ニコン「EL2」 Vol.22 [ニコンの系譜]

可倒式露出計連動レバー

Ai改造していない古いFマウントのレンズをAi方式のボディに装着しようとすると、絞りリングの後端がボディ側の露出計連動レバーと干渉して装着できない。そのためニコンEL2やニコマートFT3の露出計連動レバーは、連動リングにある小さなボタンを押すとレバーを外側に倒して干渉を避けられるようになっていた。これを「可倒式」と呼んでいる。こうすればAi改造していない古いレンズでも絞り込み測光で使えるわけだ。これも旧製品のユーザーに対するニコンの面倒見の良さを表している。

Ai方式の露出計連動レバーは可倒式。この写真でレンズの着脱指標のそばにあるロックボタンを押すと、連動レバーを起こして非Aiレンズが装着できるようになる

露出計連動レバーを起こしたところ

ただ、この機能はニコンEM(1979)以降の機種では最高級機を除いてやめてしまった。F一桁のフラッグシップ機ではニコンF4(1988)までは可倒式が続いていたが、それを最後にやめている。その後2013年になってデジタル一眼レフのニコンDfにこの可倒式の連動レバーを復活させ、話題となった。

豊田堅二|プロフィール

1947年東京生まれ。30年余(株)ニコンに勤務し一眼レフの設計や電子画像関連の業務に従事した。その後日本大学芸術学部写真学科の非常勤講師として2021年まで教壇に立つ。現在の役職は日本写真学会 フェロー・監事、日本オプトメカトロニクス協会 協力委員、日本カメラ博物館「日本の歴史的カメラ」審査員。著書は「とよけん先生のカメラメカニズム講座(日本カメラ社)」、「ニコンファミリーの従姉妹たち(朝日ソノラマ)」など多数。