踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きないし、しんどいことだらけの日常ですが、生きていく強さを身に付けるヒントを共有できたらいいなという願いを込めて――。
【「イキてく強さ」】
すごさを実感できる岐阜の無形文化財とは?
お疲れ様です。こっち。(撮影:井筒千恵子、無断転載禁止=以下同)
JR岐阜駅を降りると、まず目に入るのは黄金の信長像だ。岐阜といえば、織田信長なのだ。そして長良川の鵜飼いも、世界遺産の白川郷も有名である。
祭り行事や踊りなどの無形文化遺産も多い。しかし岐阜のストリップ劇場で何度か仕事をするうちに、気付いたのだ。本当にすごさを実感できる岐阜の無形文化財は、喫茶店のモーニングサービスに表れる「サービス精神」ではないか、と。
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コーヒー1杯頼むとフルコース級のサービス
おにぎりの具はフレークじゃない鮭。(撮影:新井見枝香、無断転載禁止=以下同)
岐阜で早朝から営業する喫茶店の多くは、飲み物を頼めばモーニングサービスとして食事が付いてくる。ワンコインでおつりがくるコーヒーに、トーストとゆで卵だけでも十分なサービスだ。
そこに、お椀の赤だしや熱々の茶碗蒸し、おにぎりや焼きそば、フルーツや団子などが出てくるのだから、もう大変な歓待である。なかにはお土産として食パン1斤を持たせてくれる店もあり、気分は竜宮城を訪れた浦島太郎だ。
食べたらおじいさんになるのか…?(撮影:新井見枝香、無断転載禁止=以下同)