「即身仏とは?」生きながら自らをミイラにするための修行

即身仏とは主に、日本の仏教に見られる僧侶のミイラのことを指す言葉です。

即身仏の歴史は古く、疫病や飢饉に苦しむ人々を救うために、僧侶が自らの意思で自らの肉体を生きながらミイラ化し、死してなお衆生の救済を祈り続ける生き仏になるという目的がありました。

即身仏になるには、非常に過酷で厳しい苦行に耐えなければなりません。

まず、死んだ後に肉体が腐ってしまわないよう、全身の脂肪分をできるだけ削り落とす必要がありました。

そこで僧侶たちは米を含む穀類の摂取を絶って、木の実や葉っぱの芯を中心に食べていたのです。

さらに体の防腐目的として漆(うるし)を混ぜたお茶を毎日飲んでいました。

これにはまた、体の拒絶反応を起こして嘔吐することで、体の水分を少なくする目的もあったといいます。


江戸後期の書籍『北越雪譜』(ほくえつせっぷ)』に描かれた即身仏のミイラの図絵/ Credit: ja.wikipedia

この恐るべき苦行は約3000日間続き、体が限界に近づいてくると、僧侶は深さ3メートルほどの石室にこもり、完全な断食に入ります。

そして僧侶は読経を繰り返しながら、鈴を鳴らすのです。

なぜ鈴を鳴らすのか?

それはまだ自分が生きていることを外の者に伝えるためです。

この鈴が聞こえなくなったら、僧侶は永遠の瞑想に入ることを意味する「入定(にゅうじょう)」の状態に移ったと判断され、そのミイラ化した肉体が即身仏として祀られました。

シヤラム・ババの生前の生活も形は違えど、仏教でいう即身仏になるための修行に近いものだったと言えるのではないでしょうか。

参考文献

Who is Siyaram Baba and why he is trending
https://timesofindia.indiatimes.com/etimes/trending/who-is-siyaram-baba-and-why-he-is-trending/articleshow/116234381.cms

Who is Siyaram Baba and why is ‘188-year-old’ man trending on social media?
https://english.mathrubhumi.com/news/india/siyaram-baba-cave-rescue-video-fact-check-188-year-old-man-1.9960410

Who is Siyaram Baba? Madhya Pradesh’s revered saint passes away at 94
https://www.livemint.com/news/trends/who-is-siyaram-baba-madhya-pradeshs-revered-saint-passes-away-at-94-11733896655967.html

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。
他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。
趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部