蝶野正洋 (C)週刊実話Web
年末になると、今年、亡くなった方々を振り返る機会が増える。
いろいろな顔を思い浮かべてしのんでいたら、中山美穂さん(享年54)の突然の訃報が届いて、本当に驚いた。
中山さんは、俺よりちょっと下の世代にファンが多いアイドルというイメージだったけど、改めてニュースを見ていると、歌もいくつか耳覚えがあったし、女優として演じられた作品も知っていたから、改めて大きな活躍をしたスターだったんだなと感じた。
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死因は入浴している最中の事故死と発表され、メディアではヒートショックや過労による意識混濁など、さまざまな要因が推測されていた。
俺のおふくろは現在89歳なんだけど、数年前に近くの銭湯に行ってるときに貧血で倒れた。
幸い、すぐに周りの人が救急車を呼んでくれて、病院に搬送されたことで助かった。
おふくろには以前から一人で風呂に入ってると何かあったときに危ないから、なるべく銭湯に行ったほうがいいと言っておいたんだよ。
そんな俺の話を聞いて心がけてくれたのかは分からないけど、一人のときに突然、体調不良になった場合、危険度が高いのは明らかだ。
中山さんはまだ50代半ばだったけど、このくらいの年齢になると男女共に体力の曲がり角を迎える。
ホルモンバランスが崩れて、更年期障害のような症状が出始めることも多い。
俺自身も50歳くらいのときに汗がすごく出るようになって、体臭がキツくなってしまった時期があったんだよ。
それに自分の体が老いてきて、いままでのようにはいかなくなることが増えてきた。
例えば睡眠時間を削って休みなく働くとか、夜遅くまで飲み歩いたりすることがキツくなってくる。
でも、生活習慣はすぐには変えられない。
なので体の変化に生活ペースを合わせるためにも、現状を認識して対策を練らないといけない。
車で言えば排気量は半分ぐらい
俺の場合、夜遊びするとき事前に体調を整えるようになった。回復に時間がかかることも分かっているから、次の日はオフにしておく。
飲みに行くだけでも、3日がかりでコンディションを整えるくらい気を使うようになった。
30代の人間は、20代の自分のイメージを引きずっているし、40代の人は30代の感覚で生活してしまいがち。それに元気な人ほど「俺は若い」と思ってるから、当たり前のように無理をしてしまう。
やっぱり50〜60代になったら、車で言えばエンジンの排気量が半分ぐらいになってるとイメージしたほうがいい。
いくらアクセル踏んでもスピードが出ないのに、いつもの調子で運転するから事故が起きてしまう。
そこに早く気づいて改めればいいんだけど、これがなかなか難しい。
大きな病気をしたり、同世代が亡くなったことがきっかけとなり、少しずつ理解していくんだよ。
アスリートを見れば分かるはずだよ。
年齢を重ねていくと肉体的な機能が落ちて記録を伸ばせなくなるから、スタイルを変えてテクニックを磨いたり、それでも難しいと感じたら引退を考える。
日常生活における無理な習慣や行動を“引退”できるかどうかで、その後の健康年齢が変わってくると思うよ。
「週刊実話」1月2日号より
蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。