DeNA投手陣に複数浮上した先発⇔中継ぎの配置転換希望。三浦監督「何がベストか探りたい」、山﨑康晃は「同じ方向を向いて頑張ることは変わらない」と前向き

☆巻き起こった投手陣シャッフル

 セ・リーグ3位からの下剋上を果たし、26年ぶりの日本一を成し遂げたベイスターズ。但しペナントレースでは貯金2と、決していい戦いが出来ていた訳ではなかった。来季は監督はじめ、チーム全体が“リーグ優勝”へ向けて走り出している。

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 その目標に突き進むため、チームのため自身のために行動を起こすピッチャーが増してきている。

 まずは現在メキシコで武者修行中の濱口遥大が中継ぎへの配置転換を希望した。一昨年のオフから頭にはあったとし「なかなか先発としてここ数年パフォーマンスも出せてなかった。今シーズンもファームの方で何試合か中継ぎで登板することあったんですけど、その中で手応えもあったので、覚悟を決めて中継をやらしてほしいという風にお伝えさせていただきました」と経緯を説明。今季は坂本裕哉がほぼ一人でカバーしていた左腕の中継ぎを厚くする意味合いもあり、理にかなった選択であろう。

 それとは逆に伊勢大夢は5年間努めていた中継ぎから先発転向を志願した。リリーバーのやりがいも感じているが「成績を残していく中でコントロールが年々良くなってきて、それならリリーバーとしてよりも先発としての方が活かせるんじゃないか」と思考を巡らせた。その上で配置転換を希望し、「東克樹さんと左右のエースになれるように」との高い目標を掲げている。今季1年を通してローテーションを守った右腕はアンドレ・ジャクソンのみだったことを鑑みれば、食い込む余地はありそうだ。

☆リリーフ陣リーダーも理解

 その他にも現役ドラフトでソフトバンクに移籍したが、上茶谷大河も中継ぎから先発への転向を求めるなど、投手陣の動きが顕著に現れたこのオフシーズン。

 三浦監督は「年齢とともにいろんなものも変わってきますからね」と選手のマインドの変化はあると理解。指揮官としては「いろんな可能性がありますから、決めつけは良くないんでね、固定化にとらわれずにいろんな可能性を探りながら、柔軟な視野で見ていきたいなと思っています。チームとして戦うために、チームとして来年優勝するために、何が1番ベストなのかっていうのを探っていきたいと思います」と前向きに捉えている。

 ブルペンのリーダー格・山﨑康晃も監督同様、この動きに理解をみせる。濱口には「日本シリーズでも頑張っていましたし、いまはメキシコで頑張ってますよね。彼は非常に適応能力が高い選手だと僕は思っていますので、ブルペンに入っても同じようなパフォーマンスで頑張ってくれると思ってます」と期待を口にする。

 長年ともにブルペンを支えていた伊勢にも「本当に伊勢とは長い時間過ごしてきましたのでもちろん寂しいです。家族より長い時間を過ごして戦っている仲間なのでね」と胸の内を明かしたが「やっぱり彼の選んだ道で成功することが、結果的にチームのためになると思ってます。もちろん見たことない景色、それこそ真っ白のマウンドに立ったことないと思うんで。彼がチームのために考えて頑張ってくれることは、やっぱり嬉しく思います」と微笑んだ。 山﨑はまた、「どんなメンバーが来ても柔軟にひとつになって同じ方向を向いて頑張っていくっていうことは変わらずにやっていきたい。伊勢とはポジションこそ違えど、共にこれからも頑張っていきたい。濱口もそうですけど、新しく入ってくる浜地くん、岩田くんなど新加入の選手もいるんで、みんなでひとつの目標、リーグ優勝に向けてやりやすい環境を整えていくのも、やっぱ経験ある選手の役目だと思うのでね」と力説する。
  続けて「いろんな経験のある森原(康平)さんとも話し合って、いいものを作り上げていく。そして上には三嶋(一輝)さんの姿もありますしね。本当にみんないろんなそれぞれの場所でいろんな経験してきてやってきたことは間違っていないと思ってるんで。僕はみんなで話し合って再確信の場を設けながら、 若手にいい見本となるような姿でグラウンドに立ちたいなと思ってます」と語り、ベテランを中心に投手陣をまとめ上げる覚悟を示した。

 それぞれ立場は違えども、チームに貢献しようとする気持ちは指揮官も選手も同じ。悲願のペナントを手にするため、ベイ戦士たちはそれぞれの道で挑戦を続けていく。

取材・文●萩原孝弘
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