舞台でのめざましい活躍に加え、ミュージシャンとしても活動するRUN&GUNの米原幸佑。その米原が本格的な音楽劇として初めて脚本・演出を務めた『トランスミラー』が、12月25日(水)〜29日(日)に東京・新宿の新宿村LIVEで上演されます。歌あり、ダンスあり、アクションありという、まさに“やりたいことを詰め込んだ”総合エンターテインメントとなっている今回の作品。「初めてにして集大成」という米原に、その見どころを聞きました。
出典: FANY マガジン
稽古もスムーズでめちゃくちゃ楽しい
──米原さんは昨年から再演を重ねている音楽朗読劇『パレード』で初めて脚本・演出を手掛けましたが、2作目となる今回の音楽劇『トランスミラー』では、かなり時間をかけて脚本を書いたそうですね。
そうなんです。『パレード』の初演が終わって「次、新作書きたいよね」とプロデューサーと話して、そこから何度かトライしていたんですが、なかなかまとまらず……。今年に入って、プロデューサーが「鏡」というキーワードを出してくれたんです。そこから『トランスミラー』というタイトルを先に決めてしまって、鏡を象徴的な軸において「二面性」だとか「多面的」といったアプローチのエンターテイメント劇を作ろうと本格的に動き始めました。書き上がるまでは、だいたい8カ月くらいかかりましたね。
──朗読劇とはやはり勝手が違いましたか?
『パレード』のときは、「とりあえず書いてみるけど、書けなかったら自分は『原案』にして、ほかの人に振ろう」くらいの軽い気持ちで書いてみたら意外と書けちゃった、という感じなんです。しかも最初は演出までは手が回らず、別の方に仕切ってもらいつつ自分は口を出す形で始めたんですよ。だから今回のように自由に動ける作品の脚本を書くことも、ゼロから演出をやるのも初めてのことで。でも稽古はかなりスムーズに進んでいますし、めちゃくちゃ楽しいですね。
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キャストやスタッフから想像をはるかに超える提案が
──『トランスミラー』はどんな作品なんでしょうか?
“カオスみ”がある作品ですね。とにかく自分が観たいものをガンガン詰め込んでいったので、アクションや殺陣もありますし、もちろん歌とダンスもありますし。歌も、ミュージカルのように登場人物の感情が高ぶって歌い始めるところもあれば、ストーリー上の必然性があって歌うものも。自分がこれまで経験したミュージカルやライブなどの、あらゆるものが総合的に含まれている作品になっていると思います。
──米原さん自身も重要な役柄で出演しますが、そもそもは出演の予定はなかったそうですね?
最初は脚本と演出に専念しようと思っていたんです。でも結局、出演することになりました。でもそのおかげで、自分から動いて「このほうがいいね」とキャストと一緒に汗をかきながらつくることができたのは、作品にとってすごくよかった気がします。
演出家としての経験は浅いですけど、役者としてのキャリアはある。それが今回、演出の強みになっているのかもしれません。出る側からしたら、ウソの動きをしたくないんですよ。だからキャストのみんなに「この動機なら動けるよね?」と確認しながら、一つひとつの動きをつけています。
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──こうしてお話を聞いて、稽古場の雰囲気を見ただけでも、米原さんがかなり楽しんで演出をしている感じが伝わってきます。
もしかしたら、稽古場で「演出家の役」を演じている面もあるのかもしれませんけど(笑)。今回はフレッシュなメンバーから中堅、ベテランと各世代の役者さんが集まっているんですが、自分がゼロから作ったものに対して、役者のみんながそれぞれ解釈して動いてくれるのを見ると充実感がありますし、改めて「役者ってすげえ!」と思います。もちろん役者だけでなく、振り付けの方、殺陣師の方など、みなさんすごく台本を読み込んでくれて、僕の想像をはるかに超えた提案をしてくれる。「うわ、嬉しい」と感じる日々です。