ホストクラブへの飲食代の支払いのために海外での売春や立ちんぼをする女性が多発し社会問題化していることを受けて、警察庁がホストクラブの“色恋営業”禁止の風営法改正案を2025年の国会に提出すると発表した。ついにホスト規制も最終局面に入ったといっても過言ではない。この発表をホストやホス狂たちはどう見たか。
トクリュウとのつながりを排除する目的も
昨年11月には警察庁の露木康浩長官が歌舞伎町を視察。今年7月からは法律の専門家など有識者会議を設けて規制のあり方を検討した結果、今年4月から始まった売掛規制に次ぐいで、色恋営業を禁止する方針を固めた。来年、新たな規制や罰則強化を盛り込んだ風俗営業法の改正案を提出する。
7月に行なわれた検討会では、規制が必要とされた項目には性風俗店が女性の紹介を受ける見返りに、女性の売り上げに応じてホストやスカウトに「スカウトバック」と呼ばれる報酬を支払う行為を禁止することなども挙げられている。
これについて露木長官は「トクリュウ対策の一環として徹底的な取り締まりを行なう」とも触れており、スカウトグループなど匿名・流動型犯罪グループとホストクラブとのつながりの排除も目的としているようだ。
色恋営業禁止の報道に対し、現役ホストやホス狂たちも大きく反応したが、元プロボクサーの細川バレンタイン氏も「なんで 『色恋営業禁止』がホストクラブだけに適応なんだ? キャバクラは? あんなもん、『色恋営業』でしか成り立ってねーぞ」とXで発信。
さらに大王製紙の元会長の井川意高氏も自身のXで「内心の自由と密接に絡むから憲法違反の疑いがある」と持論を述べた。
当のホス狂たちは今回の報道をどう見たか。売掛禁止以降は吉原のソープとデリヘルで働きながら担当ホストに“前入金”という独特な支払い方で稼いだお金を店に入金し通っているという綾さん(26歳)は言う。
「担当から突然『一撃イケるか』と言われ100万円のボトルを入れたこともあったけど、強要されたり脅されたりしたわけじゃなく私が望んだことです。それも色恋営業されたからとか、一度だけ体の関係を持ったからでもありません。自分の体を売って担当の一番でいることが生き甲斐だから、正直、今回の規制は私には何も関係のないことです」
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関係者は規制に反発
かつて担当ホストと結婚したA子さんも「今現在ホストに沼っている子にしてみたら、なんかやってるわ〜くらいにしか感じないと思います」と言う。それはなぜか?
「ホス狂の子は、自分だけは営業じゃなくて本気で愛されている、あるいは他の子とは違う、自分にとって担当ホストが特別なように、担当ホストも自分が特別な存在だと思ってくれているはずと思い込んでいるので、今まさに沼ってる子には正直効果はないと思います。
でも、これからホストに通いそうなホス狂予備軍みたいな子にとってはいい規制なのかな〜、とは思います」
そう、おそらく警察庁らの一番の狙いは、昨今増えている「マッチングアプリなどで出会い、恋人同士のような関係になった上でホストクラブに連れられ高額請求される」パターンを防ぐことなのだろう。
女性を騙し討ちするかのような、ホストの一方的な色恋営業を規制したい意図が見える。
だが、ホスト側からは不満げな声が上がっている。報道記事を自身のXにリンクをつけつつ「こんなアホみたいな法案考えてる奴だれ?」と批判したのは、ホストクラブの最大手、冬月グループの副社長、みとなつ様氏だ。
「男女間の感情ほど曖昧で、解釈の難しいものはなく、それを法で縛ることなどほぼ不可能ですし、言った言わないの水掛け論や“その時は好きだった”とか“好きじゃなかった”となるばかりで、婚約の証拠でもない限り無駄な論争で終わると思います」
このように、色恋営業なるものは規制のしようがないのではないか、と指摘する。さらに“色恋の線引きも非常に難しい”としながら、こう続ける。
「仮に食事に行っただけで恋してしまう人もいます。例えば出会いはじめの頃に“好き”と言ってその時は本当に好意があったけど、結果的に女の子がお店に来るようになり、色恋のつもりはなかったのに、色恋として断罪されるパターンも起こり得ると思います。
もしそれでホストクラブが淘汰されたとしても、バーやコンカフェなどに形を変えて同じような事が繰り返されるだけで何の意味もないでしょう。
また男女平等の原則の基に、キャバクラやスナック、クラブ、風俗なども規制されなければいけなくなります。日本中の繁華街が閑散とし、景気も悪化して、性犯罪も増えるかもしれません」
さらに、みとなつ様氏はこうも続けた。
「こんな法案を考える暇があるなら、災害復興や移民対策、国防や景気刺激策、いくらでも国民の暮らしを良くする税金の使い方をしてほしいです」