・古い宿をリノベした?
ところが、部屋の方に移動してみると、どうやら廃業したホテルを買い取ってリニューアル開業したようで、ホテルの作り自体は古いことに気づいた。
そして人が少ないこともあって廊下が信じられないくらい寒いし暗い。
客室内は簡素そのもので、修学旅行とか学生の合宿で泊まるような宿舎って感じだった。風呂場とトイレはあるけど、テレビとか大きなデスクはない。
オシャレ風なエントランスとのギャップがすごい……。
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・期待の風呂へ……
とはいえ、ここのウリは温泉とサウナが入り放題であること。そこがいい感じならあとはどうでもいい。期待しながら大浴場に向かったのだが……。
浴室がめっっちゃ寒い。
ガラーンとした大浴場は、中央に大きな浴槽、小さな水風呂、これまた小さなサウナがあるだけ。
外には露天風呂と、ととのい椅子があるものの、充実した設備とは言い難い。浴槽の横に手すりなどが少ないので、風呂場のタイルで足を滑らせたりしないように慎重に動かなくてはいけなかった。
そんなことより何より寒い。奇しくも私が宿に泊まった日は中山美穂さんが浴室の事故で亡くなった翌日。
ここでもし倒れたら、誰にも見つからずに死んでしまう……。ヒートショックが気になりすぎて、かなり念入りに体をシャワーで温めた。
さらに安全面に配慮してなのか、サウナがめちゃくちゃぬるい。
自分でサウナストーンに水をかけて温度と湿度を上げるロウリュができたのだが、水をかけても「ジュワ〜」と音がしない。
このサウナストーンは死んでいる……と、心の中のケンシロウが哀しげな目でつぶやく。当たり前だが体が温まらないので、水風呂に入ったら心臓が止まりそうである。
温泉の泉質はよかったものの、寒い浴室、ぬるいサウナ……。不満感が残る結果となってしまった。
ついでにいうと、館内にコーヒーメーカーはあるけど自販機がなく、暗闇の中、コートを着て凍えそうになりながら外に飲み物を買いに行く羽目になった。
ホテルに泊まるって、ただ寝るだけじゃなくて心と体をリフレッシュする効果もあると思うんだが、私の心は殺伐とするばかりである。
翌朝、届けられた弁当が美味しかったことだけが救いだった。