ネスレの「ミロ」について、Xでは最近「ミロを飲んで身長が急激に伸びた」というがポストが話題となった。その真偽について、管理栄養士の大槻万須美氏に解説してもらった。
「家族みんな小さいのに私だけ高身長に…」ミロを飲んで身長が伸びたは本当?
1934年にオーストラリアで生まれた「ミロ」。現在では世界30か国以上で販売されている人気の栄養機能食品だ。
そんなミロだが、Xではこんなポストが話題に。
〈年少からミロを水代わりで飲んでたら、突然変異で私だけ170超えの巨大女になった私が通ります…すごくない…あのね、おばあちゃんなんて146?、おじいちゃん163、母155(自称だが絶対ない)の小さめ遺伝子よ〉
幼少期からミロを飲んでいたというポスト主だが、コメントでは「謎が解けた。うちも両親平均身長以下なのに子供3人とも女165,168、男179で確かに幼少期アホみたいにミロ飲まされてた。子供にミロ飲まそ。」や「やはり。ミロを朝昼晩飲んで、スポーツしてる子どもの身長の伸びはやばい」など、同じようにミロを飲むと子どもの身長が伸びたという説に共感している人が多かったのだ。
話題になったポスト主の「鏡よ」さんに当時の状況などについて聞いてみたところ、
「4歳から16歳ごろまで飲んでいたと思います。飲み方はミロを牛乳に溶かす通常の飲み方をしていました。
小学生の間は、朝ごはんのときに1回、学校から帰宅後のおやつの時間に1回の1日計2回飲んでいましたね。
急激に身長が伸びたというよりも、身長の伸びる期間が長かったという感じがします。
ミロのおかげで牛乳をおいしく飲むことができたことに加えて、適度な運動もして、睡眠も十分にとっていたことなどが高身長になった原因なのかもしれません」(鏡よさん)
では、この「ミロを飲むと身長が伸びる説」について果たして真相はどうなのだろうか。
「ミロを飲むことと身長が伸びることの関係性についてはエビデンスがないので、断言することはできないのですが、子どもの成長において不足しがちな栄養素をミロで補えるということが、身長が伸びる一因だと考えることができます。
子どもの成長に欠かせない重要な栄養素といえば、カルシウムやたんぱく質のイメージが強いと思いますが、それだけではなく、ビタミンや鉄分、カルシウム、ミネラル、マグネシウムなどがあります。
例えば鉄分は、赤血球を作る際に必要になる栄養素で、体中に酸素を送る重要な役割を果たしていますが、成長期の子どもは血液量や筋肉量ともに増加するため、鉄分が特に必要になるんです。
そしてミロにはこのような子どもの成長に欠かせない重要な栄養素の多くが含まれています」(大槻氏、以下同)
また今回Xでは、ミロを飲むことに加え、「運動やスポーツをしていた」というコメントが多数見られたが、運動することは身体の成長になにか影響を与えるのだろうか。
「成長に必要な3本柱というのが、栄養のある食事と十分な睡眠と適度な運動だと一般的には言われています。
運動をすることで、骨と筋肉が一度壊されて修復・再生されるわけですが、その段階でどんどん骨が増強されていくんです。そしてこれはもちろん、身長の伸びにもつながってくるわけです」
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大人になってからでもまだ間に合う!? 身長が伸びるかもしれない食事法は?
ミロの公式サイトによると、ミロは子どもだけでなく大人にとっても必要な栄養素がしっかり含まれているという。大人になってからでもミロを飲むと身長が伸びる可能性はあるのだろうか。
「身長は、女性で15~16歳ごろ、男性で17~18歳ごろまで伸びるとされているので、大人になってから身長が伸びる可能性は、やはり子どもの時と比べるとかなり低いと思います。
ただ、身長には個人差があるので、大人になってから身長が伸びるポテンシャルをお持ちの方もなかにはいるかもしれません」
「もうちょっと身長を伸ばしたい…!」という大人に向けて、ミロに限らず、少しでも身長が伸びる可能性があるおすすめの食事法などについて聞いた。
「大人になってからでも身長が伸びる可能性を秘めている人は、栄養や睡眠、運動の不足を改善することで、本来の身長の伸びに近づくことも期待できると考えます。
そして栄養のある食事を摂る際に注意しなければいけないのが、腸内環境です。腸内環境が悪いと栄養が十分に体内に吸収されず、本来の食事の栄養効果を発揮しません。
腸内環境を整えるためには、海藻類やヨーグルト、納豆などの発酵食品が有効ですので、それらを摂取しつつ、たんぱく質や鉄分が豊富な食事を意識するといいでしょう」
また大槻氏によると、ご飯やパンなどの炭水化物にも腸内環境に大事な食物繊維が含まれているとともに、必要な栄養素の吸収などにも影響を及ぼすことがあるため、炭水化物を抜くようなダイエットはおすすめできないという。
大人になってからでも身長を伸ばしたいと考えている方は、参考にしてみてはいかがだろうか。
取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio 写真/Shutterstock