2024年ももうすぐ終わり……というわけで、1年のヒットモノを振り返るあの大人気企画が帰ってきました!ヒットモノのなかでも、特に影響力が大きかった精鋭をピックアップして編集部が大賞を決定。開発者や業界のプロに取材することで、ヒットの理由を深掘りしていきます。
今回は、キリンビールが17年ぶりに発売したスタンダードビールの新ブランド「キリンビール 晴れ風」に注目!
味わい、売り方全方位にこだわったキリンビール「晴れ風」がビールシーンを席捲
押しも押されもせぬ2024年を代表するヒット商品となった「キリンビール 晴れ風」。そんなメガヒットの開発秘話を探るべく、開発者を直撃取材しました。
キリンビールマーケティング部・向井優夏さん
「キリンビール晴れ風」のPR戦略、広告制作などを担当。発売日の週末にチーム全員で飲んだ「晴れ風」が一番美味しかったそう。
売れ行き絶好調の「キリンビール 晴れ風」(以下、「晴れ風」)は、なんと販売数量500万ケースを突破しているほどだそう。そんなメガヒットはどのように誕生したのか、向井優夏さんに話を聞いた。
「『晴れ風』は、社内でも類を見ないほどプロモーションに力を入れました。発売2週間前から交通機関や屋外広告などに広告を出し、テレビCMも流し、東名阪三カ所でイベントも行いました。それは、お酒好きな方はもちろん、普段お酒を飲まない方や最近ビールから離れている方にも『晴れ風』を飲んでもらいたかったからです。ニュースになるくらいでないと、そういった方には届かないと思ったので頑張りました」
その甲斐あって「晴れ風」は発売日から順調なスタートを切った。
「発売日に、社員有志が店舗さんに伺い、『晴れ風』の陳列のお手伝いをする“店頭応援”をやらせていただきました。私も参加したのですが、『晴れ風』を買ってくださる方が大勢いらっしゃって、すごく嬉しかったです」
「晴れ風」の人気を支えたのは、一度購入した人が継続して購入するリピート率の高さだという。その理由は?
「ひとつは、やはり味です。味を気に入って継続的にご購入いただいている方が多いと思います。ですが、その味を作るまでにも苦労がありました。開発に関わるメンバーを集めて初の試飲会をした際、いくつか用意した味のサンプルが全部ダメだとなりまして……。そこでもう一回ゼロから考え、いかに飲みにくさにつながる香味や味わいを低減させるかという引き算で味を設計することで、今の味わいにたどり着きました。もうひとつの理由は『晴れ風ACTION』です。特に若いお客様から『一日一回寄付するのが日課です』といった声を多くいただきました。こういう新しい取り組みを含めて『晴れ風』を楽しんでいる方が多いのではと思います。とはいえ、まだまだ『晴れ風』の知名度は高くないと思っています。2025年はより多くの方に『晴れ風』の美味しさを知っていただきたいです」
(広告の後にも続きます)
リピ買いしたくなる絶妙な味と挑戦的&斬新なプロモ戦略で発売7カ月で500万ケース達成!
【2024ヒットモノ ビール部門大賞】
キリンビール
キリンビール 晴れ風
市場想定価格:¥225前後
問い合わせ:キリンビールお客様相談室 TEL:0120-111-560
原料は麦芽100%と日本産希少ホップ「IBUKI」を使用。ビールとしての旨みや飲みごたえと飲みやすさを両立させたバランスのいい味わいが魅力。また、工程に工夫をこらすことで過度な酸味を抑え、まろやかな味わい・スムーズな口当たりを実現している。
MonoMax2024年8月号「2024上半期ヒットモノ大賞」でも「キリンビール晴れ風」を紹介。掲載スペースの大きさが、同商品の春から夏にかけてのインパクトのすごさを物語っている。
メガヒットのポイント①徹底した素材選び
麦芽は麦の旨みを丁寧に引き出すことにこだわる。ホップは日本産の希少な「IBUKI」を使用。添加のタイミングに工夫を凝らし、ホップが奥ゆかしく穏やかに香る設計を実現した。
メガヒットのポイント②ビール好きも満足の味
現代のユーザーの嗜好を研究し、ビールとしての旨みや飲みごたえがありながら飲みやすいという、新しい味わいを実現。ホップ「IBUKI」由来の爽やかな香りと旨みも◎。
メガヒットのポイント③新鮮・斬新なプロモーション
花見や花火など「日本の風物詩」の保全・継承に関わる活動を応援するため、同ビールの売上の一部を寄付する取り組み。◯◯県〇〇市と市町村レベルで寄付先が選べる。
文/金山 靖 撮影/坂下丈洋(BYTHEWAY)