関連の質問が多いけれど、みんな疲れてるのかな」
松山「そうかもしれない」
染谷「『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』を観れば、笑ってリラックスできるかもしれません」
■様々な役を演じてこられたお二人に質問です。お互いに、印象に残っている相手の演じた役柄があれば教えてください。(30代/男性)
ゆる〜い日常シーンもあり / [c]中村光/講談社 [c]2024 映画「聖☆おにいさん」製作委員会
染谷「『聖の青春』。ご一緒した作品だけど、聖さんがそこにいた!というあの衝撃は忘れられないです」
松山「僕も『聖の青春』は一生忘れられないと思う。染谷くんは目が印象的だよね。『寄生獣』や『ヒミズ』のポスターの“目”はいまもパッと頭に浮かぶくらい印象が強いかな。お芝居だと『麒麟がくる』の信長。最初と最後全然違うよね?」
染谷「違いますね」
松山「染谷くんってどの位置にいても“やってる感”がないっていうのかな。本当にそういう人なんだろうな、みたいな説得力がすごくある。『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』とかでもそう。なじむというか、力技でやっている感じがしない。すごく頑張ってやってるのって案外目につくもんじゃない?でも染谷くんにはそれを感じたことがない!」
染谷「僕は自分で観ていて『俺、頑張ってるな』って思う時ありますよ」
松山「本当?全然気づかないんだよね。まあ、そりゃ自分はわかってるだろうけど(笑)」
染谷「バレますよね、自分には(笑)。僕は『ノルウェイの森』も印象に残っています。自分の妻が出ているのもあるけれど、忘れられない作品です。松山さんの、透き通っているけれどじめっとしている佇まいが、あの世界観のなかでめちゃめちゃ美しくて。物語もそうだけど、松山さんが映画のなかで歩いているだけで『映画になっている!』と感じて、すごくカッコよかったです」
■30歳を越えたあたりから、一気に身体が衰えてきたなと感じて悩んでいます。少し動いただけでも疲れたりしちゃうのですが、ニ人は老いを感じることはないですか?また普段からやっている老い対策などあれば教えてほしいです。(40代/女性)
体力の衰えを感じて走っていたという染谷 / 撮影/河内彩
松山「同じです。もともと運動していたので、体力がなかったわけじゃないけれど、少し前に子どもと一緒にバスケをやったら、吐きそうになって(笑)。こんなに動けないの?と思ったし、すごい危機感が湧いてきて。もし身体的な体力と心の体力がつながっていたとしたらやばいじゃん!って思って」
染谷「確かに」
松山「体力の衰えを少しでも食い止める努力をしたほうがいいと思い立って、走り始めました。一応、続けていきたいと思ってるし、今朝も走ってきた!」
染谷「おっ!」
松山「一人だとつまらないから、娘を起こして付き合ってもらって」
染谷「付き合ってくれるんですか?」
松山「一応付き合ってくれたんだけど、娘のほうが体力なくて(笑)。走らずにずっと歩いていて、それじゃただの散歩じゃん!って。でも、そういう鍛錬みたいなことって一人でやるのは本当につまらない。一緒に遊びながらできたらいいなって思うよね。心に関してはやりたいことは全部やっているから、いまのところ衰えの心配はないかな。もしかして体力が上がるとやりたいことがもっとできるようになるかも、とも思ったから、ちょっと期待して運動は続けていこうかなと」
染谷「体力の衰えって、一生懸命やっている時には気づかないものですよね。回復が遅くなっていることに気づいてハッとするというか。翌日には普通に戻っていたものが、疲労感を引きずるようになったとはすごく思っています。実は僕も少し前まで走っていました。やっぱり体力は欲しいですよね。年齢関係なくあり余っている方、化け物か!ってくらい動ける役者さんを見ると羨ましいなって思います」
松山「大沢(たかお)さんとか、あの身体、どうなってるんだろう」
染谷「すごいっすよね」
松山「ボブ・サップみたいな体になっている写真見たよ!」
染谷「羨ましいですよね。体力は欲しいと思うけれど、僕も心の衰えはあまり感じていないかもしれません。自分が何歳かもよく忘れるし(笑)。30歳になった時は、節目というのもあって覚えていたけれど、そこからはわからなくなっていて。1年があっという間に過ぎていくからなのか、例えば『聖☆おにいさん』の撮影いつだったっけ?みたいに振り返っていたら、『あ、誕生日過ぎてる。1つ年をとったのか』と気づいたりして。だから心的には衰えを感じていないのかもしれないですね」
取材・文/タナカシノブ