F1ドライバーとFIA間に横たわる溝。ラッセル「ベン・スレイエム会長は、ドライバーたちに目標を伝えるべき」

 FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長とF1ドライバーたちとの間で緊張が続く中、メルセデスのジョージ・ラッセルはFIAとして「何を目指しているのか」はっきりさせることを求めた。

 2024年シーズンのF1は、ドライバーの暴言を取り締まる”言葉狩り”が問題となり、GPDA(グランプリドライバーズ・アソシエーション)は『ドライバーをひとりの大人として扱う』よう求めたが、その正式な返答を待っている中で幕を閉じてしまった。

 ベン・スレイエムがFIA会長に就任した2022年に、ドライバーに指輪などの装着を禁止した他、ドライバーたちによるオフィシャル批判を止めようとするなど、ここ最近はFIAがドライバーをコントロールしようとしているようにも見える。

 一方、FIA上層部の人材が数多く離れたこともあって、ドライバーたちからはそれを不安視する声も聞かれたが、ベン・スレイエム会長は自身がFIAをどのように統治するかは「ドライバーには関係ない」と語った。

 アブダビで開催された2024年シーズン最終戦で、この件に関する最新情報を尋ねられたラッセルは、次のように答えた。

「彼の頭の中で何が起こっているのか、僕にはよくわからない。前回この話し合いをしたときのように『次はどうするんだ? 次は何が起こるんだ?』という感じなんだ」

「2週間後にそれがかなり深刻なものになるとは思ってもみなかったよ」

 ラッセルが言及した”深刻な事態”とは、FIAの体制変更に関するモノ。FIA会長と議長が倫理調査に関する権限を握るガバナンス体制に変更することが今月のFIA総会で可決されたことを指している。

 ラッセルはmotorsport.comなど一部メディアのインタビューに応じ、「コンプライアンス(の状況)について、このガバナンスの変更全体が何を意味するのか、僕にはよくわからない」と付け加えた。

「2週間後にまた何かあるのか? そして『僕たちはどこに行くんだ? 終点はどこだ?』っていう感じなんだ」

「FIAの目標や目的を理解することは、我々全員にとって素晴らしいことだと思う」

「そして、もし会長がFIAの目標を私たちに表明してくれれば、僕たちはそれを理解することができるだろうし、彼の視点からそれを見ることができるかもしれない」

「そうすれば、僕たちもより深く理解をできるようになるだろう」

 FIAとF1ドライバーたちのコミュニケーションが全くうまくいっていないことは明白。両者が足並みを揃えてF1の発展に尽力するのが理想だが、なかなかうまくいかないようだ。